俳優のディーン・フジオカが主演する日本テレビ系ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』(23日スタート、毎週土曜22:00~)。最新科学によって引き起こされる様々な怪事件が描かれるが、第1話では「AIロボットによる殺人事件」が発生する。最新鋭のAIを搭載した介護用ロボット・LEO(レオ)が登場し、「私が殺しました」と自供するが、これを“演じている”のは実際に介護用ロボットとして活躍する米・Aeolus Robotics Corporation製の「アイオロス・ロボット」(以下、アイオロス)だ。

今回がドラマデビューとなったが、初めてのチャレンジなだけに、撮影においては数々の苦労があったという。アイオロスの日本販売代理店であるエレクトロニクス商社・丸文の担当者が、舞台裏を明かしてくれた――。

  • (左から)ディーン・フジオカ、アイオロス・ロボット、内田理央 (C)NTV

    (左から)ディーン・フジオカ、アイオロス・ロボット、内田理央 (C)NTV

■「現場で足を引っ張らないのか…」と不安

アイオロスの出演について最初に丸文に連絡したのは、奇しくも「株式会社ロボット」の担当者。日本テレビのドラマ制作にあたり、複雑な演技に対応できるロボットをリサーチしたところ、AIを搭載した人型ロボットで最も技術的に優れているということで、白羽の矢が立った。例えば、エレベーターの乗り降りをするにも、乗り込んで、ボタンを押して、目的の階に着いたら降りる…という一連の動きには高度な技術が必要だそうで、それができるのは現在アイオロスくらいなのだという。

ただ、「撮影現場で足を引っ張らないのか、最初は非常に不安な部分もありました」と打ち明けるのは、丸文のアイロスビジネス責任者・樋口智昭氏。それに加え、殺人の疑いをかけられるという役柄だったため、「ロボットのイメージを害してしまうことになるのではないか」(樋口氏)という懸念もあった。

それでも、ドラマ側が“アイオロスでしか、この演技はあり得ない”と熱心に説得し、羽住英一郎監督やプロデューサーも参加したデモルームでの視察や、事前のミーティングを重ね、出演に合意。そこから、本番に向けての“稽古”が始まった。

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■しぐさや表情を「演技指導」

その内容は、撮影日に入るまでに、ロボットの動きをプログラミングするというもの。例えば、相手の役者が話すと、最初はその方向へ首だけ振り、次いで体を向けるといったような細かな動きが求められた。その上、介護用ロボットには不要な背中に手を回すといった、もともと設計されてない動作を要望されると、新たな装置を取り付けてカスタマイズした。

アイオロスは動きだけでなく、“表情”を出すことも可能。目元のビジュアルに加え、耳の位置にあるLEDを緊急事態が発生したときに赤く点灯させるなど、ロボットならではの表情をうまく演技でも利用した。

5つの動作のプログラミングを、朝から晩まで作り込むこともあったという。それはまるで、演出家が新人俳優に熱血の演技指導を行う関係性のようだ。