京成トラベルサービスは京成電鉄・北総鉄道の後援を受け、7月25日に「北総車両大集合! 北総・印旛車両基地見学ツアー」を開催した。以前、京成電鉄の宗吾車両基地を舞台に行われたツアーと似ているが、今回は京成電鉄3100形の特別列車に乗車したまま北総鉄道の印旛車両基地へ。北総鉄道の全5形式を一度に見学できる内容となった。

  • 「北総車両大集合! 北総・印旛車両基地見学ツアー」を開催。印旛車両基地で北総鉄道の全5形式と対面

今回のツアーは京成押上線の八広駅からスタート。青砥方面から回送されてきた3100形がホーム手前で転線し、青砥方面の2番線に入線した。普段あまり見られない光景に、ツアー参加者たちも関心を示した様子。特別列車の停車中、青砥方面へ向かう通常の営業列車は3番線を使用していた。3100形の特別列車は10時5分に八広駅を出発。京成押上線・京成本線・北総線の順に走行する。

京成高砂駅の3番線を通過すると、間もなく高架線に上がり、北総線に入る。3100形の北総線(成田スカイアクセス線)内での運行自体は日常的に行われているが、貸切の特別列車として北総線に乗り入れることは珍しい。今回のツアーは定員171名として参加者募集を行ったところ、応募総数759名、倍率は約4.4倍だったとのこと。当日までに2名のキャンセルが出たため、ツアーの参加者数は169名となった。

  • 八広駅2番線に3100形の特別列車が入線。停車中、通常の営業列車は3番線に停車した

3100形の特別列車は、高架線やトンネルの多い北総線を進んでいく。大町~新鎌ヶ谷間では、進行方向左側に新京成電鉄のくぬぎ山車両基地が見られ、客室内でもそのことを案内するアナウンスが流れた。くぬぎ山車両基地を眺めた後、進行方向右側で新京成線が高架に上がり、しばらく北総線と並走する。

新鎌ヶ谷駅を通過し、新京成線が大きくカーブを描きながら分かれていくと、北総線の線路沿いは次第に緑が増え、一段高い道路に挟まれた千葉ニュータウン地区を走行する。窓を開けていたため、風の音に交じってセミの鳴き声も聞こえてきて、いかにも夏らしい。小室~千葉ニュータウン中央間では高架区間から田園風景を見下ろすことができ、千葉県内を進んでいることがよくわかる。

  • 京成高砂駅から北総線へ。3500形とすれ違った

  • 大町~新鎌ヶ谷間では、進行方向左側に新京成電鉄くぬぎ山車両基地が見える

  • 高架線を走行するため、眺望も良い

もちろん通常の営業列車も走っているため、ときおり京成高砂方面へ向かう電車とすれ違う。「スカイライナー」のAE形や、アクセス特急として運行される別の3100形も見ることができた。一方、乗車中の特別列車は通常運行の合間を縫って走るためか、アクセス特急ほどの速度は出ず、比較的ゆっくりとしたスピードで走行している。それはそれで、普段は高速で移り変わる車窓風景をじっくり観察できる機会になったのではないかと思う。

10時43分、3100形の特別列車は印西牧の原駅に到着。いったん停車した後、車庫への引上げ線に転線し、印旛車両基地へと進んだ。印西牧の原駅から車両基地に入る場合、入庫する列車は右に曲がりながら、印旛日本医大方面の線路をまたぎ、車両基地へ向かう。徐行しつつ転線を繰り返し、10時55分、印旛車両基地に到着した。一般利用者を乗せた列車が印旛車両基地へ入線すること自体珍しいが、その車両が京成電鉄の車両ということで、非常に貴重な機会となった。

  • 印旛日本医大方面への線路をまたぎ、徐行しながら印旛車両基地へ

その後は12時20分頃まで、印旛車両基地の見学と車両撮影を行う時間となった。密を避けるための対策として、1・2号車に乗車した参加者は1班、3・4号車の参加者は2班、5・6号車の参加者は3班、7号車の参加者は4班のグループに分かれて行動した。

