サッポロ不動産開発は2022年秋、東京都渋谷区恵比寿で運営する大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」商業棟を新名称「センタープラザ」としてリニューアルオープンする。それに先駆け4月15日、地下2階に食品と生活雑貨のフロア「フーディーズガーデン」が開業した。

  • 1994年に複合施設の先駆けとしてオープンした「恵比寿ガーデンプレイス」。駐車場があるのも魅力

「恵比寿」は、明治の中頃までのどかな田園地帯だったエリアに「エビスビール工場」(サッポロビール)ができたことを契機として人が集まり生まれた地名。その後サッポロビールが工場跡地再開発計画として進めていた「恵比寿ガーデンプレイス」が1994年に開業。当時はまだ珍しかった複合施設で、商業施設のほかオフィス、住宅、文化施設、ホテルなどがあわさったものとなった。

それからおよそ30年。「お客さまの消費行動が大きく変わってきている。ECなどの台頭によってリアルに買い物をする意味が問われ始めている」(サッポロ不動産開発 取締役執行役員 恵比寿事業本部長 川村浩一氏)。

  • 報道向けに行われた説明会に登壇したサッポロ不動産開発 取締役執行役員 恵比寿事業本部長 川村浩一氏、ライフコーポレーション代表取締役社長執行役員 岩崎高治氏、明治屋代表取締役社長 磯野太市郎氏

今回先行オープンしたフーディーズガーデンは、2021年2月に退店した「三越恵比寿店」の跡地。"フーディーズ"(食通、グルメな人たち)が集うような思いを込めて名づけられ、高品質・高付加価値のこだわりを持った食品を提供するという。

  • 「フーディーズガーデン」オープンの4月15日には開店待ちの行列も

ラインアップされたのは、恵比寿のまちの"暮らす人"や"働く人"に寄り添った9店舗。その核となるのが、スーパーマーケットの「ライフ」が手がける「セントラルスクエア」、老舗スーパーマーケット「明治屋ストアー」だ。

スーパーマーケット「ライフ」の旗艦店

ライフは、近畿圏と首都圏に288店舗を展開するスーパーマーケットチェーン。この「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」をその旗艦店として位置付けた。リアル店舗・ネットスーパー・オーガニックがつながる次世代型スーパーマーケット「スーパーマーケット4.0」としている。

  • ライフ旗艦店「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」

旗艦店として、首都圏ライフ初となる活魚水槽をはじめ、肉屋のオーダー式弁当など初めての試みを導入。地元店舗の商品、ライフが展開するオーガニック・ローカル・ヘルシー・サスティナビリティをコンセプトとしたプライベートブランド「BIO-RAL(ビオラル)」商品も豊富に取り揃える。

接客の面でも、売り場案内やメニュー提案など客の要望に応えるコンシェルジュサービスを導入、従業員にJALによる接客研修を行うなど、恵比寿という立地、旗艦店ならでは取り組みを実施している。

  • 首都圏ライフ初となる活魚水槽を導入

  • 有機農産物は首都圏ライフ最大級の品揃え。新鮮な野菜を使用し店内で手作りしたサラダも

  • 地元恵比寿に店舗を構える「猿田彦珈琲」「36 チャンバーズ オブ スパイス」「SHIBUYA CHHESE STAND」「山田屋まんじゅう」などの商品も取り揃える

  • オープン時に行列が絶えなかった精肉売り場。ライフで初めて取り扱うブランド肉も提供

  • 地域住民やオフィスワーカーに向け、お弁当類を常時50種類以上展開。恵比寿店ならではの高価格帯商品も目立つ

  • ライフ限定の「エビスビール 恵比寿ガーデンプレイスデザイン缶」(数量限定)

  • オープン時に売り場に並んでいた「山形産さくらんぼ(佐藤錦)」(10万円!!!)

ギフトニーズにも応える「明治屋ストアー」

明治屋は今年で創業137年。明治屋恵比寿ストアーは創業から不変の経営理念「いつも いちばん いいものを」の精神を一層具現化した店舗として、ますますの上質化を図るという。日々の食卓を彩る生鮮品に加え、直輸入商品のほか、こだわりの食材をラインアップ。

  • 「明治屋恵比寿ストアー」

「さしあげたくなる『おいしさを』おとどけする」を店舗コンセプトし、週替わりで多彩なブランドスイーツを販売する「SEEK IN SWEETS」を初導入。店舗限定商品も豊富に取り揃え、いつ訪れても新しいものがある仕掛けを用意している。

  • 週替わりでブランドスイーツが買える「SEEK IN SWEETS」。「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」「京菓匠 笹屋伊織」「資生堂パーラー」「帝国ホテル」「ぎんざ空也 空いろ」など、和洋問わず多彩なブランドスイーツを明治屋セレクトで提供する

  • 「三越恵比寿店」にあったような全国のお菓子が購入できるコーナーも

  • 明治屋の代名詞ともいえるジャムの店舗限定商品「明治屋大人のジャム」(647円)や「明治屋フレッシュプレスゼリー3種セット」(2,150円)などここでしか手に入らない商品も

精肉、鮮魚、デリカ、チーズで同店が得意とする対面販売を実施するほか、従業員にはソムリエなど有資格者も配する。ホスピタリティを重視し、レジではフルサッカー(従業員による袋詰め)サービスを導入。カスタマーサービス機能を設け、ギフトニーズにも応える。包装紙も用意している。

  • 精肉、鮮魚、デリカ、チーズで対面販売を実施

自家製ハム・ソーセージ専門店「ヤマブキ」なども出店

そのほかのテナントは東京初出店となる長野県小諸市の人気自家製ハム・ソーセージ専門店「デリカテッセン ヤマブキ」(イートインカフェ併設)をはじめ、「大阪焼肉・ホルモン ふたご」の弁当店、輸入食品「カルディ コーヒーファーム」、生花店「フルーリスト ボンマルシェ」、ドラッグストア「トモズ」、靴修理・合鍵・時計電池交換「ミスターミニット」、製菓・製パン食材専門店「トミーズ」、レトルト専門店「ニシキヤキッチン」(期間限定)が軒を連ねる。

  • 「フーディーズガーデン」

報道向けに行われた説明会では、同施設内に複数のスーパーマーケットがオープンすることに対しどう棲み分けるのかという質問も出た。「それぞれ強みを生かし、年齢層のターゲティングでお互いに相乗効果を持たせられれば」とサッポロ不動産開発の川村氏。

ライフコーポレーション代表取締役社長執行役員 岩崎高治氏は「スーパーマーケット2社が入ったと見えなくもないですが、明治屋さんはスーパーマーケットというより"明治屋さん"。普通のスーパーマーケットではない。ライフも『セントラルスクエア』『ビオラル』でそう言われるように目指していきたい」、明治屋代表取締役社長 磯野太市郎氏も「一緒になって恵比寿を盛り上げていきたい」と語った。2社はカートやレジカゴを共用のものにして効率化を測るなど協力体制を整えている。

筆者もオープン時の内覧会に訪れたのだが、「リアルに買い物をする意味」を改めて思い出すようなワクワクするような場所だった。スーパーマーケットは楽しい。近隣に住む人はもちろん、"フーディー"のみなさんは一度覗きに行ってみてはいかがだろうか。