実力派若手俳優としてめきめきと頭角を現している俳優の萩原利久。「BLアワード2015」で第1位を獲得した同名大ヒット小説を実写化した『美しい彼』(MBS 毎週木曜24:59~)では八木勇征(FANTASTICS from EXILE TRIBE)とダブル主演を果たし、純度の高い恋愛ドラマに身を投じている。岡村隆史扮する“オカレモン”がプロデュースした子役グループ“オカレモンJr.”として、バラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』にも出演していた経験のある彼。「習い事の延長のような感覚だった」という過去から、いかにして役者として成長してきたのか。萩原の転機の鍵を握る、菅田将暉への憧れまでを語ってもらった。

  • 萩原利久

凪良ゆう氏の人気小説をドラマ化した本作。主人公となるのは、思うように言葉を発せない吃音症を持ち、幼い頃から周囲に馴染めず“ぼっち”を極める高校3年生・平良一成(萩原)と、スクールカーストの頂点に君臨する圧倒的カリスマ・清居奏(八木)。平良は清居をひと目みた瞬間から恋に堕ちていたが、ある出来事をきっかけに2人の関係が急展開。対極にあった男子高生2人の恋の行方がつづられる。

萩原にとって、BLというジャンルは初めての経験。さらに吃音症を持っているという難役に挑むことになったが、「緊張感やチャレンジしたいという思いが同時に湧いてきました」と告白。「一つ一つクリアにしていくしかないなと思いました」と撮影前に感じた意気込みを明かす。

そんな中、「『十二人の死にたい子どもたち』でも吃音症の高校生役を演じていたり、それを題材とした『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』に出演していたこともあって、吃音症はゼロから学ぶことではなかったんです。やはり初めて吃音症の役を演じるとなったら、とても大変だったと思います。これまでやってきたことを活かせる役ということが、とてもうれしかったです」と吐露。

監督を担う酒井麻衣氏とは3度目のタッグとなることもあり、「酒井監督には絶対的な信頼があります。『こうしたほうがいい、もうちょっと違うやり方もあるかもしれない』というやり取りをする上でも、とても話しやすくていい時間を過ごすことができました。そういった意味では、本作は僕にとってこれまでやってきた積み重ねが発揮される機会になったとも言えます。新しい挑戦に加え、経験を活かすことができる作品でした」と継続の重みを噛み締める。

男子高生の初恋を描く本作で、萩原演じる平良は、クールで美しい清居に忠誠を尽くし続ける。すれ違いながらも惹かれ合っていく2人だが、萩原は彼らの関係性の魅力をどのように感じたのだろうか。

「表面的には、平良が清居を追いかけているという構図ですが、2人はお互いに影響し合っている関係だと思います。平良は清居に対して、まっすぐ純粋に向かっていって、その結果いろいろな人を巻き込んでいく。僕はそのまっすぐさがとても好きです。また同じように清居もまっすぐな人。だからこそすれ違っていく2人がもどかしくもあり、面白くもあって。高校生らしい衝動的な部分が見えるところもあって、やっぱり高校生って特別な時期なんだなと感じました」

平良を演じる上でも「まっすぐさ」を大切にしていたといい、「平良ならば、どのように清居に向かっていくのかを日々考えていました。すごくすてきな原作があって、僕の演じる平良の純粋さが少しでもブレてしまったら、その世界を壊してしまうことになります。小説を映像化する意味というのは、時間の流れや人の体温まで届けられること。原作からブレてはいけない部分をしっかりと汲み取って、立体的な人物として平良を演じたいなと思っていました」と原作への敬意を込めながら、役作りに臨んだ。