「ぜっ、全然違う……!」――と衝撃が走った。
年々拡大するノンアルコール市場。その背景にはコロナ禍で強まる健康志向もあるようだ。当然、各メーカーともノンアル飲料には力を入れており、今やコンビニやスーパーでも新商品が入れ代わり立ち代わりの、選り取り見取り。これだけ種類が多いと、どれを選べばいいかわからないほどだ。
しかし、実際に飲んでみるとそれぞれまったく違った個性があり、例えば同じレモンサワーでもまったくその味わいはまったく違う。より豊かなノンアルライフを送るためにも、自分好みの一杯については把握しておいたほうがいいだろう。
ということで、今回はノンアルレモンサワー3種を実際に飲み比べてレビュー。個人の主観で酸味や苦味などを5段階評価してみたい。ぜひ、今後の参考にしてほしい。
今回用意したのは、日本コカ・コーラの「よわない檸檬堂」、サッポロビールの「レモンズフリー」、サントリースピッツの「のんある晩酌レモンサワー」の3種類。どれも比較的入手しやすいノンアルレモンサワーなので、一度は試したことがあるという人も少なくないだろう。
しかし、新商品も混ざっているだけに、3種類すべてをコンプリートした人や、実際に飲み比べてたことがある人はあまり多くないはずだ。
それではさっそく、ひとつずつ飲んで味わいを比較してみよう。まずは「よわない檸檬堂」からスタート!
複雑さとフレッシュな酸味が高次元で融合「よわない檸檬堂」
今年2月21日にデビューしたばかりのノンアルレモンサワー「よわない檸檬堂」。日本コカ・コーラが満を持して発売した、社として初のノンアル飲料だ。
そもそも檸檬堂といえば、2019年10月に全国発売された比較的新しいレモンサワーである。しかし、最後発でありながらあっという間に浸透。一時は各地で品切れになるほど爆発的な人気を得た。現在はアルコール3%の「はちみつレモン」、5%の「定番レモン」、7%の「塩レモン」、9%の「鬼レモン」、無糖で9%の「カミソリレモン」がラインナップ。
そこに今回、「よわない檸檬堂」が新たに加わったわけだが、その味やいかに。前置きが長くなったが、そろそろ飲んでみよう。
……美味っ! ものすごく美味しくてビックリ!
「フレッシュなレモン」というのが第一印象で、どちらかというと完熟したレモンというより、まさ皮に青みが残る早摘みレモンのようなフレッシュさ、爽やかさがある。レモンピールのキリッとした味わいがジューシーで、甘みもあるが苦味も効いていて、そのバランス感が絶妙だ。結果、お酒らしい味わいも確保しており、あまりお酒を嗜まない人はもちろん、酒好きの飲兵衛でも美味しいと思えるクオリティを保っているように思う。
また、日本コカ・コーラによると、よわない檸檬堂には「ジンにも使われる香りのスパイス」をしっかりと馴染ませているらしい。このスパイスが味に複雑さと奥深い広がりを与えているのだろう。さすが人気の檸檬堂、初のノンアルも見事なクオリティに仕上げている。そのまま飲んでも美味しいが、ピザや焼き肉、中華など、味が濃くて脂っぽい料理にも合いそうだ。
日本コカ・コーラ「よわない檸檬堂」
お酒っぽさ:★★★★☆
さわやかさ:★★★★★
酸っぱさ:★★★★☆
レモンの苦み:★★★☆☆
サワーの甘さ:★★★☆☆
強烈な酸味がヤミツキになる!「レモンズフリー」
続いては今月15日に発売されたばかりの「レモンズフリー」を試飲しよう。
「レモンズフリー」は、サッポロビールが約10年ぶりに投入したノンアル飲料で、中央部分のリボンのアイコンに書かれた「疲労感軽減」の文字がビジネスパーソンのハートに刺さりそうだ。疲労軽減効果があるクエン酸を配合しているらしい。
実際に飲んでみると……
おおっ、「よわない檸檬堂」と全然味が違う!! 「レモンズフリー」はとにかく酸味が強烈! すっぺ〜〜〜〜!! アゴの付け根がキュッとなるレベルである。これはこれでいい。これはこれでかなりいいぞ!
味を総評すると、やはり強烈なまでの酸っぱさが最大の特徴だが、かと言って暴力的なまででの酸味ではなく、しっかり「美味しい!」と思えるところに着地できている。よく味わってみると、「よわない檸檬堂」より甘みもあるようだ。酸味が強い分、少し甘みも強めにすることで全体の統一感が生まれている印象である。この突き抜けた酸っぱさが癖になって、ついつい杯が進んでしまう。
ただし、甘みが強めなので、食中に飲むというよりも、食前や食後に飲んだり、週末の昼間からゆっくりと嗜むといった飲み方がいいかもしれない。ジュース的な飲み方もできそうなので、ポテトチップスやポップコーンなど、お菓子類全般との相性はかなり良さそうだ。
サッポロビール「レモンズフリー」
お酒っぽさ:★★★☆☆
さわやかさ:★★★★☆
酸っぱさ:★★★★★
レモンの苦み:★★★☆☆
サワーの甘さ:★★★★☆
無双の焼酎感に飲兵衛も納得。「のんある晩酌レモンサワー」
それでは最後に「のんある晩酌レモンサワー」を試飲したい。
サントリースピリッツが昨年3月に発売し、その本格的な“焼酎”感で大きな注目を集めた。極力熱を与えずにアルコール分だけを取り除いたことで、焼酎由来の旨味が凝縮されたノンアルコールの焼酎エキスを抽出。結果、ノンアルコールでありながら焼酎らしい味わいをしっかり残すことに成功し、人気を博した。今年3月にはパッケージと中身をプチリニューアルしたようだが、果たしてその味は……
おおっ、マジか! これ本当にノンアルなの!? と疑いたくなるほど本格的な焼酎感である。味のほうも「よわない檸檬堂」や「レモンズフリー」と全然違う。
どちらかというと、「のんある晩酌レモンサワー」は、その味わいを徹底的に「酒」っぽさの再現に全振りしているイメージである。パッケージにもあるとおり、本当に甘みはほとんど感じないほどドライな飲み口で、酸味は比較的まろやかだが、当然レモンの風味は感じられる。炭酸の強さも程よいので、それが逆に赤提灯系の居酒屋で出てくる、甲類焼酎で作るレモンサワーのようだ。
焼肉や唐揚げなどのレモンが合う食事はもちろん、お刺身や塩辛など、酒のツマミとの相性も抜群に違いない。お酒に弱い人や、カクテルが好きな人にとっては本格派すぎるだろうが、飲兵衛の休肝日にはもってこいである。
サントリースピリッツ「のんある晩酌レモンサワー」
お酒っぽさ:★★★★★
さわやかさ:★★★☆☆
酸っぱさ:★★★☆☆
レモンの苦み:★★★★☆
サワーの甘さ:★☆☆☆☆
今回飲み比べたノンアルレモンサワーはいずれも量販店で入手しやすい銘柄なので、気になったものがあればぜひ、試してみてほしい。きっと、少し甘酸っぱくてほろ苦い(?)夜を演出してくれるはずだ。