iDeCoに加入すると、掛け金を自分で運用しながら、節税のメリットを受けることもできます。今回は新入社員の方が65歳退職までiDeCoを加入した際の節税効果を見ていきましょう。

iDeCoの仕組み

iDeCoは、掛け金を元本確保型の商品や投資信託などで運用した後、原則60歳以降に年金又は一時金として受け取ることができます。受取額は、選んだ商品の運用実績によって変動します。

このiDeCoですが、掛け金に上限があります。加入区分というのがあり、ご自身の加入区分によって毎月拠出できる掛け金の上限が異なります。
⑴自営業者(第1号被保険者)
   ➡︎月額6.8万円(年間81.6万円)※国民年金基金又は国民年金付加保険料との合算枠
⑵会社員・公務員など(第2号被保険者)
 (ⅰ)会社に企業年金がない会社員
   ➡︎月額2.3万円(年間27.6万円)
 (ⅱ)企業型確定拠出年金(DC)に加入している会社員
   ➡︎月額2万円(年間24万円)
 (Ⅲ)確定企業給付年金(DB)と企業型確定拠出年金(DC)に加入している会社員
   ➡︎月額1.2万円(年額14.4万円)
 (ⅳ)DBのみに加入している会社員
   ➡︎月額1.2万円(年額14.4万円)
 (ⅴ)公務員など
   ➡︎月額1.2万円(年額14.4万円)
⑶専業主婦(第3被保険者)
   ➡︎月額2.3万円(年額27.6万円)

なお、iDeCoの掛け金は、毎年1回変更できます。年収が上がったら増額することもできますし、教育費などが重なったり家計の余裕がなくなったりした際は減額することも可能です。 ライフプランに合わせて、掛け金の見直しを行っていきましょう。

iDeCoを活用した節税のメリット

iDeCoには、様々な節税効果があります。先に知っておくと、掛け金をいくらにしたら良いのか、受け取り方をどうしたら良いのか、ということがわかります。

具体的にiDeCoには3つの節税メリットがあります。

⑴積立時
毎月の掛け金が全額所得控除になります。これによって所得税と住民税を軽減することができます。所得税や住民税は、年収から各種控除等を差し引いた課税所得をベースにして算出されます。したがって課税所得が大きいほど税金が高くなる傾向になりますが、iDeCoを活用すると掛け金の分、課税所得を下げることができるので、税金負担が軽くなります。

⑵運用実績
通常だと運用益に対して20.315%の税金が課税されますが、iDeCoを活用すると非課税となりますので、運用がうまくいった場合は非常にメリットとなります。これはNISAも同じ恩恵を受けることができます。

⑶受取時
受取時に2つの方法があります。一時金として一括で受け取る方法と、年金方式で分割で受け取る方法があります。一時金の場合は退職所得控除が適用され、年金の場合は公的年金控除が適用されます。

普通、株や投資信託は拠出したお金に対する所得控除はありません。また運用益が出ればその分、税金を納めなければなりませんので、投資しながら将来の資産形成をしていきたいという方にiDeCoは適している制度です。

実際にどのくらい節税ができるのか?

それでは実際にiDeCoを使ったらいくら節税できるのか楽天証券のサイトを使って見ていきましょう。

新入社員22歳(企業年金なし)年収400万円の会社員が65歳まで毎月5000円ずつ掛け金を拠出した場合。

➤1%で運用した場合
『積立時(節税できる所得税・住民税の金額)』
38年間の節税額 348,200円

『運用時(節税できる運用益の金額/積立運用額)』
運用益の節税額 98,464円

➤3%で運用した場合
『積立時(節税できる所得税・住民税の金額)』
38年間の節税額 348,200円

『運用時(節税できる運用益の金額/積立運用額)』
運用益の節税額 392,929円

➤5%で運用した場合
『積立時(節税できる所得税・住民税の金額)』
38年間の節税額 348,200円

『運用時(節税できる運用益の金額/積立運用額)』
運用益の節税額 902,293円

こういったように、最低の5000円でもかなり節税できることがわかります。またどんな投資先を選ぶかによっても節税できる額はかなり変わってきます。 実際に自分だといくら節税効果があるのだろうと疑問に思う方は、年齢、年収、加入区分、掛け金を答えるだけで具体的にいくらぐらいの節税効果があるのかをシミュレーションすることができますので、試してみましょう。

詳しいシミュレーションはこちら⇒楽天証券 確定拠出年金(iDeCo):節税シミュレーション

まとめ

iDeCoは下記3つのシチュエーションにおいて税制優遇を享受できます。
・掛け金を拠出した時
・運用によってお金が増えた時
・60歳以降でお金を受け取る時
税金の納付の額を減らしながら、将来の資産形成をしたい人にとっては、ぴったりの制度と言えます。資産形成しながら節税できるiDeCo制度を、うまく自分のライフプランの中に組み入れていきましょう。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

髙上凛太郎(たかがみりんたろう)
所属:株式会社マネープランナーズ

2級ファイナンシャルプランニング技能士