夏になるとよく見かける、ゴーヤの緑のカーテン。栄養があるとは聞くものの、「ゴーヤって何にいいの?」と思っている方もいるでしょう。また、独特の苦みが苦手という方もいるかもしれません。
そこで本記事ではゴーヤの栄養素や効能などをくわしくご紹介。ゴーヤの種類、選び方、苦みを和らげるための調理法などにも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ゴーヤとは
ゴーヤーとは、別名ツルレイシ、ニガウリともいい、東インド、熱帯アジアを原産地としたウリ科ツルレイシ属の植物です。原産地からもわかるように温暖な地域に見られ、日本では古くから沖縄で食べられてきました。その独特の苦みが特徴で、夏バテ防止や食欲促進に良いとされる野菜です。
夏が旬で、主な産地は沖縄県
ゴーヤの旬はまさに夏。6~8月ごろに最も多く流通します。主な産地は沖縄県で、その次に九州の宮崎県や鹿児島県などが続きます。
ゴーヤの種類
ゴーヤと言ってもさまざまな種類があり、紡錘形、円筒形、卵形、長細いタイプや太くて丸々としたタイプなど様々です。色は緑色が一般的ですが、淡緑色や白色のゴーヤもあります。
ゴーヤーの特徴である苦みの強さは品種によって異なります。一般的に青皮・細長種は苦みが強く、白皮・円筒状の厚肉種は苦みが少ない傾向にあるといわれています。今回は多種多様なゴーヤからその一部を紹介します。
あばしゴーヤ
沖縄県で広く栽培されているゴーヤで、店頭にも多く並ぶ品種。緑色で太く、ずんぐりとした形が特徴です。沖縄名でアバサーと呼ばれるハリセンボンの魚に似ていることから「あばしゴーヤ」という名前になったと言われています。肉厚で、苦みがそれほど強くなく食べやすいのが特徴です。グリーンカーテンとしても人気のゴーヤです。
長れいし
「さつま大長レイシ( さつまおおながれいし)」「沖縄中長レイシ( おきなわちゅうながれいし)」などの品種がある長れいし。果長35~40cmと細長く、果皮色は白緑色や緑色であるのが特徴です。沖縄県のほか、鹿児島県をはじめとした九州地方で多く栽培されています。
太れいし
薄い緑色から白に近い色が特徴の太れいし。太さは5~6センチ、長さは8センチから10センチほどの小ぶりなものが多いゴーヤです。
白れいし
その名前の通り、白色をしたゴーヤの白れいし。長さはおよそ10センチから20センチ程度、イボはトゲ状というより丸みを帯びたものが多いのが特徴です。苦みが少なく、サラダにもおすすめの種類です。
アップルゴーヤ
大きなりんごのような形をしていることからこの名前になったと言われています。川や果肉は白、ライムグリーンの色をしています。苦みは少ないです。
ゴーヤの栄養成分と効能
ゴーヤに含まれる栄養素とその効能をご紹介します。「ゴーヤは何にいいの?」と思っている方はぜひ参考にしてください。
<ゴーヤ> (可食部100gあたり)
エネルギー:15kcal
水分:94.4g
・たんぱく質:1.0g
・脂質:0.1g
・炭水化物:3.9g
・食物繊維:2.6g
・β-カロテン:160μg
・ビタミンK:41μg
・葉酸:72μg
・ビタミンC:76mg
・ナトリウム:1mg
・カリウム:260mg
・カルシウム:14mg
・マグネシウム:14mg
【ビタミンC】抗酸化作用があり、免疫力向上につなげる
ゴーヤの栄養素といえば、ビタミンC。100g当たりの数値で見ると、同じ夏野菜のきゅうりは14㎎、トマトが15㎎なのに対してゴーヤの含有量は76㎎。ちなみに、ビタミンCを多く含むとされるフルーツのキウイフルーツは71㎎、いちごは62㎎。どれだけゴーヤにビタミンCが豊富に含まれているかがわかります。
ビタミンCには老化の原因となる活性酸素の発生を抑える、抗酸化作用があるとされています。コラーゲンの生成を促して肌を健やかに保つほか、免疫力向上にもつなげるとも。まさに夏にうれしい野菜です。
【カリウム】高血圧やむくみを予防
ゴーヤにはカリウムなどのミネラルも含まれています。カリウムは、体の余分なナトリウムを排出して血圧を正常に保ち、高血圧を防ぐ効能があります。また、体の余分な水分も排出するため、むくみ予防にもつながります。
【苦み成分・モモルデシン】食欲アップで夏バテ防止
ゴーヤといえば真っ先に思い浮かぶのが、あの特有の苦み。じつはあの苦みにはモモルデシンという成分が含まれています。モモルデシンには、胃腸に働きかけて食欲増進につなげたり、血圧を下げたり、肝機能を助けたりする効能があるとされています。食欲が落ちて夏バテしやすい時季にぴったりです。
ゴーヤのビタミンCは加熱に強い!
