今年もいよいよ冬のボーナスの季節となった。年末年始にかけて様々なイベントが目白押しの中、例年であれば、その使いみちにあれこれと思いを馳せるところだ。しかし今年は、昨年から続くコロナ禍の影響で、業種によっては思い通りの額が出そうにないといったこともあるかもしれない。
そこで今回は、マイナビニュース男女会員501人を対象にアンケート調査を実施。「冬のボーナス支給に対する新型コロナウイルスの影響」などを聞いた。果たして2021年の冬のボーナス事情はどんな様子だろうか。
Q.あなたの会社にボーナス制度はありますか?
「はい」(86.2%)
「いいえ」(13.8%)
Q.2021年冬のボーナスは出る予定ですか?
「はい」(84.5%)
「いいえ」(3.5%)
「わからない」(10.4%)
「冬は元々ボーナス支給がない」(1.6%)
Q.冬のボーナス支給に関して、新型コロナウイルスの影響はありますか?
「プラスの影響がある」(13.5%)
「マイナスの影響がある」(42.2%)
「影響はない」(44.3%)
Q.新型コロナウイルスが冬のボーナスにマイナスの影響を与える理由を具体的に教えてください(自由回答)
■「医療・福祉・介護サービス」
・「コロナの影響で、サービスを利用する人が減った」(44歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「介護職だが赤字らしく、例年より少ないらしい」(45歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「医療関係です! 仕事量は増えてストレス増えましたが、ボーナスは増えませんでした」(34歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「医療関係ですが、コロナ禍により物品も使用頻度が増え赤字です」(44歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「医療従事者です。入院患者の減少が激しいので、ボーナス減るらしい」(46歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「医療業界でも、出ているところでないところがあると聞いたことがある」(42歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「訪問看護師をしていて、コロナ禍のため依頼が減って、売り上げが下がった」(39歳男性/医療・福祉・介護サービス/その他技術職)
■「ホテル・旅館」
・「宿泊業に従事しています。元々コロナ禍の前はボーナスが出ていましたが、昨年の夏から昨年の冬、今年の夏と3回出ていません、そして今年の冬も出ない予定です。景気が上向いて来ても今までの痛手が大きいので、多分来年いっぱい出ないと思われます」(49歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「来年も支給されないと思う」(48歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
■「旅行・観光」
・「旅行業界で、新型コロナウイルスの影響をモロに受けているため悲惨です」(48歳男性/旅行・観光/営業関連)
■「流通・チェーンストア」
・「小売業に勤めているので、業績が悪化したため」(37歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「コロナ渦で、インバウンドの売り上げ分が埋まりきらない」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
■「百貨店」
・「デパート勤務で休業し、客足も遠のき売り上げが減少してる」(43歳女性/百貨店/事務・企画・経営関連)
■「総合商社」
・「どこの企業も同じだと思いますが、やはり業績は落ちています。人件費削減は仕方ない事だと思います」(49歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「業績が悪化していることが影響してくると思います」(40歳男性/総合商社/営業関連)
・「経済が停滞しているので、景気の不況とともに引き下げになる」(32歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
■「サービス」
・「サービス業なので、明らかに利益が減った」(41歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「コロナウイルスにより取引先の状況が好転せず、影響を受けました」(39歳男性/サービス/専門職関連)
■「エステティック・美容・理容」
・「サービス業なので、コロナ前に比べて業績が悪化している」(31歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)
■「フードビジネス」
・「飲食店なので、コロナの影響を大きく受けた」(37歳女性/フードビジネス/販売・サービス関連)
・「飲食業界に勤めているので業績がかなり悪化した」(46歳男性/フードビジネス/販売・サービス関連)
■「食品」
・「回復傾向にあるとはいえいまだ業績が不振なので、あまり楽天的な賞与が期待できない」(42歳男性/食品/営業関連)
・「売り上げがコロナ禍の影響でなかり下がったので、ボーナスはかなりかなり悪い状態での支給になる感じなので、みんながっかりしています」(48歳女性/食品/営業関連)
・「売り上げが落ちたこと、仕入れが想定の倍以上の値段に膨れ上がったことでボーナスは出ないかもしれない」(41歳女性/食品/営業関連)
