ボルボは日本で初めて販売する電気自動車(EV)「C40」を発表した。最初の100台はサブスクリプション契約、その後の販売もオンラインのみという画期的な商品だが、成功の見通しは。ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長に話を聞いた。

  • ボルボ「C40」

    ボルボが日本で初めて販売するEV「C40」

サブスクならコミコミ月額11万円!

ボルボの電動化は急速に進む。グローバルでは2025年までに販売台数の50%、2030年までに同100%をEVとする方針。日本では2025年までにEV販売比率を35%に乗せるとしている。これは、2025年に日本で約9,000台のEVを売ることを意味する。目標達成の試金石となりそうなのが、日本では2022年に発売となる「C40」だ。グレードは「C40 Recharge Twin」の1種類と明快至極。価格は719万円だ。

「C40」はボルボが日本で売る初めてのEVとなる。同社のSUV「XC40」が採用している「CMAプラットフォーム」をベースとするが、ボルボが初めてEV専用モデルとして設計したクルマでもある。つまり、C40のガソリンエンジン搭載バージョンとかハイブリッド車は存在しない。搭載するモーターは前後の計2基。動力性能は最高出力300kW、最大トルク660Nmと力強い。バッテリーの総電力は78kWhで、フル充電での走行可能距離は485km(WLTCモード)だ。

  • ボルボ「C40」

    ボディサイズは全長4,440mm、全幅1,875mm、全高1,595mm、ホイールベース2,700mm。天井は大型の固定式パノラマ・ガラスルーフになっている

ボルボ・カー・ジャパンはC40の最初の100台をサブスクリプション契約で売る。期間は最長36カ月、金額は月々11万円。頭金は不要で、月額費用には各種税金、自賠責保険、リサイクル料金、登録諸費用、任意保険料、サービスプログラム、付帯補償料などが含まれる。申し込みはキャンペーンサイトで受け付けており、多い場合は抽選となる。受け付け期間は11月18日12時~11月30日12時。ちなみに、18日の16時くらいに聞いた話では、すでに申し込み件数が50件に達していた。2022年1月にはC40のオンライン販売に関するサイトもオープン予定だ。

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  • ボルボのEVは100%レザーフリー。シートやカーペットにはリサイクル素材を使用している

電動化の目標は野心的だし、EVの売り方も画期的なボルボだが、ここまで攻めの姿勢をとってしまって大丈夫なのだろうか。成功の見通しはどうなのか。以下、ボルボ・カー・ジャパン社長のマーティン・パーソンさんへのグループインタビューの模様をお伝えしたい。

ボルボ・カー・ジャパン社長を直撃!

――C40発表後、お客さんの反応は?

パーソン社長:日本で初めてのEVということで、発表は歴史的な瞬間でした。ボルボではプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売比率が伸びてきていますし、お客様にはサステナビリティや電動化について理解していただいていると思いますので、EV販売は必ず成功すると確信しています。

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    ボルボ・カー・ジャパン社長のマーティン・パーソンさん

――100台はサブスク。日本ではそこまでサブスク市場が成熟していない気もしますが?

パーソン社長:この取り組みには、これまでと違うことをしていく、これが新しい始まりであるというシグナルとして大きな意味があります。2022年1月からはオンライン販売も始めます。

――このクラスのEVはラインアップが充実しつつあります。C40の強みは?

パーソン社長:まずはスタイリッシュなデザイン。それと、クルマの出力はツインモーターで408psとパワフルです。あとは、例えばグーグルのインフォテインメントシステムを搭載しているのもユニークなところですね。

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    「C40」はクーペライクなSUVスタイル。展示車は「フィヨルドブルー」というボディカラーを身にまとっている

――C40に乗ってみましたが、車内はとてもシンプルですね。EVなので、先進的でテクノロジー満載の車内を期待する人もいると思うのですが……。

パーソン社長:このクルマを全ての人に買ってもらおうというわけではありません(笑)。我々の哲学である「スカンジナビアンデザイン」は、シンプルでありながら機能的で、いい素材を使っているところが特徴です。

――そういうクルマが好きな人に届けば、2025年にEV9,000台という目標は達成可能?

パーソン社長:間違いなく。2025年に「少なくとも」9,000台は確信していますし、2030年には販売台数の100%をEVにする方針ですから、そのペースじゃないと間に合いません(笑)。

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  • 「C40」の車内はとてもシンプル。そのうちEV専用プラットフォームのボルボ車が登場するはずだが、そうなればさまざまな先進技術が取り入れられるかもしれない

――2025年のEV販売比率(目標)はグローバルが50%で日本が35%。15%の差にはどんな意味が?

パーソン社長:やはり、日本では電動化の進展がゆっくりなので。インセンティブ、インフラ、マインドセットなどが、まだ十分ではありません。ただ、日本では、いったん人気になると、一気に普及するという傾向があります。だから、安心しています。今後も毎年1台以上のEVを日本に導入していく方針です。

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