ビジネスシーンでは、問題解決や業務の効率化などを目的としたさまざまな手法や考え方が使われています。

会社の研修やミーティング、ビジネス書などで、MECE(ミーシー)という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、あまり聞きなれない言葉でもあり、MECEがいったい何なのか、どんな役に立つのかわからない人も多いかも知れません。

この記事では、MECEとは何か、フレームワークや重要性、注意点について紹介します。

  • MECE(ミーシー)とは

    ビジネスシーンで役立つMECEについて学び、仕事に活かしていきましょう

MECE(ミーシー)とは

MECEとは、漏れやダブりなく分類や分析を行うことで、課題解決を目指す方法です。

4つの単語の頭文字MECE

MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとった略語です。

  • Mutually:お互いに、相互に
  • Exclusive:重複せず、ダブりなく
  • Collectively:全体に、まとめて
  • Exhaustive:漏れなく

一般的には、「漏れなく、ダブりなく」というのがMECEの翻訳であり、基本的な考え方とされています。

MECEの具体例

たとえばあなたはパーティの主催者で、パーティ客に出す飲み物の種類を決めているとしましょう。

思いつくままに「水、コーヒー、炭酸水、オレンジジュース」などひとつずつ挙げて行く方法もありますが、思いつかなかったものは漏れとなってしまいます。

MECEでは、「アルコール飲料とノンアルコール飲料」にカテゴリーわけをして、さらにノンアルコール飲料を「炭酸飲料、フルーツジュース」など細かくカテゴリーにわけます。

まず飲み物の大きな分類を決め、そこからさらにカテゴリーわけをするという過程を踏むことで、漏れを防ぐことができます。

営業やマーケティングでのMECEの重要性

MECEは、ロジカルシンキングの基本であり、マーケティングや営業にも効果的な考え方といわれています。

商品企画や調査項目、対象の選定などにおいて、必要なアイディアや要素を、漏れなくピックアップできるからです。

ビジネスシーンにおいて成果を出すための思考法として、MECEは非常に重要で、社会人としてMECEの考え方ができることは仕事の成果、ひいては自身の評価にもつながるといえるでしょう。

MECEはロジカルシンキングの基礎なので、仕事が営業やマーケティングではない場合にも、課題解決など幅広く使える思考法です。

MECEの訓練方法

MECEができるようになるためには、まずは、すでにあるフレームワークを理解しましょう。

MECEには、考え方の基本的なパターンがいくつもあります。これらのパターンを理解し、実際に使ってみることでMECEに慣れることが可能です。

実際にMECEのフレームワークを使って考えた結果を、人に見てもらうのもおすすめ。フレームワークに添った分類・分析ができているか、人の目線からも確認でき、自分では気づかなかった点についてフィードバックをもらうことができます。

小さなことでもいいので、MECEを何度も繰り返し使ってみることで、上達していきます。

  • MECE(ミーシー)とは

    MECEを日々使って訓練して、使いこなしていきましょう

MECEの考え方とコツ

MECEで考える時の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 分析の目的を決める
  2. 要素を洗い出す
  3. 要素をさらに細かく分類する

この3ステップにおいて、役に立つ具体的なアプローチ法やフレームワークを紹介して行きます。

アプローチ法

MECEのアプローチ法には、2つあります。

・トップダウンアプローチ
全体から目的に合わせて要素を分類していく方法。すでに全体像を把握している場合や、分類方法が明確になっている場合に有効です。

・ボトムアップアプローチ 思い浮かぶ要素をブレインストーミングのような形であげて分類することで、全体像を作っていく方法。全体像が分からない未知の領域を分析するのに向いています。

分解の4つの方法

MECEにおける、要素の分解方法には4つのやり方があります。

・要素分解
全体の整理方法をまず考え、目的に合わせて部分的な要素にわけて行く方法。

・対称概念
「メリットとデメリット」のように、対称的な要素に分類して分解していく方法。

・時系列にステップわけ
「仕入れ→加工→製造→販売」など、時間の流れやステップの順番通りにわける方法。

・因数分解
「販売数×販売単価」のように、分析対象を計算式で表す方法。

フレームワークの活用

MECEのフレームワークには、大きくわけて「要素分解のフレームワーク」と「時系列にステップわけする時のフレームワーク」があります。

【要素分解のフレームワーク】

・SWOT分析
Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の4つに分類。

・3C分析
Customer(顧客分析)、Competitor(競合分析)、Company(自社分析)の3つのCを分析する方法。自社だけでなく、市場や競合の視点からも分析することで、漏れなくダブりのない分析が可能。

・4P分析
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4要素に分類する方法。価格設定や販売プロモーションなど、マーケティングの戦略を立てるのに有効。

・7S分析
以下7つのSにわけて考える方法。
ソフトの4S:Skills(能力)、Staff(人材)、Shared Value(価値観)、Style(経営スタイル)
ハードの3S:Systems(仕組み)、Structure(組織構造)、Strategy(戦略)

【時系列にステップわけする時のフレームワーク】

・AIDMA(アイドマ)

以下の購買プロセスごとに分類する方法。マーケティングや営業に効果的。
Attention(商品の認知)
Interest(関心を持つ)
Desire(欲しいと感じる)
Memory(記憶する)
Action(購買行動に移す)

・バリューチェーン
仕入れや販売などの各プロセスで、どのような価値が生み出されているのかを分析する方法。

・製品ライフサイクル
製品について、導入期→成長期→成熟期→衰退期の4つにわけて分析する方法。

・ロジックツリー
分解した要素をツリー上にして、関連性を可視化する方法。

  • MECEの考え方とコツ

    MECEに役立つフレームワークも理解しておきましょう

MECEの注意点

最後にMECEの注意点を紹介します。

漏れに注意

MECEでは、漏れがないことが優先されます。重複がないことも重要ですが、それ以上に漏れがないように意識しましょう。

目的をもって分類する

分類をする時には、ただ要素にわければいいのではなく、目的に合わせた分類をすることが重要です。

MECEは万能ではない

MECEを使えば、必ず漏れなくダブりなく分類できるわけではありません。また、複数のカテゴリーに分類される要素が出てくることもあるでしょう。

こだわりすぎず、目的の達成を意識して分類しましょう。

  • MECEの注意点

    MECEを使うことは手段のひとつであり、目的にならないように気をつけましょう

MECEを使ってロジカルシンキングを実践しよう

MECEは営業やマーケティング、経営戦略など、多くのビジネスシーンにおいて役立つロジカルシンキングの基礎です。

MECEを元に問題解決や課題対処にあたることで、効果的に成果を上げることができます。

日々の仕事の中でもMECEを使って仕事での成果につなげ、周囲からも認められるビジネスパーソンを目指しましょう。