現在放送中のTBS系日曜劇場『マイファミリー』(毎週日曜21:00~)で、二宮和也扮する鳴沢温人の一人娘・友果誘拐事件の捜査を担当する神奈川県警捜査一課長・吉乃栄太郎を演じているサンドウィッチマンの富澤たけし。お笑い芸人としての活躍は言うに及ばずだが、近年は『カルテット』や『大恋愛~僕を忘れる君と』などで味のある演技を披露するなど、俳優としても注目を集めている。そんな富澤の魅力を本作のプロデュースを務める飯田和孝氏が語った。

  • 『マイファミリー』神奈川県警捜査一課長・吉乃栄太郎役の富澤たけし

■吉乃一課長役への起用は「“誠実さ”というキーワードで人選」

伊達みきおと共にコンビを組むサンドウィッチマンは、2007年に『M-1グランプリ』で優勝、多くのレギュラー番組を抱える売れっ子コンビだが、富澤は俳優としてもコンスタントに作品に参加している。本作では、ノンキャリアの叩き上げである神奈川県警捜査一課長・吉乃栄太郎として出演。吉乃は温和な人柄で、玉木宏演じる葛城圭史ら事件解決に血眼になっている部下たちを温かい目で見守る頼れる上司だ。

叩き上げの一課長という役割。ステレオタイプに捉えると、イケイケのキャラクターを想像してしまうが、敢えて人情味溢れる人間にすることで、緊張感ある物語に、安心感を与えられると考えた。そこで富澤に白羽の矢が立った。

「お芝居が上手なことという前提はありますが、一番は誠実さがにじみ出ている方が良いと思ったので、俳優というジャンルにとらわれず“誠実さ”というキーワードで人選をしました。そのなかで、サンドウィッチマンというのは非常に好感度の高いコンビであり、彼らを嫌いだと言う人に出会ったことがないぐらいの方々。富澤さんはお芝居の経験も豊富ですし、しかもうまい。その意味で吉乃一課長というキャラクターはピッタリだと思ったんです」。

劇中の吉乃は、決して愛想が良いわけではないが、暴走が止まらない葛城に対しても、叱咤するわけではなく、適度な距離感を取りながら温かい眼差しを向ける。

「緊迫感あふれるなか、吉乃が登場するといい意味で肩の力が抜けるような安心感がありますよね。やっぱり日曜劇場である以上、家族でも観てもらいたいという思いがあるので、富澤さんの存在というのは、本当に癒やしになるというか、大切な役割を担っていただいています」。

■富澤の声と表情は「温かさを感じることができる」

富澤の俳優としての魅力を問うと「声と表情」と語った飯田プロデューサー。「もちろん、お芝居的なことを言うと、技術的な部分を含めて、器用な方ではないかもしれませんが、その分、感情がストレートに出てくる方なので、声を聞いたり表情を見ているだけで、温かさを感じることができます」と語る。

第4話では、元刑事だった東堂樹生(濱田岳)と再会を果たす場面があった。飯田プロデューサーは、このシーンについて「久しぶりの再会となる2人なのですが、東堂を見る吉乃の表情が、頼りになる兄貴みたいな眼差しでしたよね。なかなか難しいシーンだったと思いますが、本当にうまいな……としみじみ感じました」と富澤の演技を絶賛していた。

富澤は、2018年に放送された『大恋愛~僕を忘れる君と』でも、ムロツヨシ演じる間宮真司がアルバイトをする運送業者の先輩・木村明男役として出演し、真司の良き理解者として、物語に癒やしを与えてくれていた。オリジナルストーリーである本作の結末は、現時点ではまったく想像できないが、吉乃だけは「絶対味方だ」と思えるような安心感を与えてくれる。それも富澤の大きな魅力なのだろう。

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