原稿の締切が目の前に迫っているのに、なかなか筆が進まない……ライティング業に携わっている人なら、誰しもその感覚がわかるはずです。

頭では「そろそろヤバい」と理解しつつ、ついスマホをいじってみたり、普段はしないデスクの片付けを始めてしまったり……。
本当に追い込まれるまで気乗りしないなんてまるで夏休みの宿題のようですが、そんなスロースターターな皆さんに朗報。まずはコチラのツイートを御覧ください。

「原稿執筆カフェ」は締切に追われてない人は入場できません!店内の緊張感維持のためご理解とご協力をお願いいたします。
(@TakuyaKawaiより引用)

  • (@TakuyaKawaiより引用)

この「原稿執筆カフェ」は、原稿の締切に追われてない人は入場できない特殊なカフェで、そこには「店内の緊張感維持のため」という理由があるそうです。
確かに、利用者全員が締め切りに追われているという逼迫した状況であれば、さすがに原稿も捗るに違いありません。

仕掛け人は、ツイートの投稿主である「川井さん〈動画編集カフェ〉 (@TakuyaKawai)」さん。カフェの場所は東京都杉並区のライブ配信&撮影スタジオ「高円寺三角地帯」で、公式ページによると、スタジオの空き時間を使って営業しているようです。

また、入店時には「作業目標」を記入し、目標を達成するまでは退店できないばかりか、店長さんが1時間ごとに進捗を尋ねてくるという徹底ぶり。これでは呑気にスマホをいじっている暇もないでしょう。

このカフェはツイッターで大きな注目を集め、1.4万件のリツイート、4.1万件のいいねを獲得(4月10日時点)し、多くのコメントも寄せられました。

「担当さんが別室で待ち構えてて更に緊張感を醸し出すんですね わかります」

「これはすごい発想!!」

「死ぬほど空気張り詰めてそう」

「カンヅメカフェwww」

「ルール見たら終わるまで退店不可なのほんと笑う」

また、「同人誌とか書類の締切にも適応されるなら通いたい。いっそ住みたい」「自宅で書けない派なのでこういうお店はありがたいですw」「今の俺が求めていたところ」「うひょう!原稿終わるまで、自分で自分をカンヅメにできる原稿執筆カフェとは!笑 魅力的すぎる」など、カフェのオープンを歓迎する声も多く寄せられました。

投稿主さんに聞いてみた

それにしても、なぜこのような珍しいカフェをプロデュースするに至ったのか、川井さんご本人に詳しい話をうかがいしました。

ーーなぜ「原稿執筆カフェ」を開催しようと思ったのでしょうか?

「高円寺三角地帯」は飲食店許可のある撮影スタジオなのですが、撮影で使用していないときの時間を何か使えないか? と考えていました。

でも、飲食物を出すサービスだと食材の在庫が必要だったり調理スキルが必要だったりとたいへんなので、コワーキングスペースがいいかな? と思っていたんです。

ただし、一般的なコワーキングスペースだと収益も少ない上に、自分たちの仕事のプラスにもつながらないので、「動画編集カフェ」という動画編集する人しか入店できないタスク限定型コワーキングを昨年始めたんです。すると反響が大きく、「原稿執筆に特化したものも欲しい! 」という意見が寄せられたので、第二弾として企画しました。

タスクを限定することで店内が同じ業種の人になる。会話はないけど目的を共有しているという不思議な一体感が生まれるのではないか? と期待しています。

ーー実際に、利用者はどのような様子ですか?

まだ1日しか営業をしていないのですが、来店されたのはライター、編集者、翻訳家、漫画家、同人誌製作者の方などです。来店された方全員が目標を達成して退店されています。

ーー今回のツイートが大きな反響を生んでいるかと思います。率直なご感想などはございますか?

何回もツイートしてる中でヒットしたのは1つだけでした。それは「締切を抱えてない方の入店はお断りします」という強い言い方(挑発)だったので、逆に目立ったのだと思います。

「原稿執筆カフェ」は利用者の方が入店時に設定した目標をクリアして退店いただくためのサービスです。つまりこのスタジオから映像と同様に原稿という作品が生まれてほしいんです。

だからひやかしで来てダラダラ過ごすお客さんがいると本当に締め切りをかかえて最後の駆け込み寺のように飛び込んでタイピングしてる人に申し訳ないと思ったんです。

なので強い言葉で書いてみたのですが、それがヒットしたというのが面白かったです。


「原稿という作品が生まれていくカフェ」というのは何とも素敵なアイデアですよね。

『「原稿執筆カフェ」公式ページ』にはさらに詳しい情報が載っているので、今まさに締切に追われている、またはこれから追われる予定だという方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。