26日放送の最終回に向けてラストスパートを始めた、吉沢亮主演の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)。本作で、渋沢栄一(吉沢亮)の後妻となった渋沢兼子役を演じているのが大島優子だ。本格的に登場したのは第37回からだが、出番は多くないものの、亡き栄一の先妻・千代(橋本愛)から受け継いだ「内助の功」のバトンをしっかり受け止め、兼子役を好演。大島は初の大河出演で、女優としての胆力を見せた。

『青天を衝け』兼子役の大島優子

豪商・伊藤八兵衛の娘だった兼子は、とても賢くて凛とした女性だったよう。大島が「旦那さまに楯突くようなことはなかったと思いますが、兼子はもともと没落した家を自分が盛り立てていくんだという強い意志を持っていた女性だったかと」と言っていたとおり、時には自分の意見をはっきりと言えるしっかり者の女性として描かれてきた。千代は41歳で病死したので、後妻となった兼子は、91歳で天寿を全うした栄一に、最も長く寄り添った妻となる。

短い時間で、栄一との夫婦の絆を体現していくことに、かなり苦労したという大島は「本当に大変でした」と告白。「ずっと悩みながら、これで大丈夫かな? 合っているかな? と、1シーンごとに、頭を抱えながらやっていきました。そういうことを1つずつ一生懸命積み上げていった感じです」と語るが、その結果、非常に奥行きのある兼子像ができあがった。

妻以外に妾も作った栄一だが、大島はそんな栄一について「ほうっておけないやんちゃな子と思ったからこそ、パートナーとして隣にいたのではないかと」と、おおらかに捉えていた。そこには、長年人気アイドルグループのセンターを務めてきた大島ならではのポジティブさや強さが感じられ、役に説得力をもたらした。

もちろん、結婚したてのころは、栄一に対して兼子が物申したこともあった。最大の危機は、兼子が栄一に離婚を切り出した38回だったのかもしれない。

「やはり兼子としては、夫婦として一緒にいながら、そこに相手への思いがないと、どうにもならないなと思ったのではないかと。栄一さんが千代さんを今も思い続けていることや、私が家政を担当することは全然いいし、表立ってお仕事のパートナーとして一緒にやっていくのもいい。でもそこには情がないと、支えきれないと兼子が栄一さんに言いましたが、そこもすごく人間味があっていいなと思いました。あそこで栄一さんが兼子のことを理解してくれて、気持ちが通じ合ったからこそ、兼子はずっとその先も栄一さんと添い遂げようと決めたのではないかと思います」

確かにそういう葛藤をすべて吐露したことで、栄一と兼子は初めて本物の夫婦となれたのかもしれない。以降、2人の間ではあうんの呼吸が生まれていき、まさに人生におけるベストパートナーとなっていった。その豊かさを端的に示しているのが第40回だった。