メルセデス・ベンツの大定番といえば「Cクラス」。現行型ではセダンとステーションワゴンが選べるが、ここに第3の選択肢が登場した。その名も「オールテレイン」だ。オールテレインはセダン/ワゴンと何が違うのか。誰向けの商品なのか。試乗して話を聞いてきた。

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン

    メルセデス・ベンツに新モデル「オールテレイン」が登場! 「テレイン」(terrain)は「地形」などを意味する言葉で、「オールテレイン」という名前は「どんな場所にでも乗っていける」ことを主張しているようだ

SUV? ワゴン? 「Cクラス」の新顔

Cクラスは1982年に「190」(W201)として登場して以来、世界で累計1,050万台(先代モデルまでの合計)が売れている人気車種だ。現行型(新型)の日本導入は2021年。選べるボディタイプはセダンとステーションワゴンの2種類だったが、このほど新たなタイプとして「オールテレイン」が追加となり、日本にも入ってきた。

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン

    新型「Cクラス」は「Sクラス」譲りの先進装備が満載。ISG(マイルドハイブリッドシステム)の導入により、Cクラスとしては初めて全モデルが電動化したこともトピックだ。価格はセダンが599万円~682万円、ステーションワゴンが625万円~705万円。プラグインハイブリッド車(PHEV)の「350e」は2022年後半の日本導入に向け準備中とのこと(写真はワゴンの「C 220 d Stationwagon AVANGARDE」)

オールテレインの見た目はステーションワゴンと似ているが、ボディサイズや最低地上高が異なる。具体的にはワゴンの「C 220 d Stationwagon AVANGARDE」が全長4,785mm、全幅1,820mm、全高1,455mmであるのに対し、オールテレインの「C 220 d 4MATIC All-terrain」は同4,760mm、1,840mm、1,495mmだ。全高が高くなった分、最低地上高も40mm高くなる。

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン

    オールテレインは「C 220 d 4MATIC All-terrain」の1グレードのみで価格は796万円。パワートレインはワゴンの「C 220 d Stationwagon AVANGARDE」と同じで、2.0L直列4気筒の直噴ディーゼルターボエンジンを搭載する

メルセデス・ベンツ日本の商品企画担当に聞くと、オールテレインはSUVとステーションワゴンの「いいとこどり」をしたボディタイプであるとのこと。ワゴンの実用性はそのままに、高くなった最低地上高やデザイン上の工夫でSUVっぽさを加味したクルマなのだ。同氏によれば、日本には「SUVが欲しいものの、車高の高さが引っかかって駐車場が見つけられない」との悩みを抱えるユーザーがいるとのこと。オールテレインは「見た目も中身もオフロードに対応した、実用性に富んだSUV」として、こうした顧客の需要を開拓する商品となりうる。

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレインとワゴン

    「オールテレイン」はワゴンに比べ全高と最低地上高が高い。これにより運転中の視界がよくなるし、荒れた路面でも床下をこすりにくくなる。能力としては「ゴリゴリのオフローダーではないんですが、一般的な山道に行くとかであれば必要十分」(商品企画担当)とのこと(上がCクラスのオールテレイン、下が同ステーションワゴン)

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレインとワゴン

    「オールテレイン」(上)のフロントグリルは、メルセデス・ベンツのSUVシリーズと共通の「シングルルーバー」になっている(上がCクラスのオールテレイン、下が同ステーションワゴン)

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン

    専用のバンパーとアンダーガードでオフローダーの雰囲気を醸しだす「オールテレイン」

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン

    ホイールアーチがマットダークグレーになるのも「オールテレイン」の特徴。このデザイン変更により、全幅はワゴンに比べ+20mmとなっている。ホイールは専用の18インチ5スポークアルミホイールを装着

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • 「オールトレイン」は走行モードで「オフロード」と「オフロード+」が選べる。オフロードでは「トランスミッションがオフロードモードに切り替わり、雪道や悪路での走破性を高め」、オフロード+では「急な下り坂での安定した走行をサポートするだけでなく、上り坂の途中で動けなくなった場合にはリバースを選ぶと安全に下ることができる機能も」使えるとのことだが、今回の試乗コースには厳しいオフロードがなかったので、能力を試すことはできなかった

メルセデス・ベンツのラインアップを見ると、これまでオールテレインは「Eクラス」に設定があり、Cクラスが第2弾となる。ちなみにEクラスの日本国内での販売状況を聞くと、セダンとワゴンの割合が7:3で、ワゴンのうちの20%くらいがオールテレインというシェアになっているそうだ。Cクラスのオールテレインを日本に導入するかどうかについては、「日本のお客様に向いていると思いましたので、迷わず導入」(前出の商品企画担当)を決めたそう。「最低地上高が高く4輪駆動でもあるので、アウトドアが好きな人や雪国にお住まいの方」にオススメ、とのことだった。

駐車場問題に悩みながらもSUVへの憧れを捨てきれないという向きには、Cクラスのオールテレインが最良の選択肢となるかもしれない。Cクラス乗りは日本にも世界にもたくさんいるが、オールテレインであれば人とは違うという満足感も味わえそうだ。

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • 「Cクラス」の新たなボディタイプ「オールテレイン」

  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • メルセデス・ベンツ「Cクラス」のオールテレイン
  • 「Cクラス」の新たなボディタイプ「オールテレイン」