家族の介護がスタート。誰が介護を負担するのかといった問題とともに、大きな課題となるのが金銭面のこと。介護保険制度が整っているとはいえ、それ以外にも医療費や介護保険サービス外の出費がかかります。老後資金を貯めていた親もいれば、住宅ローンや子どもの教育費で十分な蓄えを準備できなかった親もいることでしょう。

そこで今回は50代以上のマイナビニュース会員に、親の介護費用についてアンケート。家族の介護費用は誰が払ったのか、足りない場合はどう工面したのか聞いてみました。

  • 家族の介護経験者に聞いた!介護の費用は誰が払った?

7割が「介護費用は足りた」と回答。しかし1割は「全く足りなかった」

Q1.あなたは家族の介護を経験したことはありますか?

・はい……48.0%
・いいえ……52.0%

50代以上のマイナビニュース会員506人に、これまで家族の介護を経験したことがあるか尋ねたところ、「ある」派(243人)、「ない」派(263人)は、それぞれ約半数でした。約2人に1人が家族の介護を経験していたことがわかりましたが、どのくらいの介護度の家族をケアしていたのでしょうか。

Q2.あなたが介護している(していた)家族の介護状態は以下のうちどれですか?

1位 要介護3……19.3%
2位 要支援・要介護認定は受けていない(いなかった)……18.9%
3位 要介護2……12.3%
4位 要介護4……10.7%
4位 要介護5……10.7%
6位 要介護1……9.9%
6位 要支援2……9.9%
8位 要支援1……8.2%

最も多い回答は、「要介護3」でした。要介護3は、食事や排泄など身の回りのことほぼすべてに介護が必要な状態で、認知症の症状が見られる場合もあります。次いで多かったのは「要支援・要介護認定は受けていない」でした。その中には、2000年の介護保険制度が創設以前に、家族の介護を行っていた人もいるのかもしれません。介護なしでは日常生活を送ることが困難になる「要介護4」、寝たきりになるケースも多い「要介護5」など、介護度が重い家族を介護していた人も23%見られました。

Q8.介護の費用は誰が払いましたか?

・被介護者本人(もしくは被介護者の配偶者)と介護する家族……41.2%
・被介護者本人(もしくは被介護者の配偶者)のみ……40.3%
・介護する家族のみ……17.7%
・その他……0.8%

介護の費用は誰が払ったか尋ねたところ、「被介護者本人(もしくは被介護者の配偶者)と介護する家族」と「被介護者本人(もしくは被介護者の配偶者)のみ」はほぼ同率でした。約8割は被介護本人が介護費用を払っている一方、約2割は被介護者が介護費用を用意できず、家族がすべて負担しているようです。

Q9.被介護者および家族として用意していた介護費用は十分でしたか?

・十分に足りた……38.7%
・ギリギリ足りた……35.0%
・少し不足した……16.9%
・全く足りなかった……9.5%

被介護者および家族として用意していた介護費用は十分であったか聞くと、74%が「足りた(十分に足りた、ギリギリ足りた)」と答えました。しかし26%は「不足した(少し不足した、全く足りなかった)」と回答しています。

Q10.費用が足りない分はどのように工夫・工面しましたか?

用意した介護費用ですが、実際に介護生活が続くと、4人に1人が「足りない」という状況に。9.5%と10人に1人は「全く足りない」とも答えています。不足分はどのように工面したのか、具体的な策について聞いてみました。

お金を借りた

  • 「親類などからの借金」(男性/59歳/千葉県/その他・専業主婦等/求職中・無職)
  • 「無担保ローンを利用した」(男性/73歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)
  • 「借金を重ねた。勿論、現在では全額返済済みですが15年間も介護を続けていたので、その総額費用は莫大なものになり借金せずにはどうしようもなかった」(男性/62歳/IT関連技術職/会社員・公務員・団体職員)