・「観光に関係するので、人出に非常に敏感。だから業績に直結するので、人出が少なければボーナスも少なくなる」(44歳男性/食品/事務・企画・経営関連)
■「繊維・アパレル」
・「平年と比べ、会社の業績がかなり落ち込んでいる」(44歳男性/繊維・アパレル/販売・サービス関連)
■「化粧品・医薬品」
・「人がお金を使わないようにしているから、作った物が売れない」(49歳男性/化粧品・医薬品/技能工・運輸・設備関連)
■「輸送用機器(自動車含む)」
・「業績不振で、冬の賞与はありません」(42歳男性/輸送用機器/クリエイティブ関連)
・「自動車業界だが、半導体不足の影響で販売台数ダウン」(37歳男性/輸送用機器/メカトロ関連技術職)
・「国内向け販売と海外向け販売の売り上げと利益が減少したため」(45歳男性/輸送用機器/営業関連)
■「ゴム」
・「トヨタの減産により9月、10月と週休3日になり、会社の利益が減益になった」(38歳男性/ゴム/技能工・運輸・設備関連)
■「コンピューター機器」
・「請負契約なのでお客さんの予算が抑えられてきて、受注が減ってへいる」(47歳女性/コンピューター機器/IT関連技術職)
■「ソフトウェア・情報処理」
・「IT業界であるが、主要顧客の設備投資が少なくてなっているため影響がある」(47歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「景気が悪くなったことで業績も下がってしまい、その分ボーナスや給料が下がっている」(47歳女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
■「半導体・電子・電気機器」
・「半導体に影響受ける会社なので、減ると思う」(49歳男性/半導体・電子・電気機器/メカトロ関連技術職)
・「半導体の供給が不足しているから」(46歳男性/半導体・電子・電気機器/技能工・運輸・設備関連)
■「その他電気・電子関連」
・「業績がコロナの影響で下がっため、減る予定」(34歳男性/その他電気・電子関連/事務・企画・経営関連)
・「鉄道関係で収益が落ちているのでボーナスが減る可能性がある」(39歳男性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)
■「精密機器」
・「受注減少による業績の悪化」(28歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「海外からの部品調達が止まって、工場稼働しない時があったから」(48歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
■「設計」
・「受注減で売り上げが落ちてるため」(46歳男性/設計/メカトロ関連技術職)
・「消費がなくなっているので、製造全体が冷え切っている」(45歳男性/設計/メカトロ関連技術職)
■「その他メーカー」
・「自動車産業に勤めていて、海外の感染拡大がいまだに終息されず経営にマイナスの影響があるので、ボーナスは何割か減ると思う」(46歳男性/その他メーカー/技能工・運輸・設備関連)
■「海運・鉄道・空輸・陸運」
・「運送業だけど、多少落ち込みがあったので影響がありそう」(41歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「鉄道関係で売上高が減っているので、ボーナスに響く」(47歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「航空業界に勤務しており、言わずと知れた多大な影響がある」(49歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/販売・サービス関連)
・「地域の景気の影響を受けて、売り上げが減少している」(39歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
■「物流・倉庫」
・「飲食店へ食材や飲料を卸す仕事だから」(47歳男性/物流・倉庫/販売・サービス関連)
■「建設・土木」
・「不動産業界勤務で、需要低下のため」(30歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「半導体不足で出荷が滞っている影響が出ている」(41歳男性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「営業縮小に伴う利益の減少」(41歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「営業や業績自体が新型コロナウイルスの影響で悪化しているので、給料、ボーナス共に悪影響ですね〜……」(48歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「新型コロナの影響で製造が滞り材料がなく、仕事をしたくても出来ない状態がちょくちょくあり売り上げが減少したので、あまりボーナスに期待できない」(48歳男性/建設・土木/技能工・運輸・設備関連)
■「建設コンサルタント」
・「業務内容に変化は感じられないが受注が減り、社員への還元は減りそう」(36歳男性/建設コンサルタント/メカトロ関連技術職)
■「銀行」
・「金融業界だが、ネット銀行ばかりに移行しがち」(36歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
■「クレジット・信販」
・「クレジットカード業界に勤めているが、メインユーザーの飲食の利用売り上げが落ちているのでボーナスは見込めない」(44歳男性/クレジット・信販/営業関連)
