• 久保田暁ディレクター(左)と茂原雄二プロデューサー

久保田Dは、大きな話題を集めた『プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル』(NHK)で、映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作に取り組む庵野秀明監督に4年にわたって密着した人物。茂原Pは「変な人が好きで、愛おしいと思って素材をチョイスできるので、いびつでデコボコして違和感のあるものが、ちゃんと良いと思えるディレクターなんだなと思います」と評価する。

33歳の久保田Dから見て、談志さんは「すごく面白い人だとは思ってたんですけど、その面白さがまた違った角度から垣間見られた気がしました。より深く、立川談志のすごみに触れることができたと思います」と表現。また、「家族と接する姿を見て、あんなに優しいパパの一面があったんだと少し衝撃でした(笑)。お孫さんとのシーンもそうですが、あの優しい笑顔にみんな惹きつけられていたのかなと改めて思いました」と、今回の番組を通しての印象の変化を明かした。

女優の満島ひかりが担当する今回のナレーションは、娘の弓子さん目線で書かれている。その狙いは、「談志師匠は、弓子さんが自分と似てると思っていたはずなんですよ。それで、『いい父親だったんです』という物語じゃなくて、『うちのパパってこんなにバカだったんだよ(笑)』って友達に面白い話をしてるようにしたかったので、弓子さんの目線にしました」(茂原P)とのこと。結果として、「談志師匠って『俺っていう人格が出てるんだから、その人格を聴くんだ』とよく言っていたんですが、満島さんも“人格”を大事にする人なんだなと思いましたね」と、見事にハマった。

■談志さんが今の時代に問いかけるもの

10年という時を超えて、恥も含めて全てをさらけ出す談志さんの姿は、コロナ禍という閉塞感漂う今の世の中に、何を伝えてくれるのか。

茂原Pは「談志師匠ってファンの方に格言を書いて渡すんですけど、“勝手に生きろ”ってよく書いてたんですよ。さらけ出したり、愚痴を言ったりしてるところなんて、見せないほうがジェントルマンなのにこうやって自撮りして、言ってることもブレまくりじゃないですか(笑)。でも、それが人間なんだから、泣きたいときは泣けばいいじゃんって。“勝手に生きろ”という言葉で、みんなを包んでくれるところがあるんじゃないかと思います」と語っている。

  • がん治療の病室での談志さん (C)フジテレビ