車両基地の留置線には、現在活躍している北総鉄道の全5形式の車両が展示されていた。向かって左から、京成高砂~新鎌ヶ谷間開業に合わせて1991(平成3)年に登場した7300形、2017(平成29)年に登場した9800形、2013(平成25)年に登場した9200形、千葉ニュータウン中央~印西牧の原開業に合わせて1995(平成7)年に登場した「C-フライヤー」9100形、京成電鉄3000形の車体をベースに2006(平成18)年に登場した7500形が並ぶ。展示車両ではないが、7500形の右側に都営浅草線の5500形も停まっていた。

展示された全5形式のうち、7300形と9800形、7500形と9200形は車体の形状がほぼ同じだが、カラーリングが異なる。7300形と7500形は青色と水色の帯、9200形と9800形は水色と黄色の帯があしらわれている。9200形と9800形、「C-フライヤー」9100形は千葉ニュータウン鉄道が保有する車両とのこと。7300形と7500形は、両先頭車の車体側面に飛行機の翼のデザインをあしらっている点が特徴となっている。いずれの車両も京急線まで乗り入れるため、広範囲にわたってその活躍を見ることができる。

  • 向かって左から、7300形、9800形、9200形、9100形、7500形の順で並んだ

展示車両の撮影では、先頭車の正面に位置するA・Bエリアと、線路沿いの通路に沿ったCエリアが撮影可能なエリアとなっていた。そのため、A・Bエリアでは展示車両の並ぶ様子を正面から、Cエリアでは車体側面の撮影が可能だった。限られた時間の中、ツアー参加者らはガイドの案内に従いつつ、さまざまな視点で撮影している様子だった。

  • 最後尾車両まで見学でき、さまざまな視点で撮影可能だった

  • 7300形・7500形の先頭車に、飛行機の翼を模したデザインも(写真は7300形)

  • 電車と一緒に記念写真を撮影する人も多かった

3100形の特別列車が停車している位置と、展示車両の撮影エリアとの間で、北総鉄道、京成電鉄、関東鉄道、京成トラベルサービスの4社が物販ブースを設け、各社のオリジナルグッズや「鉄道コレクション」など販売していた。イベント当日は非常に暑く、印旛車両基地の通行可能スペースに日差しを避けられる場所がほぼなかったため、ツアー参加者らはこまめに水分補給をしつつ、車両基地での時間を過ごした。

  • 車両撮影中の様子と、物販ブースの様子

12時20分頃に見学時間が終了し、特別列車へ戻る。印旛車両基地からの復路も3100形の特別列車に乗り、八広駅まで戻る行程となっている。12時40分、3100形の特別列車は印旛車両基地を出発。物販ブースのスタッフらに見送られ、基地内を徐行しつつ、印西牧の原駅へ。印旛日本医大方面からの線路に合流し、先ほど来たルートを折り返して八広駅へ向かう。

復路の走行中、車内ではビンゴ大会が行われた。受付時に参加者へビンゴカードが配布されており、スタッフによる車内放送を聞きながらビンゴの数字を埋めていく。縦・横・斜めのどれか1列でもそろえばビンゴとなり、達成した人は八広駅で景品と交換できた。景品は早い者勝ちではないため、焦らず、静かに楽しめる企画となっていたようだ。

  • あたたかな見送りを受けて印旛車両基地を出発。基地内で京急電鉄1000形、印西牧の原駅で「スカイライナー」の通過を見ることもできた

西白井駅を通過したあたりでビンゴ大会は終了となり、3100形の特別列車はさらに速度を上げた。往路とはうって変わり、通常のアクセス特急に近いスピードで北総線内を走行している。往路ではゆっくり流れた景色も、復路では移り変わりが早い。同じ景色を二度楽しみつつ、3100形が本領発揮する姿を見ることができた。

  • 京成高砂駅で再び「スカイライナー」とすれ違う

  • 八広駅に到着。再び2番線に入線

  • 最後は改札外で、ノベルティの配布とビンゴ大会の景品の引換えが行われた

13時25分、3100形の特別列車は八広駅に到着。出発時と同じ2番線に入った。到着後、改札外にてノベルティ(京成パンダエコバッグ)とビンゴ大会の景品の引換えが行われ、順次解散となった。なお、「京成トラベル・京成電鉄・北総鉄道では、これからもお客様にお楽しみいただけるツアーを企画してまいりますので、今後もぜひご参加くださいますようお願い申し上げます」とのことだった。