大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は30日、地下鉄中央線に導入する新造車両30000A系の報道関係者向け内覧会を実施した。中央線への新造車両の導入は約27年ぶりとのこと。7月中の運行開始を予定している。

  • 地下鉄中央線に導入する新造車両30000A系が報道関係者らに公開された

30000A系は2025年に開催される予定の大阪・関西万博を見据え、開催期間中の必要な輸送力を確保するため、中央線の輸送力増強を目的に導入される。2011年に御堂筋線で運行開始した30000系をベースに、中央線用の車両として改良を加えた。

車体の形状は既存の30000系とほぼ同一だが、これまでの号線色帯を改め、斬新なデザインを採用。大阪のにぎわいと人々の輝く姿をドットでシンボル化し、「今まで以上に人・街・乗り物が有機的につながりあう、これからの新しい未来」をスパークルドットで表現した。ホワイトのドットは「街ゆく人々」、アースグレイのドットは「街並み」、グリーンのドットは「Osaka Metroの車両」を表したという。ゴールドは「未来社会」を表し、そこに存在するすべての要素が多様性をもってランダムに「集まる」「つながる」ことを表現している。

車内もスパークルドットをアレンジすることで、「新しい未来を感じさせるワクワク感」を演出。明るく軽やかに、さわやかな車内空間となることをめざした。腰掛の表布は背面と座面で色を切り替え、背面にゴールドイエロー、座面にターコイズブルーを採用。LED照明により、車内空間を明るくして視覚的な快適性向上も図った。空気浄化装置も全車両に設置。一部の乗降口横のスペースを拡大(1両に6カ所)しており、ベビーカー利用者や大きな荷物を持った乗客も利用しやすくした。

  • 大阪のにぎわいと人々の輝く姿をドットでシンボル化

  • 車体側面にもゴールドの帯とドットのデザインをあしらった

  • 30000A系の車内。一部の乗降口横のスペースを拡大している

  • 車いす・ベビーカー利用者向けのスペースも設置

  • 乗降口上部に車内案内表示器と防犯カメラを搭載

  • 30000A系の運転台

乗降口上部の車内案内表示器は1両あたり4カ所の千鳥配置とし、ワイド液晶ディスプレイを2台搭載。2画面構成により、乗換案内や駅設備案内など、よりきめ細かな情報を提供できるようにした。運行案内は日本語、英語、中国語、韓国・朝鮮語の4カ国語で行う。荷棚は利用しやすさを考慮し、全車両で100mm下げたとのこと。車内での犯罪抑止とセキュリティ向上のため、防犯カメラを全車両に搭載したほか、車内Wi-Fiも全車両で導入している。

バリアフリーにも取り組み、近年の新造車両と同様に床面高さを40mm下げ、ホームとの段差を縮小。ドア部の床に黄色のラインを入れて乗降口を識別しやすくした。ドア開閉はチャイムとランプ(乗降口上部に設置)の点滅で知らせ、開いているドアの位置を知らせる誘導鈴も設置している。優先座席は背面を一般座席と異なる色とし、吊り革・手すりをオレンジ色とするなど、識別性を高めた。

報道関係者向け内覧会では、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)車両設計課の山口徹氏が30000A系について、「御堂筋線を走っている30000系をベースに設計し、今回導入する4号線(中央線)の仕様を取り入れて改良を行い、新車として導入する予定です」「4号線に加え、相互直通する近鉄線(けいはんな線)の仕様も取り込み、30000系を新しくするという点に力を入れて取り組みました」と説明。「2025年の万博で、お客様がこの車両に乗ったとき、楽しみであったりワクワクした感じをもって現地へ行けるように、少しでもお役に立てたらと思ってます」と話した。

30000A系は今年度に計60両(6両編成×10編成)の導入を計画している。中央線では新造車両30000A系に続き、新型車両400系を導入し、2023年4月から運行開始する予定。「400系については今年度、2編成が入ってくる予定です」「いま4号線を走っている車両は順番に、古い車両の廃車であったり、使える車両は転用という形で移っていくことになります」との説明もあった。なお、30000A系は大阪・関西万博の開催後、中央線から谷町線へ転用される。

  • 報道関係者らに公開された編成は、1号車から「32951」「32251」「32351」「32851」「32151」「32651」の6両編成。製造は近畿車輛。1・2号車の車内を見学できた