22年卒向け新卒採用が落ち着き始めたこの時期は、23年卒向け新卒採用の本格的なスタート時期でもある。外資系やITベンチャーが年内で内定出しをすることやインターンシップと新卒採用の境目が微妙になっている、且つ学生の動きが前倒しになっている事実からもコロナ禍で就職活動は大きくカタチを変えていることが分かる。

そんな中、就活生の3極化が進んでいる。

(1)早期に内定獲得、入社意志の確定で就活を終える
(2)内定獲得はできるものの、オンライン就活の影響で入社意志の後押しがなく決めきれない
(3)内定が獲得できない

当然、いつの時代も社会が学生に求めるスキルや価値観を大学生活の中で開発をして自分のものにできている学生には企業からの内定は集中するものである。また、内定がなかなか獲得できない学生も一定の確率で出てしまうのが現状だ。

では、コロナ禍における内定を獲得できる人とそうでない人の差がどこにあるのか?

「元気ですか?」の問いは見極めポイント?

内定を獲得できる、できないの分かれ目にはやはり「ビジネス社会で使うコミュニケーション力」がある。学生市場で使うコミュニケーション力ではなく、ビジネス社会で使われているコミュニケーション力という点がポイントだ。

例えば、面接官が緊張をほぐす意味で「元気ですか?」「就活の調子はいかがですか?」という良くある問いに対して、内定を獲得できない学生は「はい、元気です」「絶好調です!」という返しをしがち。しかし面接官からすると、再度「元気って、どんな状態ですか?」や「どのあたりが絶好調?」と聞き返す必要がある。コミュニケーションの二度手間という印象だ。

一方で内定を獲得できる学生は、「就活も一周して理解が深まり、フィジカルだけでなくメンタルも好調なので元気ですね~」「面接で落ちることもなくイメージ通り就活ができているので調子は良いと感じています」など、面接官が欲しいであろう内容を盛り込んで打ち返してくれる。

ビジネスシーンで必要になる「相手が何を考えているか? 求めているか?」を先読みしながら思考して話をするスキルは、ビジネス社会においても有効なコミュニケーション。そのようなスキルを身につけている学生は採用側からの評価も高く、企業としては押さえておきたいところだ。

入社して活躍できるイメージを面接官に届けることがカギ

学生が面接官に対して疑問を感じやすい点は、「どの視点で学生を見ているのか?」という話です。企業は新卒採用に対して、入社して一定の研修期間後に早くひとり立ちをして「活躍」してくれることを求めている。ガクチカをきれいに話してくれることや就活レベルのPRを求めているわけではない。

つまり、面接官は目の前の就活生がいかにガクチカをきれいに話せるか? 志望理由がクリアになっているか? などの就活テクニックではなく、社会で活躍するであろう「要素」を面接の中で見つけ出したいのだ。

この視点がない学生は「なんで落ちたのか分からない。完璧にPRできたのに」という振り返りになりがちだ。企業の本音を掴んでいる学生は、そもそも就活生っぽさを感じさせない、普段の雰囲気や持ち合わせているスキルや価値観を素直に伝えるといった熱意があるので、面接官としても入社後のイメージがしやすく、ウチで活躍してもらえると確信を持って評価ができる。

自己分析型ではなく未来志向型の就活へ

古い就活の代表が、自己分析をしてその中で価値化された自分の性格や行動原理、好き、憧れなどから未来の方向を定め、夢を固めていくという流れ。もちろん、今の就活市場における古い就活ではミスマッチの可能性を高めるため、内定を獲得できる学生達は、未来志向型の就活を自然に実践している。

例えば、日本のビジネス市場の展望についてPost/Afterコロナも踏まえて自分なりの見解を持っており、今自分にとって必要なスキルや経験が得られる環境として職種や業界を選定できること。

当然企業側から見ても、過去の自分を軸に未来を描いたり志望理由をまとめてきたりするといった古い就活のプレゼンテーションでは矛盾を感じやすいだろう。一方で未来志向を軸に「やりたい」よりも「やるべき」を見つけている学生のプレゼンテーションは、ロジックがしっかりしていて納得感がある。ここにも内定を獲得できる学生とできない学生の差があるのだ。

これまでの就職活動の文化や進め方は、時代の変化に加えコロナ禍で大きく変化している。当然、企業が学生に求めるモノも変化しており、だからこそ、就活生は最前線にある正しい情報を収集して、周囲との比較や就活っぽさではなく自分のはたらく未来のために「新しい就活」を理解して自分らしく活動して欲しい。