2021年、同一クールで3本の連続ドラマに出演し、それぞれ全く違う顔を見せ視聴者を驚かせた女優・田辺桃子。そんな彼女の最新作ドラマが3月27日に放送されるTBS系ドラマ『就活タイムカプセル』(14:00~14:54 ※一部地域を除く)だ。本作で田辺は、佐野勇斗演じる主人公・朝井拓真の幼なじみで恋人の新谷理紗に扮する。“就活”というある意味、人生で最も大きな岐路をテーマに挑む田辺にとっての俳優としてのターニングポイントとは――。

  • 田辺桃子

■「このお仕事で、もっと多くの方にサプライズを仕掛けることができるのかも」

小学生から初めた芸能活動。本格的に芝居を職業として意識したのは中学2~3年生のころだという。「その当時、『将来の仕事になったらいいな』と漠然と演じる仕事をしていきたいなと思っていたのですが、高校生になっても、まだ具体的な目標みたいなものを想像できていませんでした」と昔を振り返る。

そんななか、俳優という仕事の輪郭がはっきり見えてきたのが、2021年だったという。「昨年1年間、すごくいろいろなキャラクターを演じる機会をいただけました。そのとき、ほんの少しですが、もしかしたら自分にしかできないような、観ている人をアッと驚かせるような表現ができるかもしれない……と思えたんです」。

田辺の言葉通り、2021年4月クールに放送された作品で、視聴者を驚かせる演技を次々に見せた。人気シリーズとして、2020年から放送されているドラマ『ゆるキャン△』のパート2では、前髪ぱっつんに丸眼鏡、明るく活発な野外活動サークルの暴走部長・大垣千明を演じたかと思えば、『ガールガンレディ』では、相手を平気で欺き、殺戮する女子高生を、さらに『リコカツ』では、航空自衛隊のパイロットで、北川景子演じるヒロイン・咲に遠回しにマウントを取る、いわゆる“嫌な女”と、同一クールでまったく違うキャラクターを演じた。

「ありがたいことに、同じ時期に作品が重なったことで、比較をしてくださった方も多く、自分で想像していた以上に大きな反響がありました。特に『同じ人だと気づかなかった』という声をいただくことは、私にとってはとてもうれしい褒め言葉で、もしかしたら、このお仕事で、もっと多くの方にサプライズを仕掛けることができるのかも……と新たなやりがいを見つけられるきっかけになりました」。

■振り幅の大きなキャラクターを演じ「先入観を持たなくなった」

振り幅の大きなキャラクターを演じたことで、大きな気づきがあった。それは「先入観を持たなくなった」こと。田辺は「今までは、例えば“大学生”や“就職活動中”など、定型化されている人物像だったり、ハッシュタグ的な、これで検索すれば大体出てくるだろうという平均値の人物みたいなものを考えてしまっていたのですが、振り幅の大きな役をやらせていただいたことで『もっとこんなことをやってもいいのかもしれない』という風に考えられるようになりました」と変化を述べる。

今回演じた理紗という役も、いわゆるプロフィール的な部分で「こういう人だろう」という決めつけをせず、さまざまな視点で人物を立体化している。そのためのリサーチも欠かさない。

「プロデューサーさんや監督から就活に関するネガティブな気持ちを聞かせてもらったり、ちょうど自分の同級生が就活をしている年代なので、内定が決まった話や、苦戦している部分、憤りを感じていることなどを聞いたりして、理紗という人物の参考にしました」。

本作は、一話完結の物語。1時間のなかで、しっかりと人物を表現しなければならない。特に佐野とは、幼なじみで恋人という長い関係性を、短い時間で説得力を持って視聴者に伝える必要がある。田辺は「佐野さんとは初共演だったので、理紗と拓真の距離感はとても意識しました。でも恋人である一方で、親友でもあり仲間でもあるような関係性だったので、その状況によって、2人の距離の見せ方を変えていくように意識しました」と語った。