「この俳優をもっとドラマで見たいのに」「演技がうまいのに何であまり出ないんだろう」、そう思ったことはないだろうか。

「今こそあの俳優をもっと見たい」「あの役がよかったからまた見たい」「しばらく見ていない」「バイプレーヤーの中で一番いい」「ゲスト出演が多くてもったいない」「若手なのに演技がうまい」「アイドルの中でポテンシャルトップ」

全国放送のドラマをすべて見続けているドラマ解説者・木村隆志が、視聴者のニーズを加味し、マニアックになりすぎないように気をつけつつ、さまざまな観点から「もっとドラマで見たい」俳優を挙げていく。

すでにキャスティングの決まっている作品も多く、予算やスポンサーの事情などもあるのは承知だが、制作サイドにメッセージを送る意味も込めてランダムに挙げていきたい。

■『最愛』高橋文哉と『ジルバ』池脇千鶴

  • 高橋文哉 撮影:蔦野裕

  • 池脇千鶴

「今、最も視聴者ニーズがある」という意味で「見たい」と思わせるのは、高橋文哉(20)だろう。昨秋は『最愛』(TBS系)でヒロインの弟・朝宮優を好演し、「あの子は誰?」「幸せになってほしい」などの声が飛び交っていた。

さらに昨年は『うきわ -友達以上、不倫未満-』(テレビ東京系)、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)にも出演したが、残念ながら出番はごくわずか。それだけに今年予定されている出演作は、脚本・演出を今から変えてでも出番を増やしていくのではないか。それほど旬の俳優であり、多くの視聴者に「今ならでは」の輝きをたっぷりと見せてほしい。

昨年のドラマで最も「もっと見たい」と思わせてくれたのが池脇千鶴(40)。『その女、ジルバ』(東海テレビ・フジテレビ系)で40歳の新米ホステスと伝説のママの1人2役を演じて絶賛を集めたが、連ドラ主演は9年ぶり、ドラマ出演自体も4年ぶりだった。

演技レベルはもちろん、役作りのためなら太ることも、ほぼノーメイクもいとわない姿勢は貴重であり、同世代のみならず年齢性別を超えた支持は厚い。映画が主戦場の彼女をその気にさせられるオファーを出せるかどうか、ドラマプロデューサーの真価が問われている。

■もっとハジけられる若手俳優たち

  • 岡本夏美

  • 矢作穂香 撮影:泉山美代子

昨年、若手女優の中で「もっと見たい」と思わせたのは岡本夏美(23)。異色作『きれいのくに』(NHK)でパパ活をして客に襲われたトラウマを抱えるほか、好きでもない友人を相手に処女を喪失する今どきの高校生を演じた。美少女からぶっ飛んだ女まで演技の幅は広いだけに、プライム帯のレギュラーキャストで見たいところだ。

「1話だけのゲスト出演が多く、もっと見たい」と思わせるのは矢作穂香(24)。昨年は深夜ドラマ『おしゃ家ソムリエおしゃ子!2』(テレ東系)で主演を務めたが、それ以外はゲスト出演や単発ドラマ出演ばかり。正統派美女風のルックスからは想像できないようなハジけ方ができるだけに、プライム帯のレギュラーキャストで生かしてほしい。

  • 井桁弘恵

  • 清水尋也

  • 清原翔

同い年の井桁弘恵(24)も、女優として開花寸前の状態。多くのCMに出演していることから「清楚美人」というイメージが強いが、『お耳に合いましたら。』(テレ東系)では、どこにでもいる普通のOLをそつなく演じた。昨秋には『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)のMCに就任するなど知名度も上がっているだけに、どこまで出演作を伸ばせるか。

男性の若手俳優では、朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)で若き気象予報士を演じた清水尋也(22)も、「もっと見たい」と思わせる俳優。『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室』(テレ東系)ではハッカー刑事を演じるなど、インテリや秀才役が多い。映画業界での評価も高く、昨年も『東京リベンジャーズ』などに出演したが、もっとポテンシャルは高いはずだ。

もう1人、祈りを込めて「もっと見たい」若手俳優に挙げておきたいのが清原翔(28)。2020年6月に脳出血で緊急手術を行い、その後は治療とリハビリに専念していて、昨年2月から公式発表はない。しかし、昨秋にドラマ『東京ラブストーリー』(FOD、フジ系)が地上波で放送され、三上健一役を好演している姿を見た人々が次々に復活を望む声を上げていた。