マツダは基幹車種「CX-5」に商品改良を施し、新たに特別仕様車を設定して発売したが、ユーザーの反応はどうなのだろうか。特に、マツダ車としては異例の「アウトドア」色を打ち出した特別仕様車「フィールドジャーニー」の動向が気になる。マツダに聞いてきた。
マツダはグローバル販売の3分の1を占める基幹車種「CX-5」に商品改良を実施し、12月上旬に発売した。改良の目玉はキャラクターの異なる2種類の特別仕様車を新たに設定したこと。マツダの現行ラインアップでは珍しく道具感が強い「フィールドジャーニー」(Field Journey)と、走りの良さを想起させる引き締まった雰囲気が印象的な「スポーツアピアランス」(Sports Appearance)だ。
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「フィールドジャーニー」はマツダの現行ラインアップでおそらく唯一(少なくとも日本では)のアウトドア系SUV。フロントグリルやエアコンの吹き出し口などにライムグリーンのアクセントが入る。ラゲッジルームにはリバーシブルのボードを用意。タイヤは17インチホールのオールシーズンタイヤが標準装備となる
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「フィールドジャーニー」は走行モードセレクター「Mi-DRIVE」(ミードライブ)で「オフロード」モードが選べるようになっている。アウトドア走行に求められる走破性を高めるべく、いろいろな制御を入れたそうだ。写真は右前と左後のタイヤが浮いてスリップしてしまい、いわゆるスタックの状態に陥った「フィールドジャーニー」だが、オフロードモードにすれば浮いたタイヤにブレーキをかけ、接地しているタイヤに駆動力を送ることでスタック状態から脱出してくれる
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写真のボディカラーは新色の「ジルコンサンドメタリック」。この色もマツダにとっては異色な感じだが、街中で日光に当ててみるとボディサイドに周囲の景色が映り込み、しっかりとマツダ車の美しさを感じさせてくれた
いい意味でマツダらしくないフィールドジャーニーには、これまでマツダ車に関心を抱いてこなかった(例えばギア感のあるクルマが好きな)人にリーチしたいというマツダの思いが込められているが、もうひとつ、重大な使命がある。それは、初代CX-5ユーザーの乗り換え先となることだ。
CX-5は初代が道具感のあるRVっぽいSUVであったのに対し、フルモデルチェンジを経た2世代目は洗練された上質なSUVに進化し、初代とは少し違う方向性のクルマになった。そのため、初代から2代目への乗り換えが、思ったほどは進まなかったという事情がある。もちろん、初代が気に入ったから乗り続けている人も多いのだが、フィールドジャーニーが初代ユーザーの好みに合えば、うまく乗り換えが進むかもしれないというわけだ。
マツダでは2021年9月の初めから新型(商品改良後の)CX-5の受注を取り始めたそうだが、売れ行きは想定以上とのこと。新型CX-5購入者が下取りに出すクルマは今のところ、半分くらいが既存のCX-5なのだそうだが(つまりCX-5からCX-5に乗り換える人が半分くらいいる)、フィールドジャーニーを買う人の下取りは初代CX-5の割合がとても高いという。ちなみに、最上級グレード「エクスクルーシブモード」を購入する人の下取りは、ほとんどが2代目CX-5なのだそうだ。
受注を取り始めてからこれまでの各グレードの構成比は以下の通り。
「CX-5」のグレード名 | 販売全体に占める構成比(約) | 価格(万円) |
スマートエディション | 12% | 267.85~322.85 |
プロアクティブ | 15% | 290.95~345.95 |
ブラックトーンエディション | 23% | 304.15~359.15 |
フィールドジャーニー | 6% | 323.4~355.3 |
Lパッケージ | 7% | 320.1~375.1 |
スポーツアピアランス | 19% | 325.6~380.6 |
エクスクルーシブモード | 18% | 352.55~407.55 |
新型CX-5の販売台数全体に占めるフィールドジャーニーの割合はまだ6%程度だそうだが、いまのところ、マツダは狙った顧客にアピールできている模様。これからは、新規客にどれだけリーチできるかが楽しみなところだが、マツダの営業担当はフィールドジャーニーの「伸びしろ」に自信のある様子だった。