年収が2,000万円超えの人は、どのくらいいて、どんな業種の人に多いのでしょうか? 国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると給与所得者の平均給与は433万円となっていて、年収が2,000万円を超える人は、給与所得者数5,244万6,000人に対して26万8,819人(約0.5%)と狭き門となっています。

年収2,000万円を目指すには、儲かるビジネスモデルであること、働く環境が、実力主義であることが条件でしょう。まずどんな業種で年収2,000万円超えの人がいるのかを見てみましょう。そのうえで、儲かるビジネスモデルとはどんな事業なのか、実力主義を採用している職種や業界について解説します。

年収2,000万円超えの業種ベスト3

令和2年分民間給与実態統計調査によると、年収2,000万円超えの人が最も多い業種ベスト3は、

1位 医療、福祉 6万1,010人 0.12%
2位 製造業 4万6,597人 0.09%
3位 卸売・小売業 3万9,668人 0.08%

(%は、給与所得者数5,244万6,000人に対しての数値)となっています。

1位の医療、福祉の中には、医師が含まれます。「第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」を見てみると、令和3年度の一般病院医師の平均給与は、以下の通りです。

病院長 2,690万24円
医師 1,467万8,978円
歯科医師 1,156万2,872円

医師の収入源である診察料は、診療報酬制度で決められていますが、やはりその金額が高いことが高収入の要因で、さらに高稼働であればより収入は増えると言われています。また、一般病院の中でも、医療法人に勤務する病院長の平均は、3,110万957円となっていて医師の給与全体の平均を押し上げていることがわかります。

儲かるビジネスモデルとは

年収2,000万円を目指すには、儲かるビジネスモデルの業種に就くことも重要です。
ビジネスモデルとは、あるサービスについての利益を生み出す構造(モデル)のことです。

設備投資が少なくできるビジネスで、原材料費が低価格または無形のサービスは、原価がかからず、利益を生みやすいビジネスモデルと言われています。どのような業種、企業があるのでしょうか。

製造業

例えば、先程のランキング2位の製造業で年収の高い企業に、キーエンスが挙げられます。同社の平均給与は、約1,752万円(2021年3月期有価証券報告書による)となっています。

同社は、製造業ですが自社工場を持たないため、製造業の中でも固定資産が少ないこと、代理店を通さずに直接顧客に販売するビジネスモデルのため、利益が確保しやすいことが高収入につながっています。独自のビジネスモデルがあり、価格競争力があるという点も高収入になりやすいでしょう。

経営コンサルタント業

ランキングには入っていませんが、設備投資がかからず、無形のサービスと言えば、経営コンサルタント業も儲かりやすいビジネスモデルです。経営コンサルタントは、クライアントの経営課題を解決する高いスキルが必要な職業で、コンサルのフィーで収益を上げるビジネスモデルであるため、設備投資などのコストがほとんどかからないことも高収入につながっています。

M&Aコンサルタントの会社、M&Aキャピタルパートナーズの201年9月期の有価証券報告書によると、同社の平均年間給与は2,269万円となっています。なお、平均年齢は32.2歳です。

卸売業

また、3位に入っている卸売業といえば、商社が挙げられます。商社も高収入なビジネスモデルの業種です。

高度成長期時代の商社は、トレーディングと言われる、企業間の需要と供給のマッチングによる手数料がビジネスモデルでした。しかし、インターネット時代の到来で、このビジネスモデルから事業投資に転換しました。

例えば、三菱商事は、ローソン、伊藤忠商事は、ファミリーマートの大株主です。株の配当金、事業売却益が収益源になります。

三菱商事の平均給与は、約1,678万円、伊藤忠商事は、1,627万円となっています。(いずれも2021年3月期有価証券報告書より)

金融業

ランキングには入っていませんが、金融業も設備投資が少なくて、形のないサービスを提供するビジネスモデルです。野村證券の年間平均給与は約1,415万円となっています。(2021年3月期の有価証券報告書より)

実力主義の環境で働く

これまで述べてきた企業でも、企業全体で平均年収が2,000万円超えの企業はほとんどありません。年収2,000万円超稼ぐことはまだハードルがあるでしょう。仕事の成果に比例して収入が上がるような実力主義を採用している企業で、売上に直結するような職種に就くこと、独立して完全に自分の実力で収入を得ることも選択肢になるでしょう。

実力主義といえば、外資系企業が思い浮かぶでしょう。先述の外資系経営コンサルタントや金融機関は、外資系の中でも年収が高いと言われています。

売上に直結する職種で言うと、営業職が典型です。販売単価の高い不動産業や、金融業の営業マンが挙げられます。

営業マン以外では、証券会社のトレーダー、投資信託会社や生命保険で働くファンドマネージャーは運用成績に応じた収入であることが多いと言われています。

また、小売業ですが、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、完全実力主義と言われています。店長クラスでも、成果次第で年収2,000万円超えが給与レンジに入っています。

まとめ

年収2,000万円超稼げる業種や人数を見てきました。年収2,000万円超えを目指すには、儲かるビジネスモデルであること、売上に直結する職種に就くこと、実力主義の環境で実績を出すことが重要でしょう。