ビタミンCは通常、加熱に弱いとされていますが、ゴーヤの場合は加熱しても壊れにくいといううれしい特徴があります。油炒めにした場合のゴーヤ100g当たりのビタミンCは75㎎と、さほど損失されません。
ゴーヤは夏のおつまみに最適の野菜
ゴーヤの栄養成分をご紹介しましたが、ゴーヤには夏にうれしい栄養成分がたくさん。日焼けによる肌トラブルや、冷房によるからだのむくみ、食欲低下による夏バテなど、夏ならではの不調にぴったりの野菜です。夏のおつまみにゴーヤが用いられるのも理にかなっています。
ゴーヤ のカロリー
ゴーヤ100gあたりのカロリーは17kcalと低く、反面ビタミンなどの栄養素は豊富なためダイエットに向いている食材といえます。ただし、その苦みから生ではなく炒めものに調理することが多いため、調味料や油の量によってはトータルカロリーが高くなってしまうこともあるので、注意が必要です。
ゴーヤの選び方
店頭に並ぶ緑色の品種のゴーヤは、重量感があり、鮮やかな緑色で変色していないものが良いでしょう。みずみずしく見た目にハリがあるもの、イボもしっかりしているものがおすすめです。白色の品種はイボにトゲがなく丸みを帯びていますが、そのイボが均一的なものを選ぶようにしましょう。
一般的に、表面のイボが細かく、濃い緑色のものは苦みが強く、緑色が薄いものは苦みが弱いといわれています。苦み成分のモモルデシンの効能を期待するなら濃い緑色がよいですが、苦みが苦手という方は薄いものを選びましょう。
ゴーヤの栄養素を活かす調理法
ゴーヤに含まれる栄養素を効率よくとるために、気を付けるべきポイントを紹介します。
■水に長時間さらさない
ゴーヤに含まれるビタミンCやカリウムは水溶性のため、水に流れ出てしまいます。ゴーヤはサッと水洗いする程度にするとよいでしょう。
■電子レンジ加熱または炒め物に
ゴーヤに火を通したい時はゆでるのではなく、電子レンジ加熱がおすすめ。スライスしてから耐熱皿に並べ、ラップをして加熱します。前述したとおり、通常のビタミンCは加熱に弱いのですが、ゴーヤの場合は別。加熱しても損失が少ないといううれしい特性があるので、炒め物にもおすすめです。β-カロテンやビタミンKは油との相性がよいので、油を加えて炒めましょう。
ゴーヤの苦みを和らげる方法
前述したように、ゴーヤの苦み成分「モモルデシン」には食欲増進で夏バテ防止につなげたり、肝機能などをサポートしたりする効能があります。できれば苦みも楽しみたいですが、苦手という場合は次の方法が効果的です。
1. 塩もみ
ゴーヤはスライスしてから塩をもみ込む。数分置いたらしぼり、水気をきる。さらに熱湯で短時間下茹ですると、さらに苦みは抜ける。
2. 油やマヨネーズでコーティング
多めの油で炒めたり、マヨネーズあえにしたりすれば、苦みがコーティングされて食べやすくなる。
ゴーヤを食べすぎるとどうなる?
ゴーヤに含まれるモモルデシンは、胃腸の分泌を促して食欲増進につなげる栄養成分です。そのため、食べすぎると胃腸に負担がかかるとも言われています。また、ゴーヤには不溶性の食物繊維が含まれているため、食べすぎると下痢につながってしまうことも。ゴーヤに限ったことではないですが、栄養が豊富だからと偏って食べるのではなく、バランスよく取り入れることが大切です。
ゴーヤの切り方
ゴーヤは半月切りのように切るのが一般的です。ゴーヤの苦みを抑えたい、という場合には2ミリ~3ミリほどに薄くスライスすると火が通りやすく、調味料の味も染み込みやすいので食べやすくなります。ただ、ゴーヤならではの食感を楽しむにはやや厚めの5ミリほどがおすすめです。
また、捨ててしまいがちなゴーヤのワタや種にも栄養が豊富。 素揚げにするなど調理を工夫すれば美味しく食べられます。
ゴーヤの保存方法
ゴーヤが食べきれずに余ってしまったら、種とワタをとり、キッチンペーパーなどに包んで野菜室で保存します。冷凍保存するにはサッと塩茹でするか、軽く炒めてから保存すると良いでしょう。
ゴーヤの主な栄養素はビタミンCやカリウム
夏に旬を迎えるゴーヤには、ビタミンCやカリウムが豊富。また特有の苦みにはモモルデシンという成分が含まれ、食欲を増進させたり肝臓の機能を向上させたりする効能があるといわれています。夏のおつまみにゴーヤチャンプルーというのは理にかなっているのです。
加熱に弱いビタミンCですが、ゴーヤの場合は加熱しても損失は少な目。油といっしょに炒め物にすれば効率よく栄養素をとれます。ただし、水には流れやすいので、サッと水洗いする程度で使うとよいでしょう。