日本テレビ系ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(毎週土曜22:00~)の生命科学監修・小林武彦氏(東京大学 定量生命科学研究所 教授)と、日テレの能勢荘志プロデューサーが、24日に放送された同局のトーク番組『イントロ』(25:55~ ※関東ローカル)に出演した。

  • (左から)小林武彦教授、MCの佐藤真知子アナウンサー、能勢荘志プロデューサー=日本テレビ提供

ディーン・フジオカ演じる小比類巻祐一が室長を務める「科学犯罪対策室」が、最新科学によって生み出されるさまざまな怪事件に挑む同ドラマ。第1話での最初の事件は、AIロボットによる殺人事件。能勢Pは「登場したAIロボットは、介護施設などで働いている現役のロボットです。それをお借りして、本来はできないはずの演技をやってもらうというチャレンジングなことをやりました。ドラマでは自然に演技しているように見えたと思うんですけど、本来の動きとは全く違うことをさせているので現場は大変でした」と裏側を明かした。

細胞の老化のメカニズムを研究し、今作で生物学の見地から生命科学監修を担当する小林氏は「我々人間の能力は一つ進化するのに何万年もかかる。でも科学技術の進歩はものすごく速い。ちょっと目を離すとあっという間に先に行っちゃって、我々研究者でもちょっと違う分野になると“あれ? もうこんなに進んでたの?”ってなっちゃうから大変です」と語る。ドラマで描かれる科学技術は決して絵空事ではないと言う。

「面白ければ何でもありではなくて、ドラマで描かれている技術は将来現実になるかもしれない、テレビを見ている高校生が研究者になった時に“もしかしたらあなたが実現するかもしれないよ”という技術なんです。今はないけれど将来は可能だし、こういうことを目指している研究者は実際にいるんですよ、という目線で監修をさせていただきました」(小林教授)

実際、2045年にはAIが全人類の知能を超えるとの予測もある中、能勢Pは「我々が生きているうちにそんな世界が来ちゃう。そういう部分をうまくドラマに盛り込んで、科学技術を使う人間側が追いつかないとこんなことになるんじゃないか?と、想像を膨らませながらドラマを楽しんでいただきたい」と狙いをコメント。演出を務める羽住英一郎監督は『海猿』シリーズや『暗殺教室』シリーズをはじめ数々の映画作品を手掛けているとあって、「映画のスタッフがかなりの数入っているので、映画スケールの映像になっている」とアピールした。

小林教授は、同じ研究者として岸井ゆきの演じる天才科学者・最上友紀子の活躍に期待。「最上友紀子さんに日本の科学の将来を懸けている、と言ってもいいかもしれない。というのは、研究者になる若者が減っちゃったんですよ。特に女性が少ない。これは日本だけなんです。例えばアメリカで生物系の学会に行くと、分野にもよるんですけど半分以上が女性という学会が普通にある」と明かす。

日本で女性研究者が育たない理由の一つは、身近に研究者がいないからだと小林教授は考える。

「ロールモデルがあまりにもない、友達や親戚やお姉さんに研究者がいないから分からない、というのがある。そういう意味でテレビドラマはすごくリアリティーがあって“こういう仕事してるんだな”と分かる。リアルな世界でも最上さんのようにステキな女性はいっぱいいます。だから彼女の場合はほぼリアルだと思ってください。ああいう女性研究者はいますから。“こういう人がいるんだったら研究者もいいかな”と思ってくれたら、最上友紀子バンザイ! それだけでも監修を引き受けたかいがあります」(小林教授)

そして、ディーン・フジオカが演じる警察官僚についても、「ディーンさんみたいな人がバリバリの警察官僚として活躍すると、そちらの方の人気も上がるのでいいと思います」と話した。

ユースケ・サンタマリア演じる刑事・長谷部勉について、能勢Pは「元捜査一課のベテラン刑事で、科学の“かの字”も知らない、理科もすごく苦手だったという設定なので、“それ、どういうことなの?”ということを説明する呼び水になり、なおかつ愉快なキャラクターでコメディー部分を支えてくれる重要な役割。現場でもそんな感じで、みんなすごく楽しそうです。根は繊細だからこそ皆さんに気を使って雰囲気を盛り上げている」と紹介。

そんなユースケのことを「科学用語では『バッファー効果』と言うんです」と小林教授。「個性の強い役者さんの間に入り、緩衝材としてまとまりを作る。『バッファー効果』をユースケさんが作っている」と分析した。

最後に能勢Pは、今後の展開について、「第1話の最後に出てきた、小比類巻が秘密にしている奥さんの凍結保存、それが一体どういうことなのか、これから明らかになっていくし、岸井さん演じる最上がなぜ一度科学の世界から離れたのかという謎もひもとかれていく。1話1話を見ても楽しめるし、全10話を通して見ても楽しめる」と予告。

さらに、「連続ドラマはきちんと全10話で完結します。HuluのSeason2は全く新しい物語が始まるので、“続きはHuluで”というわけではないです!」と強調した。