新型コロナウイルスの影響は、21卒向けの就職活動だけでなく、22卒、23卒向けの就職活動にも大きなインパクトとなっている。企業は21卒向け新卒採用を何とか力技で乗り切り、コロナ禍2年目から新卒採用の改革が急速に進んでいる。対面とオンラインのハイブリッド採用の浸透スピードが分かりやすい事例だろう。一方で学生側は3極化が進んでいるようだ。

  1. 低学年次からビジネス、社会の情報を収集して早くからキャリアについて考える
  2. 世の中の情報から危機感は感じているものの、何をして良いか分からず動けない
  3. 必要な情報が入っておらず危機意識が醸成されず、就活情報が更新されず動かない

3の学生達は結果的に最前線の新しい就職活動市場を知らず、ネットの情報や先輩からのいわゆる「古い就活」の情報を入手してしまう。

「古い就活」を実践した先にある末路

実際に「古い就活」、つまり自己分析の結果、自分のやりたいことや憧れの業界や企業を短期間で選定して、学生生活の中での強みや弱み等を整理して会社ごとに志望理由を作り上げて、プレゼンを練習して面接に臨む。そして内定獲得できた中で、会社規模やブランド、やりたいことができること、若いうちから裁量があること、経営理念・社員に惚れて選社する。

ところが、その活動の結果コロナ禍以降で就職活動をしている学生の中で下記のような声が多くなっている。

  • 厳しいと聞いていたが想像以上に市場が厳しいということを活動を通じて体感した
  • 面接がうまくできたと思っても通過しない、内定が取れない、評価が分からない
  • 内定が取れても本当に行くべきか判断がつかない(オンライン就活の弊害と言われている)

20卒向け就活までは先輩やネット情報で準備することで内定が取れた「売り手市場」だったのに、なぜコロナ禍で急激に市場の温度感が変化したのか?

コロナ禍、新時代の就活を勝ち抜くために

そもそも、コロナ禍でメディアが報じているように日本の経済ダメージは大きい。つまり多くの企業にも影響が出ているため、学生人気の高い企業が採用縮小や採用中止を発表するケースも少なくない状況だ。

Withコロナ、Post/Afterコロナを見据えて採用にアクセルを踏める企業、様子を見る企業、そもそも体力的に採用ができない企業と分かれている市場の中で、企業が学生に求める価値や期待する能力、つまり評価ポイントが変化していることに学生は注目してほしい。

1年半で市場は学生有利の「売り手市場」から企業有利の「厳選市場」に変わっている。当然企業は採用枠が狭まるのであれば、より即戦力、ポテンシャル=早期に立ち上がり貢献できる可能性のあるポテンシャル人材の採用に注力したい。

このように企業側の状況や評価目線が変化している中で「古い就活」は自己分析就活を軸としているので、学生時代の文化、価値観、能力を表面的にPRしてしまう。

企業からすれば、変化の激しいこれからの社会では価値観や性格も異なる若者に対しては、過去の基準よりもこれからをどう見据えて思考できるかのポテンシャルに期待したい。そして、早期に活躍できる為の社会人基礎力、ビジネススキルがどこまで備わっているかを評価したい。このギャップが「なぜ落ちたか分からない」に繋がっているようだ。

新時代の就活を成功するためには社会の声を聞こう

急激に変化した世の中で学生生活も大きく変化したことを実感している学生であれば、当然ビジネス社会での大きな変化があったことは想像できるはず。つまり、新卒採用も大きな変化をしているのだ。

すでに企業は「優秀」の定義を変え、より実践的な採用活動にシフトしている。学生が過去にどんな経験をしたかの評価ではなく、その経験の中でどんなパラダイムシフトが起きたのか? ビジネス社会で再現性のある力は? これからの時代に必要な思考力や主体性をどこまで引き上げているのか? などのポイントを、リアルな視点で評価したいのだ。

だからこそ、短期間で興味が高まっただけの想いは企業には届かない。そして、覚えたプレゼンでは勝負にもならない。このような市場に変わっている事実を、学生は受け止める必要がある。

また、その最前線の温度感や情報は企業の採用担当者や若手社会人メンターでは得られない。もっと言えば利害関係のある就活市場の大人達ではなく、ビジネスを幅広く捉えている採用に利害のない社会人から得られる情報なのだ。

まずは就活市場に飛び込むのではなく、焦らず「社会の声」を聞いた上で自分が今一番必要な情報は何か? どんな準備をすれば良いのかを「自分自身で思考」することが重要である。

新時代における就職活動のポイントは、「正しい情報」を「誰から」入手して、自分ならではの活動をデザインして進め、周囲に流されることも正解を探す活動でもないことを改めて意識することが重要になる。

ぜひ、こうしたポイントを踏まえながら、あなた自身の就職活動に取り組んでほしい。