納豆パックをご利用になる方、多いと思います。手軽に納豆を作ることができて、美味しい。でも、ちょっと想像してください。あの納豆パックを片手で開けて、片手で醤油袋や辛子袋を切って、片手で混ぜるとしたら…。片手を使えない人、そのために納豆を自分で作ることが出来なかった人のために立ち上がった作業療法士たちがいました。
片手に障がいを持たれた方のための『片手で納豆かき混ぜキット』がほぼ完成したと作業療法士の友人から連絡がありました。ケースにフィットする強力な滑り止めと、片手でパッケージを開ける工夫、備品の収納等、考えられています。需要はありますでしょうか? 今までにない便利グッズだなと思います。
この動画の投稿者である 竹林 崇さんは、脳卒中後に生じる手の麻痺を回復するための研究をしている作業療法士。竹林さんの友人で作業療法士の川口晋平さんとともに、このプロジェクトを立ち上げました。川口さんが3Dプリンタで試作品を何度も作り、誕生したのが動画の『片手で納豆かき混ぜキット』です。片手で納豆を作り上げる動画に、多くの方から賞賛や共感の声が届きました。
「私は脳梗塞で現在も右片麻痺です。(中略)これは日常の些細な事に使える本当に良いグッズだと思います」「クモ膜下からの片麻痺失語症で頑張る父にプレゼントしたいです」「自分で久々に開けられた、一人で全部できた!と嬉しく思うと思います」「片手が使えなくなって3ヶ月目です。購入させて頂きました!」などなど。投稿者の 竹林さんになぜこのキットを作ったのかなど、お話を聞きました。
■投稿者さんに聞いてみた
……なぜこのキットを作ろうと考えたのでしょうか。
私たち作業療法士は、患者さんが大事にしている活動を実現することを仕事にしてます。 一人で好きなもの(納豆)を食べたい、手続きを一人で自律的(自立ではなく、自分をコントロールしてる感覚を得たい)にしたい、という願いは昔から多くの患者さんから聞いており、それらを実現できるようなものを作ることになりました。
……他の人にやってもらうのではなく、自分で自律的にできることが大切なのですね。
納豆を食べること自体は目的の一部です。自分自身の力で食べることができることが、その方にとって大切な場合がしばしばあります。自分の生活を自分がコントロールできる意識というのは、人が生きる上で非常に大切な概念だと考えています。
……反響で印象的だった投稿はありましたか。
多くの方が、『言われてみると納豆は両手がなければ食べられない』『両手で操作することがデザインされた食品や道具が多いことに気づいた』など、両手が使えることが当たり前の方々が、身体的に困難を抱えてらっしゃる方々の立場に、想いを馳せてくださった投稿が印象的でした。こういう知識を得ることで、無意識に作られている身体的な健常者と障がいがある方との分断を少しでも解消していければ良いなと感じています。
▼片手に障がいを持たれた方のための『片手で納豆かき混ぜキット』がほぼ完成したと作業療法士の友人から連絡がありました。ケースにフィットする強力な滑り止めと、片手でパッケージを開ける工夫、備品の収納等、考えられています。需要はありますでしょうか? 今までにない便利グッズだなと思います。
片手に障がいを持たれた方のための『片手で納豆かき混ぜキット』がほぼ完成したと作業療法士の友人から連絡がありました。ケースにフィットする強力な滑り止めと、片手でパッケージを開ける工夫、備品の収納等、考えられています。需要はありますでしょうか?今までにない便利グッズだなと思います。 pic.twitter.com/rDAQ3n3TeO
— 竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学) (@takshi_77) January 17, 2022