日本各地を旅する際の楽しみのひとつが、お土産。ノスタルジックな空気感が魅力の松山・道後温泉には、昔なつかしい雰囲気の銘菓から、近年誕生したスタイリッシュなパッケージのお土産まで、新旧多彩なラインナップが魅力。

今回は、数ある松山土産のなかでも特におすすめの3点を厳選しました。すべて道後温泉のアーケード街「道後ハイカラ通り」で購入できるので、あちこち回らなくても手に入りますよ。

「六時屋」のタルト

  • 「六時屋」タルト(小)10切スライス:1本756円

愛媛を代表する銘菓といえば「タルト」。といっても愛媛のタルトはサクサクした生地にクリームやフルーツが載ったものではなく、柚子風味の餡をカステラ生地で巻いたロールケーキのようなお菓子です。

愛媛のタルトは、初代松山藩主・松平定行公が長崎で南蛮菓子に魅せられ、その製法を松山に持ち帰ったのがはじまりといわれます。当時の南蛮タルトはカステラ生地でジャムを巻いたものでしたが、餡入りのタルトは定行公が独自に考案したものと考えられているそう。愛媛のタルトは、ポルトガルと日本の味が出会った和洋折衷のお菓子なのです。

松山で「タルトといえばここ」といわれるのが、1933年創業の「六時屋」のタルト。時計の6時は長針と短針がまっすぐになることから、社名には「まっすぐ正直な心で商売をしよう」という思いが込められているのだそう。

厳選された北海道産の小豆を使った自家製餡を、職人が1本1本丁寧に巻き上げて作る六時屋のタルト。食品添加物を使用しない本物の味にこだわっており、1953年に松山で第8回国民体育大会が開催された際、昭和天皇・皇后両陛下に御用命を受けた味が自慢です。

ふんわり柔らかな生地となめらかな餡のハーモニーは、どこか昔なつかしい味わい。後に残る柚子の香りがさりげないアクセントになっています。

1本単位のほか、1カット単位(個包装)で購入することもでき、バラまき土産にも最適です。

六時屋 道後店
松山市道後湯之町14−22
※本店、松山三越、いよてつ高島屋でも購入可能
Webサイト:六時屋

「10FACTORY」のドライフルーツ

  • 左:ドライフルーツ房「温州」(270円)、ドライフルーツ皮なし「清見」(540円)

愛媛といえばやっぱりみかん。近年松山土産の新定番として人気を集めているのが、ドライフルーツやみかんジュースをはじめとする「10FACTORY」の柑橘加工品です。

ドライフルーツやみかんジュースは以前から愛媛の名産品でしたが、「10FACTORY」は、素材そのもののおいしさを活かした加工品作りと、地場産品にはなかなか見られないスタイリッシュな世界観で一躍人気に。店頭には「温州」「せとか」「清見」など10種類以上の柑橘を使った多彩な商品が並び、見ているだけで楽しくなります。

「10FACTORY」のドライフルーツは、小さなものなら1袋270円からと、値段も手頃でかさばらず、配りやすいのがポイント。温州みかんを房ごと煮詰めて作ったものや、縦にカットした「清見」を使った皮なしのものなど、種類によって異なる食感や味わいが楽しめます。

房ごと乾燥させた「温州」は、最初パリッとしていますが口に含んで少し経つと次第にむっちりとした食感に変わり、口の中いっぱいに濃厚な甘みが広がります。スライスした「清見」は、パリッ・サクッと軽い食感で、爽やかな酸味とほのかな苦みがマッチした大人の味わい。

いずれも、噛めば噛むほど口の中で豊かな風味が広がり、1度食べると止まらなくなってしまうかも。ドライフルーツには果実の甘みや酸味、香りが凝縮されているからこそ、柑橘類の多彩な魅力をはっきりと体感することができるんです。きっと、「みかんのドライフルーツってこんなにおいしいんだ」と驚くはず。

●10FACTORY 道後店
愛媛県松山市道後湯之町12-34
※松山本店でも購入可能
Webサイト:10FACTORY

「一六本舗」の「道後夢菓子噺」

一六本舗は、1883年に松山で創業した老舗菓子舗。「一六タルト」をはじめ、さまざまな銘菓を世に送り出してきた一六本舗が2017年に新たに発売したのが「道後夢菓子噺(どうごむかしばなし)」。

道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ) のオープンに合わせて発売されたお菓子で、同館の個室・特別浴室用のお茶菓子としても採用されています。

  • 道後夢菓子噺 5個入り(648円)

パッケージには道後温泉にゆかりのある白鷺と椿が描かれていて、見た目もほんわかキュート。箱の中には、愛媛県産久万茶を使用した緑茶餡を包んだ「白鷺」と、柚子餡を包んだ「椿」の2種類が入っています。箱の中も個包装になっているうえ、1点から購入することもできるので、さまざまなシーンで活躍してくれること間違いなし。

口の中に含むとほろっと崩れる、柔らかく上品な甘さの生地。「白鷺」にはかすかなほろ苦さと甘さが調和した緑茶餡が、「椿」には柚子の豊かな香りとさっぱりとした酸味が印象的な柚子餡が入っており、見た目同様まったく異なる2つの味が楽しめます。

●一六本舗 道後本館前店
愛媛県松山市道後湯之町20-17
Webサイト:一六本舗

地元で長く愛されてきたお菓子に加え、愛媛の名産や松山・道後にまつわるストーリーを活かして、新たなお土産が誕生している松山。ぜひ、お土産から新しさとなつかしさの両方を感じてみてください。