長年“キモカワキャラ”として、イジられる側で活躍してきた田中。MCへの野望は持ち続けていたが、「それよりは“求められたところでしっかりやる”という気持ちでずっとやってきたんです」と、自身の役割を全うしてきた。そうしていくうちに、仕事の内容に変化があったという。
「40代に入って、ちょっとずつ進行側の役割が増えてきたんですよ。『ゴッドタン』(テレビ東京)や『所さんお届けモノです!』(MBS)とか。あと、『にちようチャップリン』(テレ東)や『THE W』(日本テレビ)の審査員もそうですよね。いじられキャラの人が審査員なんてやらないじゃないですか。それに、『お笑いオムニバスGP』(フジ)で片っ端からツッコみまくるという仕事もやって、そうやってここ数年の仕事で積み上げてきたものが、結果的に今回につながったのかなという感じもあります」
決して近道ではなかったゴールデン冠番組のMC。しかし、遠回りしてきたからこそのMC像があるはずだ。『人志松本の酒のツマミになる話』(フジ)で、フットボールアワーの岩尾望について、「20代からハゲを受け入れて、後藤(輝基)さんに『謝れ!』って言われて、頭下げてハゲ露出して、これだけでも精神的につらいのに『ハゲとるやないか!』って叩かれて、それでもニコニコして。俺にはできない!!」と嘆いて松本人志らを爆笑させたトークは、今の時代に求められるという“優しさ”を持ち合わせているのを感じさせた。
「あれは本当に自分が感じたことで、『岩尾さんすごいなあ』という気持ちだったんですよ(笑)。でも、ずっとMCをやってる人が強く聞こえちゃうことも、僕みたいなこんな声と見た目で、これまでずっとイジられてきた人間から発すると、『あいつが言うんだったらいいや』みたいな空気が出せたらいいなと思いますね」
今回の抜てきを「間違いなくターニングポイント」と捉える田中。プライベートでは最近彼女ができたこともあり、「たまたまつながったというのはありますけど、この流れを上手く続けていけたらなと思いますね」と、今後を見据えていた。
●田中卓志
1976年生まれ、広島県出身。広島大学卒業後、00年に山根良顕とお笑いコンビ・アンガールズを結成し、『爆笑問題のバク天!』(TBS)、『クイズ!ヘキサゴンII』『はねるのトびら』『バイキング』(フジテレビ)、『有吉弘行のダレトク!?』(カンテレ)、『おはスタ』(テレビ東京)などに出演。現在のレギュラー番組は、『世界の何だコレ!?ミステリー』(フジ)、『所さんお届けモノです!』(MBS)、『土曜はナニする!?』(カンテレ)、『有吉ぃぃeeeee!そうだ!今からお前んチでゲームしない?』『ぴったり にちようチャップリン』(テレ東)、『ツクランカー』(NHK Eテレ)、『突撃!隣のスゴイ家』(BSテレ東)、『オンエア決めろ!―笑武―』(BSJapanext)、『元就。』(RCC)、『アッパレやってまーす!水曜日』(MBSラジオ)、『アンガールズのカープ愛炸裂番組 カーティスト』(RCCラジオ)、『オールナイトニッポンPODCAST アンガールズのジャンピン』(ニッポン放送)。4月24日から、ゴールデン帯初MC番組『呼び出し先生タナカ』(フジ)がスタートする。