京成トラベルサービスは、京成電鉄の後援で、「3100形千葉線・千原線初入線スペシャルツアー」を12月12・25日に開催した。通常、成田スカイアクセス線を中心に運行する京成電鉄3100形が、乗客を乗せた状態で千葉線・千原線へ初めて入線する内容となった。

  • アクセス特急で活躍する京成電鉄3100形。ツアー参加者らを乗せ、千葉線・千原線を走行した

今回、報道関係者らは12月12日のツアーに参加。スタート地点となる京成上野駅では、8時51分、1番線にツアー臨時列車の3100形(3152編成)が入線した。

発車までの間、参加者らによる記念撮影の時間となる。ホームの成田空港・ちはら台方では、今回のツアーに合わせたポスターがホワイトボードに掲示され、3100形の車体前面と一緒に撮影することもできた。隣の2番線では、「スカイライナー21号」が9時ちょうどの発車まで停車中だったため、成田スカイアクセス線で活躍する2種類の車両を京成上野駅で見られる機会にもなっていた。

  • 京成上野駅1番線に3100形のツアー列車が入線

  • 1号車の先頭付近にツアーの掲示も

  • 成田スカイアクセス線を走る2形式が京成上野駅で並んだ

3100形のツアー列車は9時7分に京成上野駅を発車。上野恩賜公園の地下を走行し、日暮里駅手前で地上に上がる。千住大橋駅で先行していた京成臼井行の普通を追い抜き、晴天の京成本線を走行。京成高砂駅では多くのファンらが待ち構えている様子だった。ここから先、通常は成田スカイアクセス線に入るため高架に上がっていくが、今回は高架に上がらず、引き続き京成本線を走行した。

京成電鉄3100形は、成田スカイアクセス線用の新型車両として2019年10月26日にデビュー。通常の通勤型車両とは異なり、アクセス特急の案内カラーであるオレンジを車体にあしらい、車体側面に沿線の観光スポットや飛行機をイメージした装飾が施されている。車内はロングシートだが、折畳み式の座席を1両あたり4カ所(先頭車両は3箇所)設け、たたむことでスーツケース置場にできる。その他、フリースペースや防犯カメラを設置し、プラズマクラスターイオン発生装置を導入。無料Wi-Fiの提供なども行っている。

3100形は成田スカイアクセス線のアクセス特急を中心に活躍しているが、今年は京成トラベルサービス主催のツアーでもたびたび使用されており、ツアー列車として東成田線・芝山鉄道線や、北総鉄道の印旛車両基地にも入線した。今回のツアーでは、利用者を乗せた状態としては初めて千葉線・千原線に入線することになる。

  • 地下トンネルを抜け、日暮里駅を通過

  • 京成関屋駅付近で東武スカイツリーラインの車両が見えた

  • 京成高砂駅から成田スカイアクセス線が分岐するが、今回は京成本線へ

3100形は引き続き京成本線を走行し、京成小岩駅と東中山駅で3000形の普通、船橋競馬場駅で都営浅草線から乗り入れてきた5500形の快速を追い抜きながら京成津田沼駅へ。成田スカイアクセス線ほどの速度ではないものの、途中駅をすべて通過するため、爽快感あふれる走りを見せた。

車内では3100形の千葉線・千原線入線にちなみ、両線にまつわるクイズを実施。正解者には「京成ローザ10」映画鑑賞券(ペア)がプレゼントされ、正解に近かった人にも景品がプレゼントされた。参考までに、筆者も配布されたクイズ用紙に目を通したが、千葉線・千原線の自動券売機、自動改札機、踏切の数を答えるという、京成電鉄社員も覚えているか定かでないほどマニアックな問題だった。3問それぞれの数をクイズ用紙に記入し、最後にその合計数を記入。クイズ用紙は船橋競馬場駅通過後に回収され、答え(3問の合計数)と当選者はちはら台駅改札外に掲出された。

京成津田沼駅から先は、いよいよ千葉線・千原線へ。京成津田沼駅を通過した後に、京成トラベルのツアー恒例となる抽選会が開催された。号車ごとに添乗員が番号をひとつ選び、各号車1名ずつ当選。「スカイライナー」BOX入りお菓子詰め合わせが当選者にプレゼントされた。なお、抽選会の前後にJR東日本幕張車両センター付近を走行したため、進行方向左側にJR東日本の車両が並び、こどもたちを中心に車窓風景を楽しんでいる様子だった。

  • 京成船橋~大神宮下間を走行

  • 京成津田沼駅から千葉線へ。新京成電鉄8800形とすれ違う

  • 抽選会では「スカイライナー」BOX入りお菓子詰め合わせをプレゼント

先月、3600形「ターボくん」のツアーを取材した際は京成千葉駅で下車したが、今回は京成千葉駅も通過。次の千葉中央駅で運転停車する。そして3100形のツアー列車は千原線へ入線。千原線は全線単線で、大森台駅と学園前駅で上下線の行き違いが可能となっている。ただし、複線化が可能な用地は確保されており、ちはら台方面に向かって右側で目線を下げると、線路を敷けそうな路盤が並行している。交換設備のない千葉寺駅、おゆみ野駅にも複線用のホームが設置されている。

