フジテレビの動画配信サービス・FODで独占配信されている、アニメ『恋は世界征服のあとで』。『月刊少年マガジン』で連載中の、野田宏氏と若松卓宏氏によるラブコメディで、平和のために戦うヒーロー・相川不動と、世界征服を企む秘密結社「ゲッコー」のエリート戦闘員・死神王女こと禍原デス美による、組織の壁を超えた禁断の交際を描いた作品だ。

本作で声優初挑戦となるのは、モデルに女優などマルチに活躍する桃月なしこ。「ゲッコー」の戦闘員リーダーで、断罪王女と呼ばれる乱乱(らんらん)に声をあてる。

生まれた境遇から独特な感性を持つキャラクターをどう演じたのか。オファーを受けたときの心境や役作りについて語ってくれた――。

  • 『恋は世界征服のあとで』で声優に初挑戦した桃月なしこ 撮影:蔦野裕

    『恋は世界征服のあとで』で声優に初挑戦した桃月なしこ 撮影:蔦野裕

■「なんでこの並びに私がいるんだろう?」と震え上がる

――今回は桃月さんが演じるキャラクター・乱乱のコスプレでインタビューを受けてもらえるということで。着心地はいかがですか?

すごくしっかりしているので、着心地は大変良いです。でも実際の乱乱とは違って生地に中華風の柄がデザインされているのが、ちょっとしたこだわりでしょうか。あとは初めてつけ毛をしました。1年半ぐらい前までは伸ばしていたので、胸下ぐらいまで髪の毛があったんですけどね。

――本作は正義のヒーローと悪の組織の禁断の恋愛模様を描いた作品ですが、桃月さんは作品を読んだときにどんなことを感じましたか?

『ロミオとジュリエット』みたいだなと思いました。隠れながら恋愛を育んでいくので「うらやましいな」「ほっこりするな」って、ニヤニヤしながら読んでしまいましたね。正義と悪って本来なら敵対しているわけですし、視聴者たちも応援している側も馴れ合うところなんて見たくないはずなんですよ。なのに、こっそりと少しずつ恋を発展させていく部分がかわいらしくていいなって。

――おもろしい設定ですよね。今回オファーを受けたときの心境を教えてください。

もともとアニメや漫画がすごく好きだったので「声優をやりたい」っていう気持ちはあったんですけど、まさかこんなに早く声をあてさせてもらえるとは思いませんでした。前からファンの方々が「声のお仕事をしてほしい」と言ってくれることが多かったので、「いつかできたらいいね」って思ってはいたんです。そして、いざ「やります!」って報告したら「ようやく、やってくれたか!」みたいな感じで好意的に捉えてくれるファンの方が多くて、うれしかったです。

ただ、豪華なキャスティングを見て「なんでこの並びに私がいるんだろう?」って震え上がりました(笑)。自分がアニメ好きだからこそ、この並びがおかしいことに気づいて緊張してしまいましたね。

■「改めて声優さんってすごい」

――小林裕介さんら若手声優をはじめ、杉田智和さんや安元洋貴さんらベテラン組みなども集まっていて、本当に豪華な声優陣ですよね。実際にアフレコしてみた感想はどうでしたか?

演じさせていただく乱乱は淡白な性格をしていて、あまり人と群れ合わないタイプ。感情を表に出すキャラクターじゃないんですよ。自分はもともと感情に抑揚がないので、この作品の中では一番演じやすい役をもらえたなと思いました。

ただ、初めてキャラクタービジュアルをいただいたときに「ロリだ」と思って、「私、そんなに高い声出せるかな?」という不安もありました。自分の中では高めに声を出していても、録音したものを聴いてみたら普段の声と変わらなくて反省でした。もうちょっとかわいらしい声が出せたら良かったんですけど…。

――改めて声優さんのすごさを感じたと。

お芝居は表情や身振り手振りとかで感情を表せると思うんですけど、声優さんは声だけで表現しないといけない。私は声だけで感情を表すのがとくに難しくて…。改めて声優さんってすごいと思いました。

――収録に向けて、キャラクターを理解するまでに時間はかかりましたか?

もちろん時間はかかりました。台本を読むのもちろんそうなんですけど、漫画を読んだときに演じる上で難しいと思うシーンがあったんです。性格的には似ている部分はあるんですけど、ビジュアル的な問題や声の面で自分とギャップがあって。どうやってこのギャップをなくそうかなというのは、ずっと考えていました。本番中も少し迷走していたのですが、考えながら声をあてたり、指導していただいたりして何とか自分のモノにしました。

――収録現場で徐々に修正していったと。

そうですね。最初は緊張で声が震えちゃって全然ダメだったんですけど(笑)

――桃月さんほど大舞台を経験していても、アフレコ現場では声が震えてしまうものなんですね。

震えちゃいます。こないだ始球式も経験させていただいたんですが、そのときも足が震えていました。見せていないだけで基本的には、すごく緊張してしまう性格なんです。内心ガッタガタなので、初めての現場なんかはとくに緊張してしまうタイプなんです(笑)