広島電鉄、NEC、レシップの3社は、スマートフォンに表示させたQRコードや専用の交通系ICカードを認証媒体とする新たな乗車券システムの開発に着手すると発表した。
新たな乗車券システムは、認証媒体となるQRコードやICカードの固有のID番号と紐づいた利用者の情報をクラウドサーバ側で管理する「ABT(Account Based Ticketing)方式」で構築される。チャージ残高や定期券などの利用者情報をクラウドサーバ側で保持・参照・更新し、機器側では高速な計算処理を行わないため、システム全体が低廉化できるメリットがあるという。
QRコードやICカードに加え、多様な認証媒体への対応も可能で、他の交通手段や街中・旅先などでのさまざまなサービスとの連携がしやすいとのこと。定期券への対応や複雑な割引制度に対応したABT方式による乗車券システムの商用化の発表は国内初。広島電鉄は運賃収受やシステム運営に関するノウハウ提供、NECは新乗車券システムの開発、レシップは車載機の開発を担当する。
サービス開始は2024年10月を予定している。利用にあたり、スマートフォンやパソコンからの会員登録が必要で、同時にクレジットカードまたは銀行口座を登録する必要がある。登録後、スマートフォンに表示させたQRコードを車載機へかざすことで、路面電車・バスの運賃支払いが可能になる。スマートフォンを持っていない場合は、専用の新たな交通系ICカードを車載機にタッチすることで利用できるという。チャージや定期券の購入もスマートフォンやパソコンから可能になる。
なお、交通系ICカード「PASPY」で実施している定率割引や乗継割引、共通定期券制度などの各種割引について、新乗車券システムでも実装する予定としている。