東京商工リサーチは4月19日、「価格転嫁に関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は4月1日~11日、資本金1億円以上の大企業、および1億円未満(個人企業等を含む)の中小企業を対象にインターネットで行われ、3,900社の有効回答を集計・分析した。

  • 何割を価格転嫁できていますか?

    何割を価格転嫁できていますか?

原油高や原材料価格の上昇、円安進行などのコストアップが企業経営を直撃するなか、「原油・原材料の価格上昇に伴うコスト増加分のうち、何割を価格転嫁できていますか?」と質問したところ、企業の約7割(構成比68.6%)が「価格転嫁できていない」と回答。販売やサービス提供の価格への転嫁に苦心する企業が多い実態が浮き彫りになった。

また、「価格転嫁できていない」と回答した企業を業種別で分析(業種中分類、回答母数20以上)したところ、1位「情報サービス業」(90.7%)、2位「その他の生活関連サービス業(旅行やブライダルなど)」(90.4%)といったサービス業が上位に。無形サービスや役務を提供する業種では、価格転嫁が難しいことを示している。

  • コスト吸収(バッファ)について

    コスト吸収(バッファ)について

続いて、「原油・原材料について、現在から何%上昇すると赤字(営業利益ベース)となりますか?」と尋ねたところ、「すでに赤字」(29.0%)の企業が3割を占める結果に。また、黒字の企業でも「10%以下」が16.9%に達するなど、多くの企業が期間利益の確保に苦慮していることがうかがえた。

規模別では、「すでに赤字」は大企業で36.8%、中小企業で28.3%。一方、「51%以上」は大企業が9.0%、中小企業が4.3%で、中小企業はコスト増加に対す吸収力(バッファ)が相対的に小さいよう。

業種別で分析(業種中分類、回答母数20以上)すると、比率の最高は、「繊維・衣服等卸売業」の46.4%。以下、「道路貨物運送業」(46.3%)、「輸送用機械器具製造業」(43.7%)、「印刷・同関連業」(38.4%)と続いた。