日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’22』(25:00~)では、世界最悪とされる紛争地アフリカ・ソマリアで、イスラム過激派組織のテロリストを社会復帰させる活動を行う日本人・永井陽右さん(30)に密着した『“テロリスト”とつくる未来 -ソマリア 永井陽右の挑戦-』を29日に放送する。

  • 元テロリストにカウンセリングする永井陽右さん(右)=日本テレビ提供

世界一危険な紛争地と言われるアフリカ東部のソマリアで支援活動を続ける日本人の永井さん。イスラム過激派組織の元メンバーで刑務所に入れられた「テロリスト」が、再び武器を取ることなく社会に復帰することがテロと紛争解決の鍵になると言う。これまで221名の社会復帰を実現。「直接的当事者でない日本人だからこそやれることがある」という。

永井さんは、元アル・シャバーブの囚人たちに向けてビジネス講座やカウンセリングなどを行い、彼らの社会復帰をサポート。実は、彼らの大半は10代から20代の若者たち。アル・シャバーブによる強制や洗脳と戦闘訓練によって兵士にされた者が多い。永井さんは「彼らは本当に孤独、誰にも頼る人がいない」と言う。

2020年に釈放されたアリ(仮名・20歳)という青年は、レストランで働き始めた。彼の夢はいつか自分のレストランを開くこと。彼に会うためレストランに行くと、アリは永井さんの訪問を喜び、コーヒーを奢ってくれた。防弾車の中でコーヒーを感慨深く味わう永井さん。そのコーヒーの味は「死ぬほど苦い」と笑う。

永井さんがソマリアの支援活動を始めたのは2011年。大学1年生で東北ボランティアに参加していた永井さんは、たまたまソマリアの大飢饉のニュースを目にする。長年の紛争に大飢饉が重なり、約26万人もの人々が命を落としていた。海外支援の専門家たちに話を聞くと「危険だから行くな」と猛反対される。

「大人たちがやらないんだったら、自分がやってやる」――はじめは思うような活動ができず悩んだが、隣国ケニアに難民として逃れたソマリア人ギャングたちと出会ったことが転に。永井さんは彼らが自分と同年代だということに気づき、同じ若者としてできることがあるのではないかと考えた。

「俺たちが世界を良くしていこうぜ。君はユースリーダーになれるんだ」

“彼らを排除するのではなく、同じ若者として受け入れる”ことで、ギャングの更生支援に成功。ひとつのギャング組織を解散させるまでになった。

対テロ戦争の最前線で奮闘する日本人の挑戦を、KinKi Kids・堂本光一のナレーションで追っていく。