足りない介護費用を工面するため、親類などからお金を借りたという声が目立ちました。中には、キャッシングや無担保ローンを利用したという人も。現在は金融機関で介護ローンや福祉ローンなどの商品も取り扱っているので、今後はそうしたローンを利用する人も増えてくるかもしれません。

家や車などの売却、資産運用した

  • 「売れるものは売った。車も手放した、家もこのとき売ってしまった、もうなんにもない」(女性/52歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)
  • 「不動産を売却した」(男性/54歳/事務・企画・経営関連/会社員・公務員・団体職員)
  • 「資産運用をしてその利益分を費用に当てた」(男性/59歳/IT関連技術職/個人事業主・会社役員)

車や家などを売却し、不足分の費用を捻出した人の中には、「手元には何も残っていない」という悲痛な声を挙げる人もいました。かさむ医療費や介護費を補うための苦肉の策だったのかもしれませんが、家族の思い出が詰まった家の売却は、大変辛かったことでしょう。

節約して工面した、貯金を崩した

  • 「他の生活用品などの費用などを節約して介護費用に充てたり臨時収入(ボーナスなど)で補てんしている」(女性/63歳/専門サービス関連/会社員・公務員・団体職員)
  • 「生活費を削った」(男性/53歳/事務・企画・経営関連/個人事業主・会社役員)
  • 「貯金をくずした」(男性/58歳/建築・土木関連技術職/個人事業主・会社役員)

貯金を切り崩したり、ボーナスを介護費用に充てるという回答も多くなっています。また、固定費を見直したり、食費や水道光熱費などを節約し、浮いた額で補ったという声もありました。

その他

  • 「入居施設のランクを下げた」(男性/60歳/専門サービス関連/会社員・公務員・団体職員)
  • 「兄弟で工面した」(男性/54歳/技能工・運輸・設備関連/会社員・公務員・団体職員)
  • 「家族で介護増やした」(男性/66歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)

介護施設は、立地や部屋の大きさ、サービス内容によって月額費用に大きな差があります。無理なく支払うことができる介護施設にランクを下げれば、介護費用を大きく節約することも可能になるでしょう。そのほか、介護サービス費用のお金を浮かすために、その分家族で介護を負担するという人もいました。

まとめ

介護のためにこれまで貯めていたお金が底をついてしまう「介護破産」。そんな言葉を見聞きするたびに、自分の親や家族の将来を不安視する人も多いかもしれませんね。

しかし今回のアンケートでは、74%が「介護費用は足りた」と回答する結果しています。さらに8割は被介護者自身が介護費用を準備。介護する家族が費用を負担したケースもありますが、全額を負担したのは18%に留まりました。今回のアンケートの対象者の親は、高度経済成長期を経験し、終身雇用で務め上げて退職時にはまとまった額の退職金が受給できる世代が多いのではないでしょうか。そのため、被介護者の方で介護費用をある程度準備できていた可能性もあります。

一方、「介護費用が足りなかった」と答えた人は26%。きょうだい間で工面したり、親戚にお金を借りるほか、不動産や車などの財産を売却するなど、大変な思いをして介護費用を調達したという声もありました。しっかり老後のために蓄えていたとしても、介護度が重かったり、高額な治療費を要する病気にかかってしまった場合、対応しきれなくなる場合もあります。在宅介護のための住宅改修費などで出費がかさんでしまうことも考えられます。

「公的な制度で十分カバーできるのでは」「親は十分な備えがあるはず」と楽観視していたけれど、いざ介護生活が始まったら予想よりはるかに少ない貯蓄高や出費が続き、家族が金銭的な苦慮を強いられるというのもよく聞く話です。親と終活や介護の話をするのに抵抗を感じることもあるかもしれませんが、今の貯蓄と年金でどのくらいの介護サービスを受けることができるのか計算したり、家族間で介護の負担について話し合っておいてもいいかもしれませんね。

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調査時期: 2022年3月11日
調査対象: 50代以上のマイナビニュース男女会員
調査数: 506人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
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