「奔走」という漢字をみると、走ったり、駆け回ったりしているイメージを持つ方も多くいるかもしれません。まさに「奔走」は、あちこち駆け回りながら必死に物事を進めようとしている様子を表す言葉です。
本記事では「奔走」の意味や使い方、四字熟語、類義語、そして英語表現までをくわしくご紹介します。みなさんもこの機会に「奔走」という言葉への理解をさらに深めましょう。
「奔走」とは?
「奔走」と聞くと、何かを成し遂げようと人が一生懸命動いている様子やあちこち駆け回って奮闘している情景が思い浮かべる人も多いでしょう。ここでは、「奔走」の意味や読み方、四字熟語について解説します。
「奔走」の意味は?
奔走とは、「自分が成し遂げようとしている物事がうまく運ぶように、また、成功するように、さまざまなところを駆け回って努力すること」です。
「奔走」という2つの漢字を分解してみると、「奔走」の「奔」には「勢いよく走ること」という意味があります。また、「走」は「走ること、ある方面に向かってかけ足で進んでいくこと」という意味を持っています。そのため、この2つの漢字を組み合わせると「ある方面に向かって勢いよく駆けていくこと」となります。
それぞれの漢字に走っていることや急いでいるといった意味があるので、せかせかした様子やちょこちょこ駆け回っている様子を想像することができます。
「奔走」の読み方は?
「奔走」の読み方ですが、古くは「ほんぞう」と読まれることもあったとされていますが、現在は「ほんそう」が一般的です。また「ほんそう」が変化したものとして「ほんそ」という読み方もあり、特に読み物などでは「ほんそ」と読まれることもあります。
「奔走」の使い方・例文
目標を達成するためにさまざまなところを駆け回って努力することを意味する「奔走」の使い方は以下の例文のとおりです。
- 彼は月末に設定した目標を達成できるよう、奔走しています。
- 今は、新しい店をオープンさせるために奔走中です。
- 1年間奔走した成果が出て報われた。
「奔走」を使った四字熟語は?
奔走を使用した四字熟語としては、「東奔西走」が挙げられます。漢字をみると、「奔走」という言葉に「東西」がくっついていますが、意味はまさに漢字のとおり、「東へ西へと仕事のために駆け回って奮闘している様子」を表します。
それが転じて、「いろいろな場所を駆け回ること」という意味になりました。
「東奔西走」は「ただあちこちを駆け回っている」わけではなく、駆け回った先で(あちこち駆け回ることで)何かを達成したいというゴールがあるという点に注意が必要です。東奔西走の使い方としては、以下の例文のとおりです。
- 彼女は、契約を取り付けるために、東奔西走した。
- 捜査員たちは、日本国内を東奔西走して犯人逮捕に繋がる証拠をおさえた。
「奔走」の類義語
奔走には、「ある物事を成し遂げるためにあちこち駆け回ること」という意味があります。ここでは「熱心に努力している様子を表す」という点において類義語といえる言葉を8つご紹介します。
注力
「注力」は「いろいろある中で、特定のものに対して力を注ぎ込むこと」です。「奔走」では、走っている様子から力を入れていることを比喩的に表現していますが、「注力」という言葉では力を入れていることをそのままストレートに伝えています。
尽力
「尽力」とは、「持っている力を全て出しきって尽くすこと」です。「尽力」という言葉も「注力」という言葉と同様に、「力を尽くす」という漢字通りの意味合いを持っている言葉といえます。
ちなみに、「尽力」は自分の頑張りに対しても、第三者の頑張りに対しても使うことができる言葉です。
進達
「進達」は、「進歩・向上させること、自分から進んで物事がよくなるようにすること」といった意味を持つ言葉です。奔走と比べると、言葉自体に(駆け回っているなど)実際の様子が含まれていないため「頑張りへの泥臭さ」は感じられませんが、努力することという意味では類義語ということができます。
奮闘
「奮闘」とは「勇気を振り絞って相手となる敵と戦うこと」や「全力で努力すること」という意味を持つ言葉です。「奮闘」の「奮」には、「奮い立って」という意味があるので、「奮い立って闘っている」という漢字からも、一生懸命な様子が伝わってきます。
活躍
「活躍」は、「めざましく活動すること」という意味を持つ言葉です。ある物事を達成するために、めざましく活動して努力していると捉えることができます。「活躍」は「奔走」のように汗を流して駆け回っているような泥臭いイメージではなく、努力が美化された形で表されたような言葉です。
努力
「努力」とは「ある目的やゴールに向けて力を尽くして励むこと」を意味する言葉です。力を尽くしていることを表すストレートな表現であるといえます。
狂奔
「狂奔」とは「ある目的やゴールのために、夢中になって奔走すること」という意味を持つ言葉です。漢字をみると「狂ったように走り回っている様子」がわかりますが、この部分に必死さや一生懸命さが表現されています。
粉骨砕身
「粉骨砕身」とは、「力の限りに一生懸命働くこと」です。漢字で「骨を粉にして身を砕く」と書いているように、それほどまでに身を削って頑張っている様子がわかるでしょう。
「奔走」の英語表現
続いて、「奔走」の英語表現をご紹介します。「奔走」と「奔走する」というそれぞれの使い方によって英語で表すときに適切な表現が変わってきます。
「奔走」の英語表現
「奔走」単体を英訳したい場合は、「efforts」(努力)と訳すことができます。例文としては、「I will make every effort to make it happen.」です。
「奔走する」の英語表現
「奔走する」と表現をしたい場合は、上記の「efforts」の前に「make every」をつけて「make every effort (to do…)」と表現します。より走り回っている様子を表したいのであれば「chase around」という表現もよいでしょう。
「奔走」の意味は「物事が上手くいくように努力すること」
「奔走」の正しい読み方は「ほんそう」または、「ほんそ」で、意味は「あちこち駆け回って物事が順調に運ぶよう尽力すること」です。
本記事では、「熱心に努力している様子を表す」という点で「奔走」と似たような意味を持つ言葉をご紹介しました。類語によってストレートな表現をしていたり、努力の度合いを表現できたり、情景が思い浮かんできたりするなど微妙にニュアンスが違います。シチュエーションによって適切な言葉を選べるよう、言葉の引き出しを増やしておきましょう。