飛鳥時代のスーパースター、聖徳太子。その“ふるさと”といえば、奈良県のほぼ真ん中に位置する「明日香村」です。村内は歴史的に見ても、ビッグネームなスポットが多く、“村まるごと遺跡”といっても過言ではないほど、見どころが多い場所。ひとたび古墳や遺跡の見学会を行えば、村の人口よりも多い、1万人クラスの歴史ファンが全国から大集結することも……!
また近年は、おしゃれなカフェも急増中。歴史ファンならずとも、ゆるい時間を過ごせる「チル旅」の旅先としても注目です。
今回は、そんな「明日香村」にフォーカス。全6回に分けて、さまざまな視点から楽しみ方をご紹介します。第5回目のテーマは、女子旅におすすめのモデルコース。明日香村には、SNSで話題の「華手水舎」やフォトジェニックな「天井画」を見られるお寺など、気持ちをぱっと明るくしてくれる要素がいっぱいです!
【過去回はこちら】
第一回 初めての明日香村観光 おすすめモデルコース編
【10:00】美しい華手水舎に心が洗われる「岡寺」
美しい花々が埋め尽くす「華手水舎」。最近は、様々な寺社仏閣が行っており、SNSでもよく見かけるようになりましたよね。
今回の旅は、そんな「華手水舎」が評判の“花の寺”からスタートです。
「岡寺」は、今から約1300年前、奈良時代に建てられた由緒あるお寺。鎌倉時代初期の書物に「厄除けのお寺」と書かれていることから、日本初の厄除け寺院として信仰も厚く、古来より多くの人に愛されてきました。
重要文化財の仁王門をくぐり、境内に入ってみると……。色鮮やかな「華手水舎」が現れ、参拝客の目を奪います。手水舎を埋め尽くす美しい花々。そしてビー玉も飾り付けられ、とっても華やか!見ているだけで、ワクワク胸が高鳴ります。
10月の取材時には、天竺牡丹(ダリア)が浮かべられていました!
ちなみに、副住職の川俣さんが運営する、お寺の公式インスタグラムも大人気。フォロワーは1.2万人(2021年12月14日現在)。1回の投稿で“いいね!”は1000超え、「美しい!構図がステキ!」「行ってみたい!」などのコメントも多く寄せられています。
色鮮やかな「華手水舎」に癒やされたら、本堂へ向かいましょう。落ち着きのある建物は、江戸時代の建物。周囲は山々に囲まれ、厳かな雰囲気が漂います。
そして「岡寺」といえば、石楠花(シャクナゲ)で有名なお寺。取材に訪れた日は花が咲き終わっていましたが、花咲く春には、およそ3000株の石楠花(シャクナゲ)や天竺牡丹(ダリア)が参拝客を迎えてくれます。
「岡寺」のご本尊は奈良時代につくられた、塑像(そぞう)の如意輪観音様。高さ4.85mもあり、土でできた仏様としては日本最大の大きさ!
多少修復は入っているものの、今のこのお姿は1300年前からほとんど変わっていないというから、驚きです……!!時代を超えてもなお、優しくて力強い。不思議なチカラを感じます。
「岡寺」の古称は、「龍蓋寺(りゅうがいじ)」。現在もこの古称「龍蓋寺」の名は、残っています。しかしなぜ、「龍蓋寺」と呼ばれているのかは、境内にある「龍蓋池」に行けば分かります。
「龍蓋池」の由来は、お寺を作った奈良時代の高僧「義淵僧正(ぎえんそうじょう)」が、この地域の農民を困らしていた龍と戦い、池に蓋をして龍を閉じ込めた伝説から名付けられました。
龍という厄を払ったことから、厄除けのお寺になった「岡寺」。毎年、厄年の方がたくさん訪れますが、奈良では昔から「女性の厄除けのお寺といえば“岡寺”」というぐらい有名なお寺です。
何か不運が続いてる……と感じる方は、ぜひ訪れてみて。晴れやかな気持ちになりますよ!
そして「岡寺」に来たら、ぜひ手にとってほしいのがおしゃれな御朱印帳。なかでも、大きな天竺牡丹(ダリア)の刺繍が施された「天竺牡丹御朱印帳(写真は秋バージョン)」は、おしゃれ女子にぴったりです。
【11:15】往生院の天井画が美しい!聖徳太子ゆかりの「橘寺」
さて2022年は、聖徳太子生誕1450年を迎える年。聖徳太子にちなんだ場所といえば、やはり「橘寺」は外せません。
日本書紀によると、「橘寺」の創建は西暦600年代の飛鳥時代。もともとこの地にあった都で聖徳太子が生まれ、推古天皇の名により、聖徳太子がこの場所に「橘寺」を建てました。
幼い頃から天才ぶりを発揮した聖徳太子。日本で仏教を広めて、遣唐使を派遣し、日本初の憲法まで作りました。一言でいうと、聖徳太子は飛鳥時代のスーパースター。「橘寺」にも、さまざまな逸話が残っています。
その一つが、聖徳太子を乗せて全国を駆け巡ったと伝えられる、愛馬「黒駒」にちなんだもの。
伝説によると、聖徳太子が初めて「黒駒」にまたがった際、ものすごい勢いで馬が駆け出し、そのまま空へ飛び上がって、あの富士山をも超えていったのだとか!
その様子を描いた数々の絵が残っていることから、なんと富士山登頂第一号は、聖徳太子という説もあります。伝説上にはなりますが、富士山に登った最初の人が聖徳太子だなんて、さすがですよね。
さて「橘寺」に女子が集まるようになった所以は、境内の「往生院」にあります。
それがこちら!堂内の天井を埋め尽くす、260点の天井画。この絵は極楽浄土に咲く花をイメージした作品群で、全国各地から献画されました。
ちなみに、天井画はゴロンと畳に寝転んで眺めるのが、正式な見方なのだとか。寝転ぶのはちょっと勇気がいりますが、せっかく「橘寺」へ来たのなら、一度はチャレンジしてみてください。視界いっぱいに広がる天井画の美しさと迫力に圧倒されます!