■「電力・ガス・エネルギー」
・「水道業界ですが、建設、建築関係の需要の伸びがあまりよくないので、業績は横ばい状態です」(49歳男性/電力・ガス・エネルギー/メカトロ関連技術職)
■「通信関連」
・「売り上げ減。2.5カ月が2カ月に」(44歳男性/通信機器/営業関連)
・「人員削減により強引に利益を出しているので、還元されない」(45歳男性/通信関連/その他・専業主婦等)
■「広告・出版・印刷」
・「取引先の業績が悪化して、影響を受けた」(47歳女性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「新聞業界に勤めていますが、コロナの影響というよりは終わった産業なので、ボーナスがいつまで出るかわからないという感じです」(47歳男性/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
■「教育」
・「ニューノーマルへの行動変異で業績悪化」(48歳男性/教育/公共サービス関連)
・「経済活動の低下とともに、業界全体の活動や活気がない。また、売り上げは変化していなくても、内部留保に回される感じがする」(48歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
■「官公庁」
・「公務員なので、人事院の勧告に左右される」(31歳男性/官公庁/事務・企画・経営関連)
・「数パーセント減となる噂を耳にした程度。理由としては、世論に合わせてというところ」(33歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「国家公務員なので、民間準拠という定義で人事院勧告に基づいて支給されるため、昨年よりは減っている」(27歳男性/官公庁/公共サービス関連)
■「その他」
・「案件が減っているので、ボーナスが支給されるか不透明」(36歳男性/その他/IT関連技術職)
・「飲食業とか観光業みたいに直接的に影響はない業種ですが、コロナ禍になってから業績が悪くなっていってる」(46歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「会社の収入が減少しているため期待できない」(41歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「業績が悪化しており、ボーナスの額に変わりはないが、勤め先の決算は赤字になる可能性がある」(37歳男性/その他/その他・専業主婦等)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員のうち会社にボーナス(賞与)制度がある人は、8割を大きく超える86.2%となった。2021年冬のボーナスは出る予定の人は84.5%と、こちらも8割超。出ない予定の人は3.5%。「わからない」は10.4%。「冬は元々ボーナス支給がない」という人も1.6%いた。
冬のボーナス支給に関して、新型コロナウイルスの影響があるか聞いたところ、「マイナスの影響がある」は42.2%で、4割強の人がコロナ禍でボーナスが減ることを実感している。反対に、「プラスの影響がある」は13.5%。「影響はない」は44.3%となった。
新型コロナウイルスが冬のボーナスにマイナスの影響を与える理由を具体的に聞いた。全業界に共通して見られた回答は「コロナによって業績が悪化した」というものだが、これは当然のことだろう。
業種別ではやはり、「ホテル・旅館」「旅行・観光」「流通・チェーンストア」「百貨店」「サービス」「フードビジネス」「海運・鉄道・空輸・陸運」などの、人流抑制や外出自粛の影響を直接的に受けるところが深刻だ。いずれも、売り上げが減少してボーナスは厳しいという声が寄せられている。
「輸送用機器(自動車含む)」や「半導体・電子・電気機器」では、半導体不足で生産に支障が出て業績が低下したというコメントが見られた。世界中でワクチン接種が進み、新型コロナの収束と世界経済の回復が期待される中で、コロナ禍で傷ついたサプライチェーンが需要の増大に対応できず、半導体の全世界的な供給不足が生じている。とくに減産を強いられている自動車業界は関連する企業や産業も多いだけに、各所に多大な影響をもたらしているようだ。
「医療・福祉・介護サービス」に寄せられた声にも印象深いものが多い。今回の新型コロナの感染拡大を抑えるための医療従事者の献身的な努力は記憶に新しいが、コロナ対応に追われる中で本来の診療が十分に行えず、病院経営に支障をきたしているという報道も目にした。命を救うための尊い仕事に従事する方々が、十分な報酬を受けられることを願ってやまない。
また、少し変わったところでは、「官公庁」がある。本来、国家公務員は世間の景気には左右されない安定した職業だが、その給与は社会一般の情勢に適応した適正なものとするため、"民間準拠"を基本に人事院勧告を行い、支給額を決定する。そのため、民間のボーナスの支給水準に準じて減額された、というコメントが見られた。
今回のアンケートでは、ボーナスに与えるコロナ禍の影響はかなり深刻であることがわかった。幸い、最近のコロナ禍はかなり収束の方向に向かっている。ここで気を緩めることなく、今後もコロナとうまく付き合いながらも、1日も早く経済が復活してほしい。今回は、そんな思いを新たにする調査結果となった。
調査時期: 2021年11月16日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 500人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません