――100台の固定カメラすべてで撮って、どのくらいの分量の素材が集まったのでしょうか?
大木:1,000時間分ぐらいです。
――それをすべてチェックされ、30分弱の番組に編集されたわけですか?
桜井:はい。だいたい平均すると毎回1,000時間は超えてきますし、別の取材のときには1,800時間ぐらいまでいくこともけっこうあります。
大木:通常のドキュメンタリーだと、現場で何が起こっていたのかある程度わかりますが、『100カメ』の場合は固定カメラを据えているので、みんなが何をしゃべっていて、そこで何が行われているのかは、編集室に入って素材を見てみないとわからないんです。撮りこぼしよりも見逃すことが一番怖いので、編集マンさんと頑張ってすべて見ます。
――大木さんが大河ドラマの現場に入られたのは今回が初めてだったそうですが、新たな発見はありましたか?
大木:ドラマの仕事を見ること自体が初めてでしたが、例えば三谷さんが脚本で「猪」と1行でも書かれたら、みなさんは絶対にその画を作ろうとされます。実際に猪のシーンはたった4秒のために別撮りまでされました。脚本の世界観を実現するために、どれだけ労力がかかるのか今回初めて知りましたし、尊敬の念も抱きました。そして段取りも緻密に練られないとドラマは作れないんだということに驚きました。
――改めて『100カメ』という番組自体の面白さを再発見した部分はありましたか?
大木:『100カメ』が普通のドキュメンタリーと違うのは、いかにして気づかれないところにカメラを置くかが重要で、カメラを意識しない状態でぽろっと話してくれたことにぐっとくることがあるんだなと改めて思いました。撮影の大変さや、誰かへの感謝の念が漏れ出る瞬間を捉えられたことは、番組的に良かったなと思いました。
桜井:そういうものが映るのが通常のドラマのメイキングとは違う部分かなと。『100カメ』だと、カメラに映り込んでしまったものを再構成する面白さがあるので、みんなも気づかなかったスタッフの人柄やキャラクターが浮き彫りになるところはとても面白いと思っております。また、今回は寒い現場で、主演の小栗旬さんをはじめ、俳優の皆さんも当然寒かったと思いますが、全然そういうことをおくびにも出さすに現場で佇んでいらっしゃって、僕らとは違う意味でプロフェッショナルだなとすごく感じました。
大木:大変な現場でも、割と皆さんはジョークを飛ばしたり、面白い会話を挟んだりもされていて、あまり現場がピリピリしないように、いい意味で気を使いながらやってらっしゃったのも印象的でした。チームワークの良さをすごく感じましたね。
桜井:それは『100カメ』という番組自体のコンセプトでもあります。誰か1人というよりも、チームの連携が見えてくるドキュメンタリーというのが『100カメ』の魅力かと。今回の『鎌倉殿の13人』は、スタッフだけでも100人いましたが、1人1人が活躍している様子が、番組で伝わってくれたらうれしいです。
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