NHKは1日、新たに“世界を席巻するシリーズドラマを作る”「WDRプロジェクト」をスタートすると発表した。同プロジェクトにおいて、共に脚本を開発していくチームのメンバーを経歴不問で募集する。

「WDRプロジェクト」ロゴ

WDR(Writers’ Development Room)は、NHKで新たに立ち上げる「脚本開発に特化したチーム」。最大10人をメンバーとして選抜し、それぞれにオリジナルの企画で脚本を開発していく。現段階で映像化・放送することが確約されている訳ではないが、シリーズドラマとして放送することを目指し、執筆活動するという。

各メンバーは、自分の企画で「パイロット脚本(シリーズドラマの第1話)」を執筆。また、構想段階から他のメンバーと物語の内容を共有し、お互いにアイデアを提供する「ブレスト会議」にも参加する。

海外ではシリーズドラマを制作する際、複数の脚本家が「ライターズルーム」という場に集い、共同執筆することが一般的。ブレスト会議は、このライターズルームの役割を果たす。例えば、構成を考えることが得意な人が、セリフを書くことを得意とする人とコラボレーションできる。展開に行き詰った時、一緒に悩み、考え、アドバイスをくれる仲間がいる。もちろん、意見を取り入れるかどうかの最終的な判断は執筆者に委ねられる。才能を掛け合わせることで、完成度のより高い物語を開発する。それがWDRの目指す形だという。

執筆された脚本は、NHK局内の提案会議にてプレゼン。企画が採択され、放送が決定した際には、発案者のメンバーを中心に、第2話以降の脚本を開発していく。

応募資格は、2022年10月から2023年5月まで、週1・2回の会議に参加して脚本を提出し続けることが可能な人。学歴・年齢不問。ドラマ業界ですでに仕事をされている人はもちろん、漫画・コント・小説・演劇・映画・アニメ・ゲームなどの分野で物語を作ってきた人、あるいは経験はなくても物語を作ることを生業にしたい人。応募は、2022年6月下旬からホームページにて受付開始予定。締め切りは2022年7月31日23時59分。

WDRプロジェクトのディレクターを務めるのは、メディア総局・第3制作センターの保坂慶太氏。2007年にNHKに入局し、大河ドラマ『真田丸』、『鎌倉殿の13人』、連続テレビ小説『まんぷく』、よるドラ『だから私は推しました』などの演出を担当。2019年、UCLA でシリーズドラマの脚本執筆コースを履修・修了した。

■保坂慶太氏コメント

「世界を席巻するシリーズドラマを作る。」このプロジェクトが抱く野望です。莫大な予算を使って撮影に臨む、ということではありません。WDR は、ドラマの根幹である「企画と脚本」に資するプロジェクトです。

世界中の優れた新作ドラマが毎日のように届く中、私たちはドラマの開発方法を見直し、変革する必要に迫られています。そこで今回のプロジェクトでは、海外のシステムも取り入れ、従来とは異なるスキームで脚本開発することに挑戦します。なるべく間口を広げて才能を発掘し、選抜メンバーがコラボレーションする場を設けます。「チーム」で物語の強度を高めることが、WDR の狙いです。

ドラマの脚本を書いたことがなくても構いません。例えば、漫画家・コント作家・構成作家・コピーライターの方も大歓迎です。物語を書くことを生業にしたい学生や社会人の応募も待っています。ストーリーテラーとしての皆さんの強みを、課題脚本を通じて是非教えてください。

この声掛けにどんな人が応じてくれるか、今は見当もつきません。ですが、才能と大志を併せ持つ仲間が集うと信じて、宣言します。WDR では、イッキ見したくなるほど夢中になる、そんなシリーズドラマの脚本開発を目指します。