単線といえども出せる速度は高く、高架や掘削区間のある千原線を3100形は高速で疾走。大森台駅で上下線の行き違いのため停車したが、偶然にも6両編成の3700形とすれ違った。最後にソーラーパネル群が右手に見えたところで、10時10分、3100形のツアー列車はちはら台駅に到着。3・4号車のドアのみ開き、添乗員の指示に従って順番に下車した。ここまでの行程をもって、3100形は乗客を乗せた上で千葉線・千原線へ初入線、ちはら台駅まで全区間走破を果たした。

  • 千葉中央駅で運転停車。この駅まで新京成電鉄の車両も乗り入れる

  • 大森台駅で3700形とすれ違った

  • ちはら台駅に到着。改札外で物販も

ちはら台駅では、一般利用者が普段入れない京成電鉄の用地から3100形を撮影できる時間が設けられた。改札を出て、行き止まりの線路に向かって右側、フェンスで囲まれた部分がその用地となる。ここから停車中の3100形を見下ろす形で、多くの参加者が記念撮影を行った。撮影エリアは十分にスペースがあるため、参加者同士、適度に距離を取りつつ楽しんでいた様子だった。

ちなみに、ちはら台駅のホームは6両編成までしか対応していないため、1号車と2号車の途中までホームからはみ出る珍しい光景に。用地外の公道からも、沿線住民あるいは鉄道ファンと思われる親子らが3100形の見物に訪れているようだった。

  • 特別撮影エリアから3100形の雄姿を撮影。さまざまな位置から撮影を楽しめた

  • ちはら台駅で自由時間。その間に通常の営業列車も発着していた

京成電鉄と京成トラベルサービス、関東鉄道による物販も開催。京成トラベルサービスの物販を中心に、撮影の前後に多くの参加者が買い物のため列を成していた。駅前のスペースも広く、自由時間の間にベンチで休憩する家族や、ペデストリアンデッキの上から撮影する人も見られた。

ホームでも撮影に励むツアー参加者がいたほか、ツアー外の鉄道ファンも多かったようで、ホームの先端で順番に前面を撮影していた。先ほど撮影エリアから見た、3100形の先頭2両がホームからはみ出している様子はホームからも確認できたので、見慣れない人にとっては不思議な光景だったかもしれない。ホームから車両がはみ出る駅には、たとえば東急大井町線の九品仏駅や、京急線の高架化前の梅屋敷駅が挙げられるが、ちはら台駅で見るのは筆者も初めてだった。

  • 京成グループの3社がちはら台駅で物販を実施

  • ちはら台駅に停車中の3100形

ちはら台駅で1時間ほど過ごした後、3100形のツアー列車は11時25分に同駅を発車。往路と同じように、この電車の撮影で沿線を訪れた鉄道ファンらに見送られつつ、千葉中央駅まで走行した。大森台駅で3000形の普通とすれ違い、千葉寺駅を通過した後、JR外房線と並行する区間では、本千葉駅にさしかかるE235系1000番台とすれ違った。進行方向左側の遠方でJR京葉線の高架も見え、一瞬だが蘇我駅へ向かうE257系500番台も見ることができた。

本千葉駅の横を通り過ぎ、3100形のツアー列車は11時43分、今回の終点となる千葉中央駅に到着した。その後、改札外に出て、アンケートを記入・回収の上、解散となった。アンケートと引換えのノベルティとして、「スカイライナー」箱入り洗濯用石鹸が参加者にプレゼントされた。なお、解散後のオプショナルツアーとして、「ポッポの丘」見学と東京ドイツ村のイルミネーションを楽しむバスツアーも行われ、参加者の一部が引き続きバスツアーに参加したとのこと。

その他、参加者に配布された「京成ホテルミラマーレ」内レストラン、ダイニングレストラン「ベリエール」、ベーカリー「リトルマーメイド」千葉中央店の各割引券を利用し、解散後に買い物や食事も楽しめた。ファミリーマート千葉中央店では、参加証を提示の上、300円以上の買い物をした場合に「ファミリーマートコレクション ミニバタークッキー」のプレゼントも行われた。

  • 復路の大森台駅では3000形とすれ違い

  • 本千葉駅にE235系1000番台の姿が

  • 千葉中央駅に到着。撮影後、改札外で解散した

京成トラベルサービスと京成電鉄によるツアーは今年、複数回にわたって開催されてきたが、12月25日に行われたツアーをもって、年内の企画は最後となる。京成トラベルサービスは、「皆様のご協力がありまして、スムーズにツアーを進行することができました。感謝申し上げるとともに、京成電鉄と京成トラベルでは、今後もオリジナリティあふれるツアーをどんどん企画してまいりますので、ぜひまたの機会にご参加ください」と締めくくった。