出口六段の巻き返し策は?

藤井聡太叡王に出口若武六段が挑戦する第7期叡王戦五番勝負第2局が、5月15日(日)に愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」で行われます。本局は挑戦者の出口六段が先手になります。

今期の叡王戦は開幕戦の第1局を藤井叡王が制しました。相掛かりから難しい勝負になりましたが、中盤で一瞬の戦機を捉えてからは徐々に差を広げて勝利に結びつけるという、いかにも藤井叡王らしい勝ち方です。

挑戦者の出口六段にとっては苦しいスタートになりましたが、開幕局を戦った結果、タイトル戦にある独自の雰囲気に慣れたとも考えられます。主導権を取りやすい先手番の第2局でタイに持ち込めれば、五番勝負の行方は予断を許しません。

第1局のあと、出口六段は2局の公式戦を指して1勝1敗、藤井叡王は1局指して敗れています。現時点で藤井叡王の22年度成績は1勝1敗なので、仮に第2局に敗れると1勝2敗での負け越しとなります。年度トータルから見れば最初の数局など大した数字ではありませんが、実はデビューから7年目を迎える藤井叡王の年度勝率は、これまで一瞬でも5割を切ったことがありません。中学生棋士の先輩である羽生善治九段と渡辺明名人の両者でも、2年目の年度初めに一瞬の負け越しを経験しているので、それがこれまでなかった藤井叡王の勝ちっぷりがわかります。

第2局も前局に引き続いての相居飛車が予想されますが、果たしてどうなるか。巻き返しを図る出口六段がどのような戦型を用意してくるか、注目です。

相崎修司(将棋情報局)

第1局では難しい戦いを制した藤井叡王(右)(写真は第49期新人王戦決勝三番勝負第2局のもの 提供:池田将之)
第1局では難しい戦いを制した藤井叡王(右)(写真は第49期新人王戦決勝三番勝負第2局のもの 提供:池田将之)