軽自動車の半額以下で買える手軽な電動モビリティとして、本サイトでも注目していた「電動トゥクトゥク」に新モデルが登場した。ドイツでは郵便配達に使われており、信頼性は折り紙付きの新型車「ZINMA」だ。一体どんな乗り物なのか、実車に乗って確認してきた。
大容量バッテリー搭載でスペック向上
電動モビリティ販売を手がけるEV-LANDが初のオリジナルモデルとなる新型電動モビリティ「ZINMA」(ジンマ)の販売を開始した。同社の「EV -トゥクトゥク」という商品は以前、本サイトでも取り上げたことがあるが、ZINMAはすでにホームページで予約販売が始まっており、初期ロットの14台はほぼ完売状態だという。
ZINMAはドイツの郵政で導入されている車体を日本仕様に再設計したモデルだ。ラインアップはハイエンドモデルとスタンダードモデルの2種類で、販売価格はハイエンドモデルが93.5万円、スタンダードモデルは71.5万円となっている。
両モデルの大きな違いはバッテリーだ。
リン酸鉄リチウムバッテリーを搭載するハイエンドモデルの航続距離は120km。充電は100Vと200Vに対応する。一方のスタンダードモデルは鉛バッテリーで、航続距離は90km。充電は100Vのみの対応となる。
カタログスペックで航続距離80kmだったEV -トゥクトゥクと比べると、ZINMAはより長い距離を走れるようになっている。電動モビリティのネックとなる航続距離の改善が図られていることがわかる。
EV -トゥクトゥクとの比較をさらにいえば、ZINMAは全長2,160mm×全幅1,150mm×全高1,680mmと車格がひと回り大きくなり(EV-トゥクトゥクは全長2,010mm×全幅995mm×全高1,600mm)、最高速度が40km/hから45km/hに変更された。
サイズアップなどにより、車両重量は212kgから420kgに増加。これにより車両の安定性が増し、よりスピードが出せるようになったそうだ。
また、機能面ではないが、こうした小型電動モビリティは趣味性が高く、「売りっ放し」というイメージがある。つまり、「買った後に壊れたら、自分でどうにかしてくださいね」といった感じだ。EV-LAND 営業推進課長 EVコンサルタントの上原啓介さんも「おそらく、そこが圧倒的な課題になっている」という。
そこでEV-LANDでは、ZINMAの販売に合わせて一般社団法人 日本自動二輪推進協会(JAMPA)と提携。ZINMAが故障した際にはJAMPAが窓口となり、購入者の近くにある整備工場を紹介し、対応するというアフターサポートを始めた。
「技術的にはどこのバイク屋さんでも対応できるはずですが、やはりどこに責任の所在があるかが不明確な状態では触りたくないと思います。私たちのサポート体制では責任を明確にした上で、JAMPAからトップダウンで修理依頼がかけられます」(上原さん)
JAMPAの整備ネットワークは日本全国に広がっているとのこと。住んでいる地域を問わずにサポートが受けられるのは、買う側にとってはなんとも心強い。
紙ドライバーF氏が「ZINMA」を体験!
それでは、肝心の扱いやすさや走行性能はどう進化しているのか。ZINMAの取材現場には、EV -トゥクトゥクの試乗経験があり、本誌で『紙ドライバーFのへなちょこ試乗日記』を連載中の紙ドライバーF氏が居合わせたので、新型車の乗り味を確かめてもらった(以下、「」内はF氏のコメント)。
モーターを始動させようとしたところで、F氏が声を上げた。
「これ、キーレスになっているじゃないですか。ハンドルのブレーキロックもなくなっていて、操作が簡素化されていますね。これなら、あまりクルマを運転したことのない人でもわかりやすいんじゃないでしょうか」
モーターを始動させ、さっそく試乗をスタートしたF氏。EV -トゥクトゥクに乗ったことがあるおかげか、その表情からは余裕が感じられた。
試乗を終えたF氏に感想を聞くと、「走りは軽快そのものですね。パワーも上がって、瞬発力があります。EV -トゥクトゥクでは走り出しやコーナーの立ち上がり時に少し非力なところがありましたが、改善されて小回り性能がアップした印象です」とのことだった。
F氏も絶賛するZINMAは、EV-LANDのメインガレージである渋谷松濤BASEで試乗することができる。欲しい場合はホームページから予約可能。EV-LANDスタッフの先導の下、1時間ほど公道を走行できるそうなので、興味のある方は一度試してみてはいかがだろうか。