「憂い」は、小説やネット記事など普段の生活で目にする機会が多い言葉です。2つの読み方を持ち、意味もそれぞれ異なるため、正しく覚えましょう。本記事では、憂いの読み方や意味、例文を交えた使い方を紹介します。また、類語や英語表現なども解説。間違った使い方をしないためにも確認してみてください。

  • 憂いとは

    憂いはどんな意味を持つ言葉なのでしょうか

憂いとは

「憂い」には2つの読み方があり、読み方によって意味も異なります。それぞれの読み方と意味を確認しておきましょう。

憂いの読み方

憂いには「うい」と「うれい」という2種類の読み方があります。なかには片方しか知らなかったという人もいるのではないでしょうか。意味がそれぞれ異なるため、文章を読むときには、どちらになるのかを文脈から判断しましょう。

憂いの意味

憂いを「うい」と読む場合、「心配」または「不安」といった意味になります。

「うれい」の場合は、意味が複数あるので注意が必要です。まず、人の感情を表す場合は「切なく悩ましい」という意味になります。辛い出来事や人との別れなどによって起こるやり場のない感情を表現しています。また、物事がうまくいかないことに対する「辛さや苦しさ」などを表す言葉でもあります。

一方、人の態度を表す場合は、「つれなく冷たい」という意味に。そっけない態度や冷淡さを表現する際に使われます。

状況や前後の文章などから意図をしっかりと読み取るようにしましょう。

愁いとの違い

同じく「うれい」という読み方を持ち、憂いと混同されがちなのが「愁い」という言葉です。愁いは、「嘆き悲しむこと」や「憂鬱で心が晴れないこと」を表します。意味も憂いと似ていますが、憂いは不安な気持ちや心配する気持ちを表す場合に使うのに対し、愁いは悲しい気持ちが態度などに表れている様子を指す場合に使います。

  • 憂いの読み方

    憂いは複数の意味を持つので、それぞれ理解しておきましょう

憂いの類語

憂いには、似た意味をもつ類語が複数あります。語彙力を高めるためにも、どんな言葉があるのか確認しておきましょう。

憂慮

憂慮は「ゆうりょ」と読み、「不幸な出来事が起こるのではないか」といったあいまいな不安感を表す言葉です。また、強い不安感をともなう表現でもあり、まだ悪い事態が起こっていないにもかかわらずネガティブな想像から危機感を抱く、といった意味合いで使うこともあります。憂いを「うい」と読む場合の意味と似ているため、置き換え表現として使えるでしょう。

気鬱

気鬱は「きうつ」と読み、「気分がはればれとしない」様子を表す言葉です。気がふさぐといった意味もあり「気鬱な毎日」といった使い方をします。

憂いの、感情的な「辛さや苦しさ」という意味と似ていて、置き換え表現として使えます。ただし、不安といった意味はあまり含まれません。不安というニュアンスが強い場合は別の言葉を使いましょう。

物憂げ

物憂げは「ものうげ」と読み、「なんとなく憂鬱な」様子を表す言葉です。前述の気鬱と近いニュアンスで使います。

愁事

愁事は「うれいごと」と読み、「心配事や悲しいこと」を表す言葉です。歌舞伎では嘆き悲しむさまを演じることや、その場面のことを愁事と呼びます。

  • 憂いの類語

    類語も覚えて語彙力を高めましょう

憂いの英語表現

憂いは複数の意味を持つため、英語表現にも複数の単語があります。ここでは憂いの英語表現を3つ紹介します。

somber

「色や明るさが暗い」「雰囲気や様子が陰気、憂鬱」といった意味を持つ「somber」は、憂いの英語表現の一つです。「厳粛な」という意味でも使われるため、文脈でどちらの意味かを判断しましょう。

melancholy

憂鬱やふさぎ込んだ感情を表す「melancholy」も憂いの英語表現として使われます。主に人の感情を表現する際に使う言葉です。医学用語として使われることもあり、この場合も憂鬱な感情を表します。

dysphoric

「dysphoric」は「不快な」「悲しい、不幸なといった気持ちや気分、感情」などの意味を持つ言葉です。melancholyと同じく医学用語としても使われます。不快という意味合いが強い言葉です。

  • 憂いの英語表現

    英語を使う場面にも対応できるよう、英語表現も覚えてみてください

憂いの使い方

憂いはさまざまな意味を持つため、使い方に注意しなければなりません。ここでは具体的な例文を挙げながら正しい使い方を紹介します。

【例】
・いつまでもこの現状を憂いてもしょうがない
・彼女の憂いを帯びた表情が、深刻さを物語っている
・結婚したばかりなのに彼の表情には憂いが見られた
・少年の目は憂いに満ちていた

  • 憂いの使い方

    憂いを正しく使いましょう

憂いの意味を正しく理解しよう

憂いは、「うい」と「うれい」の2つの読み方を持つ言葉です。それぞれ意味が異なり、うれいと読む場合は複数の意味を持ちます。文章に出てきた場合は、前後の会話や文脈、状況などから意味を判断しましょう。また、使うときには間違った使い方をしないよう注意してください。

今回紹介した類語もあわせて覚えれば、より表現の幅が広がります。ぜひこの機会に、あわせて覚えてみてはいかがでしょうか。