「後世の研究者が混乱するやつ」というコメントが添えられた一枚の写真が話題になっています。投稿者は、趣味で時代衣装を着て楽しむ、ゆかりさん(@yukaricacid)。

後世の研究者が混乱するやつ(@yukaricacid)

  • (@yukaricacidより引用)

髪を結い、お歯黒をした和装の女性の指先にはお琴……ではなくタブレット。しかもスマホで通話もしています。「一瞬『何もおかしい所無いのに』と気がつかなかった」というコメントもありますが、白黒写真にしては解像度も高く、一体いつ撮った写真なのか後世の研究者でなくても混乱しそうなこの写真、14.4万件のいいね、2.4万件のリツイートと大きな反響が寄せられています(12月9日時点)。

「え、マジ!? 黒船来てんジャン! ウケるんだけど~」「わゐふぁゐ飛んではりますわぁ」「あな忙し」とこの女性が言いそうなセリフを寄せたり、「コレはジョブズが死後安土桃山時代辺りに転生した時間軸」「平賀源内が活躍しすぎた世界線」と大喜利が始まったりとツッコミが止まらない様子です。

しかしこの写真で女性が来ている装束、いつの時代の着物なのでしょうか。投稿したゆかりさんにお話を伺いました。

投稿者に聞いてみた

――普段、時代衣装を着た写真を投稿されています。今回の写真はいつの時代の衣装でしょうか。

江戸時代後期、20代前半の公家女性の装いです。公家というのは、一般的には貴族を想像すると分かりやすいかと思います。既婚の設定なので、帯を前で結び、お歯黒、引眉(眉毛を抜くこと)をしています。また、殿上眉という特殊な形の眉を描いています。

――お歯黒にすると口紅の色もこんなに映えるんですね。髪型も特徴的です。

葵髱(あおいづと)下げ上げという髪型で、シルエットが葵の葉のように見えるためこう呼ばれています。この時代の衣装は年齢や社会的立場によって装いが細分化されていたところも見どころです。

――「葵髱」も公家女性独特のヘアスタイルなのですね。着物のデザインも素敵です。

「後世の研究者が混乱するやつ」の写真を撮った際に用いた搔取(かいどり)は、江戸時代のものです。

  • (@yukaricacidより引用)

桜花と宇治橋と柴舟が刺繍で表されており「暮れてゆく春のみなとは知らねども霞に落つる宇治の柴舟」という寂蓮法師の新古今和歌集に収載されている和歌をデザインしたものです。日本古典文学と装束の研究をされている畠山梅漆先生(@baishitsuHATAKE)からお借りしました。

――江戸装束や平安装束など、時代衣装の写真を多数投稿されています。「時代衣装の魅力や着る楽しさ」はどのような点がありますか?

装いを通して当時の人たちの生活に思いを馳せるといいますか……絵巻や浮世絵等の世界観を実際に見て、着て、触れることができるのが楽しくてたまらないです。現代とは違う美意識を感じて頂けたらと思います。

うちのコレクションを見てくれ(@yukaricacidより引用)

  • (@yukaricacidより引用)

  • (@yukaricacidより引用)

  • (@yukaricacidより引用)


歴史の授業で絵巻や浮世絵を見たことは誰しも一度はあるかと思いますが、実際はこんなにも色鮮やかなのかと驚くものばかり。ゆかりさんのTwitterやInstagram(yukaricacid)では、厳かな雰囲気の写真だけでなく、「後世の研究者が混乱するやつ」のようなクスっと笑いたくなる写真も投稿されています。