室町時代後期にポルトガルから長崎に伝わり、今なお日本人に愛される長崎の銘菓「カステラ」。長崎にはカステラの名店が多数存在するが、今回紹介したいのは創業天保元年という老舗「岩永梅寿軒」だ。

  • 岩永梅寿軒の「長崎カステラ」

筆者も長崎県人に聞くまで、その名を耳にしたことがなかったが、それもそのはず。観光客どころか、地元民でさえ入手困難の代物だという。人気の「長崎カステラ」は受注生産で販売するとのことだが、ネット予約の場合は最大5カ月待ち、店頭で購入しようにも取り置きは不可とのこと。予約分より多く製造できた場合に限り店頭に並ぶそうだが、その本数もまちまち。

だが、ラッキーガールの筆者は今回の長崎旅で奇跡的にも、その「長崎カステラ」を入手することができたので、早速レポートをしていこう。

「眼鏡橋」近くにある老舗「岩永梅寿軒」

「岩永梅寿軒」は、有名な観光地「眼鏡橋」から徒歩で約1~2分の距離に位置する。個人的にはお店を訪れる前後で、この「眼鏡橋」を観光していくのがおすすめだ。

  • 中島川に架かる橋は、長さ22m・幅3.65m。「日本橋」「錦帯橋」と並ぶ日本三名橋に数えられる。

1634年に日本初のアーチ式石橋として中島川に架橋され、現在は国指定重要文化財にも登録されている長崎の名勝。名前の通り、川面に映る影とセットで見ると、まるで眼鏡に見えることから「眼鏡橋」と名付けられたそう。優美な曲線と愛らしい見た目が印象的な橋は、周囲の美しい景観と相まってSNS映えも間違いなし。

  • 多くのお店が軒を連ねる「中通り商店街」

そこで記念撮影を終え、向かうは昔ながらの懐かしい雰囲気が漂う「仲通り商店街」へ。飲食店や土産物屋など、多くの店が軒を連ねる商店街の一角に「岩永梅寿軒」はある。

  • 創業天保元年 岩永老舗の看板が目印

「創業天保元年 岩永老舗」と彫られた重厚感ある木の看板と、黒塗りの趣ある佇まいが目印。ダメもとでカステラの在庫を尋ねると、奇跡的に残り3本あるという。前に並んでいた人が「2本」と言わないことを心の中で祈りながら待っていると……とうとう筆者の順番が! お会計を済ませ、無事貴重なカステラを手に入れることができた。

  • 長崎カステラ1号 1,620円。希少性が高いにも関わらず、良心的なお値段がうれしい

人気の「長崎カステラ」をいざ、実食!

厳選された材料を使い、1時間かけて1窯1窯丁寧に焼き上げたという手作りの「長崎カステラ」とは、さてはてどんなものなのか。心踊らせながら封を切ると、早速フワッと甘い香りが鼻をくすぐる。

  • 少し背が低めなのはやわらかさと、カステラ自身のずっしりとした重みのため

きれいな黄金色をしたカステラの高さはやや低めだが、それもやわらかさを追求した結果の形状だという。フォークを入れる段階から、多少力を入れなければ切れないほど、もちっとした弾力を感じる。

  • フォークを入れた瞬間から感じる弾力

ドキドキしながら一口食べてみると卵黄のコクもしっかり感じるが、上品な甘さに仕立てられているので非常に食べやすい。やわらかくも、しっとりした食感で口の中に美味しさの余韻を残してくれる。

さらに、長崎カステラならではのザラメが独特の歯ざわりをプラスし、カステラの芳醇な風味を引き立てる。個人的にはお茶やコーヒーなど、少し苦味のあるドリンクと楽しむことでその風味がより引き立つように感じた。

1本食べきれるかな? と最初は不安に思ったが、バランスの取れた優しい味わいとあって、夫と2人であっという間に完食。

手に入れるのは簡単ではないが、次回の長崎旅でも買いに行きたいと思わせる魅惑の一品だった。みなさんも長崎市を訪れた際は、ぜひその虜になってみてはいかがだろうか。

※情報は12月6日時点のもの

■Information
住所: 長崎県長崎市諏訪町7-1
行き方: 長崎電気軌道 蛍茶屋支線「めがね橋」駅から徒歩約5分