女優の奈緒、俳優の風間俊介が3日、東京・紀伊國屋ホールで行われた舞台『恭しき娼婦』のプレスコール及び取材会に参加した。

  • 奈緒と風間俊介

『恭しき娼婦』は、20世紀を代表する哲学者ジャン=ポール・サルトルが1946年に発表した傑作戯曲で、非情な世界における人間の権利、尊厳、そして、自由といった、いつの世も人類が向き合う問題に正面から取り組んだ作品。今回、栗山民也氏が演出を手掛け、物語を大きく動かす重要な決断を迫られることとなる娼婦のリズィーを奈緒、街の権力者の息子でリズィーに虚偽の証言を迫る白人のフレッドを風間が演じる。

フォトコールでは、リズィー(奈緒)がソファーに座るフレッド(風間)の胸倉をつかんで顔に近づけ、フレッドが衝動的にリズィーを抱き寄せるシーンや、リズィーがフレッドの手をとってベッドへ誘導し、ベッドの上でフレッドがリズィーを押し倒すシーンなどをお披露目した。

奈緒は「劇場入りしたのが2日前。やっと劇場の空間にも慣れてきて、取材の皆さんに入っていただいて、人が客席に座っていらっしゃってお芝居をするのはこう感覚なんだなと、すごく新鮮な気持ちでさせていただいたので、お稽古で重ねてきたものと、新しいことと、初日に出会えることを楽しみに、緊張はあるんですけど一生懸命やりたいと思います」とコメント。

風間は「稽古を重ねていく中で、本当に素晴らしい作品、本当に素晴らしい演出家の栗山さん、そしてキャストの皆さん、スタッフの皆さん、そして素晴らしい劇場、すべてがそろっている状態で、あとはお客様に見ていただいてお客様に心が動いていただく、それを残すのみ。僕自身もこの作品に出会えてよかったなと思う素晴らしい作品になっていると思うので、ただただ一生懸命やっていけたら。多くの人に見てもらいたいと思っている作品になっています」と語った。

2人は、2018年放送のドラマ『サバイバル・ウェディング』以来の共演。奈緒は「ドラマのときは同じシーンがなくて打ち上げでお話をさせていただいて、いつか同じシーンでお芝居できたらとずっと思っていたので、こうやって2人でのお芝居が多い作品の中ですごく濃厚な時間を過ごさせていただいて、信頼しか風間さんにはありません。感情や言葉をぶつけるシーンもあるんですけど、風間さんがフレッドとして立ってくださっているので、思いっきり胸をお借りして飛び込もうという気持ちでご一緒させていただいています」と風間に全幅の信頼を寄せる。

風間も「僕自身も信頼以外のなにものでもないので、お互いそう思っているのであればありたがいなと思います」と述べ、「すごく柔らかくて素敵な笑顔の印象が強いですが、今回リズィーという役を通して奈緒ちゃんを見ると、今までの奈緒ちゃんの像が微塵もなくて、役柄としてむき出しの感情でリズィーという女性がいるというのが惚れ惚れする。こちら側も、風間俊介としてではなくて役として対峙する時間をしっかりつくらないとなと、背筋が伸びる思いです」と奈緒の演技を称えた。

奈緒はまた、「栗山さんから『稽古を重ねる中で新しいことに出会って毎日違っていい』というお言葉をいただいて、私自身いろんなことに挑戦して、お芝居で使ったことのない声を使ってみたりしながら日々が本当に新鮮で」と本作での新たな挑戦を語り、「そこで返ってくる風間さんのお顔も『こんな風間さん見たことない。フレッドだ!』と思う瞬間がたくさんあって、舞台上で生きるキャストの皆さんを早く見てほしいと思うばかりです」と風間も新たな一面を見せていると話した。

舞台『恭しき娼婦』は、6月4日より19日まで紀伊國屋ホールにて、その後、兵庫・愛知にて上演。