天気予報やニュースなどで「未明(みめい)」という言葉を聞いた経験がある人もいるはず。しかし「未明」という言葉が、具体的に何時頃のことを指すのかとなると、知らない人の方が多いのではないでしょうか。

この記事では「未明」の意味や具体的な時間帯、さらには使い方や例文、注意したい誤用についても紹介します。「未明」の意味や使い方を、ぜひ把握しておきましょう。

  • 「未明」とはどんな意味なのか、使い方や類語、英語表現なども紹介します

    「未明」とはどんな意味なのか、使い方や類語、英語表現なども紹介します

「未明」の意味とは

「未明」という言葉の意味や、意味が似ている印象のある「明け方」との違いなどを紹介します。

「未明」も「明け方」も、天気予報、またテレビニュースや新聞などの報道でよく使われる言葉です。それぞれの言葉の意味を正しく理解しておけば、より正確に天気予報を把握できるなど、日常生活の中でも役立つでしょう。ぜひ、意味をチェックしてみてください。

「未明」が指す時間帯

「未明」は、「みめい」または「びめい」と読みます。辞典ではまだ夜が明けきらない時分、午前3時~日の出前くらいの時間帯を意味する言葉です。

ですが気象庁の予報用語の中では、「未明」という言葉が示す時間帯は午前0時から午前3時頃までとされています。報道においても、同様の時間帯を指す言葉として使われることが多いようです。

辞書的な「未明」の意味と、気象庁や報道で使われている定義が全く同じではない、という点には注意が必要です。天気予報などで「未明」という言葉が出てきたら、「午前0時から午前3時頃のことなんだ」と理解するようにしましょう。

「未明」と「明け方」の違い

「未明」と似て非なる言葉に「明け方」がありますが、この違いをご存知でしょうか? 気象庁の予報用語によると、「未明」は「午前0時から午前3時頃まで」を指し、「明け方」は「午前3時から午前6時頃まで」を表す言葉だそうです。つまり、「未明」のすぐ後に「明け方」が来る――ということになります。

「未明」「明け方」などの気象庁の定義

気象庁の定義では、「未明」という言葉が辞典の意味とは少し異なることがわかりました。

そうなると「『未明』だけでなく、ほかの時間帯を指す言葉も実は自分のイメージとは違うのではないか?」と思う人もいるでしょう。

そこで「未明」以外の用語についても、前述の気象庁の予報用語の中で、いつ頃の時間帯とされているのか、いくつかご紹介しましょう。

  • 未明:午前0時から午前3時頃まで
  • 夜明け:日の出前の空が薄明るくなる頃
  • 明け方:午前3時から午前6時頃まで
  • 朝:午前6時頃から午前9時頃まで
  • 午前中:一般的には午前0時から正午までだが、5時予報、11時予報の「今日」の予報では、発表時から正午までの期間に対して用いる
  • 昼頃:正午の前後それぞれ1時間を合わせた2時間くらい
  • 昼前:午前9時頃から12時頃まで
  • 昼過ぎ:12時頃から15時頃まで
  • 午後:12時から24時まで
  • 夕方:15時頃から18時頃まで
  • 夜のはじめ頃:18時頃から21時頃まで
  • 夜:18時頃から翌日の午前6時頃まで。府県天気予報では日界が24時のため、18時頃から24時まで
  • 夜遅く:21時頃から24時頃まで
  • 朝晩:午前0時頃から午前9時頃までと、18時頃から24時頃まで
  • 朝夕:午前0時頃から午前9時頃までと、15時頃から18時頃まで
  • 日中:午前9時頃から18時頃まで。予報で「明日(今日)日中の最高気温」と用いるときは9時から18時

気象庁のホームページではこのほかにも、年単位や月単位の用語の説明もあるので、気になる人はぜひ見てみましょう。

  • 「未明」は夜明け前のことですが、気象庁の定義では午前0時から午前3時頃までです

    「未明」は夜明け前のことですが、気象庁の定義では午前0時から午前3時頃までです

「未明」の誤用

「未明」の意味は、誤って理解されていることもあります。よくある「未明」の誤用例について紹介します。

「まだ明らかになっていない」は誤用

「明」は、はっきりしていること、疑う余地がない様子を意味する「明らか」という言葉にも使われています。そのため、「未明」で「まだ明らかになっていない」という意味だと考える人もいますが、これは誤用です。

例えば、夜のニュースなどで「本日未明、○○市の交差点で事故がありました」といっているのは、具体的な時間が明らかになっていないから「今日未明」という言葉を使っているわけではありません。注意しましょう。

  • まだ明らかになっていないという意味は「未明」の誤用です

    まだ明らかになっていないという意味は「未明」の誤用です

「未明」の類語

辞書的な「未明」の意味である「夜が明ける前」を指すほかの言葉を紹介します。類語もあわせて覚えておけば、自分のボキャブラリーが増えて、幅広い日本語表現ができるようになるでしょう。

「夜が明ける前」という意味の類語

夜が明ける前を指している言葉には、以下のようなものがあります。

  • 夜明け前:夜が明ける直前のこと
  • 明け方:夜の明けようとするころ
  • 薄明(はくめい):日の出前と日没後のうすあかりの状態
  • 昧爽(まいそう):明け方のほのかに暗いときのこと
  • 昧旦(まいたん):昧爽と同じ

「昧爽」や「昧旦」は、読み方も難しく、初めて聞いたという人も多いかもしれません。意味を知っておけば、小説などを読んでいるときに出てきても、辞書を引く手間なく、意味を理解できるでしょう。

「明け方」は辞典では夜の明けようとするころを意味していますが、前述のように気象庁の定義では午前3時頃から午前6時頃を指す言葉として使われていますので注意しましょう。

  • 類語もあわせて覚えておくことでボキャブラリーを増やしていきましょう

    類語もあわせて覚えておくことでボキャブラリーを増やしていきましょう

「未明」の使い方・例文

「未明」の使い方や例文を紹介します。

天気予報やニュースなどでの使い方・例文

「天気予報やニュースで、なんとなくこんな言い回しを聞いたことがあるな」という人もいるかもしれません。例文とセットで覚えておけば、イメージもつかみやすくなります。

  • 14日未明、○○市のアパートの一室で火事がありました
  • 今日未明、雪崩が発生し、国道○○号は全面通行止めとなっています
  • 低気圧の影響により、23日未明から広い範囲で雪や雨が降るでしょう
  • 流星群は、本日の夜遅くから明日未明にかけてが一番見やすいでしょう
  • ニュースや天気予報では、時間帯を表す言葉として「未明」がよく使われています

    ニュースや天気予報では、時間帯を表す言葉として「未明」がよく使われています

「未明」の英語表現

「未明」の英語表現としては「before dawn」があります。「dawn」は夜明け、「before」は前という意味なので、「before dawn」で夜明け前となり、「未明」と同じ意味です。

英文:According to the weather forecast, it will snow before dawn tomorrow.
訳:天気予報によると明日未明に雪が降るらしい。

英語を勉強中の人は、ぜひ英語表現も覚えておきましょう。

  • 「未明」は英語では「before dawn」で表現できます

    「未明」は英語では「before dawn」で表現できます

「未明」の意味を知ってニュースや天気予報の理解に役立てよう

「未明」とは、夜がまだ明けていない状態のことです。ただし、気象庁の用語では、午前0時頃から午前3時頃までの時間帯を意味しています。「未明」を「まだ明らかになっていない」という意味として使うのは、誤用となるので注意しましょう。

「未明」をはじめ、言葉の表現を正しく理解することで、ぜひ日常生活に役立ててみてください。