鉄道・運輸機構は、2024年春開業を予定している北陸新幹線敦賀駅の上棟式を6月19日に開催した。これに先立ち、報道関係者向けに北陸新幹線敦賀駅の見学会も行われた。
現在、東京~金沢間で列車を運行する北陸新幹線は、2024年春に金沢駅から敦賀駅まで延伸する予定。敦賀駅で京都・大阪方面などへ向かう在来線特急列車と連絡する。現在の敦賀駅と隣接する場所に北陸新幹線と在来線特急列車が乗り入れる新駅舎を建設。開業が1年延期になったものの、いまのところ工事は順調に進んでいるという。
報道関係者向けの見学会では、北陸新幹線敦賀駅の2階コンコースと3階新幹線ホームが公開された。1階にホームを施設して在来線特急列車が乗り入れる予定となっており、同一建物内で北陸新幹線と在来線特急列車の乗換えを済ますことが可能になる。
駅高架橋の上方を覆う旅客上屋の鉄骨工事は2月1日からスタートした。敦賀駅周辺は風が強く、冬は積雪との戦いとなり、天候を見ながら工事を進めてきたという。ここ最近の資材高騰による影響については、許容範囲内で収まったとのことだった。
2階コンコースは新幹線柵内コンコースと在来線柵内コンコースに分かれ、境界に改札を設置する予定。コンコースは天井全体を北前船の帆に見立てた浮遊感のあるデザインにするとのこと。まだ内装工事が行われていないものの、コンコースの幅は40mになるとのことで、スケール感のある空間になることを予感させた。
2階コンコースから階段を上がり、3階新幹線ホームへと進む。2面4線で、ホームの長さは12両編成対応の312m。ホームの床は甲板をイメージした木調スタイルで仕上げ、待合室は船をモチーフとしたデザインにするとのこと。整備新幹線の駅では最大級という高さ37mの駅舎になることもあり、ホームからの眺望は抜群。西側に敦賀湾も眺められた。
なお、現在使用している敦賀駅の在来線ホームは、北陸新幹線の駅が開業した後も引き続き使用する予定。北陸新幹線延伸にともない福井県内の並行在来線区間を引き継ぐ第三セクター鉄道「ハピラインふくい」をはじめ、京都方面からの普通列車が現行ホームに入線する予定だという。敦賀駅の新駅舎とは連絡通路で結ばれる。
報道関係者向けの見学会に続き、上棟式が開催された。上棟の儀では、衆議院議員の高木毅氏をはじめとする来賓が長さ12mの最後の鉄骨梁に記名し、クレーンで持ち上げ、所定位置に設置した。
祝辞では、福井県知事の杉本達治氏が、「北陸新幹線は日本海側の国土軸をつくりあげ、太平洋側にトラブルが発生した際に東西の人、物を運ぶ使命を帯びています」と述べ、北陸新幹線が北陸地方の発展に寄与するだけではないことを強調した。衆議院議員の高木毅氏は、「これからの課題は、北陸新幹線延伸開業の効果を最大限にしていくことです」と指摘した。
北陸新幹線敦賀駅では、2022年度内に駅舎の外観が見られるようになる。上棟式の出席者からは、2024年春の敦賀延伸への期待はもちろんのこと、京都・大阪方面への延伸の早期実現を求める声も相次いだ。