甘酸っぱく爽やかな味わいで柔らかく、そのまま食べられるプラム。食欲がないときや元気がないときなどにピッタリの果物ですよね。

しかし、プラムの栄養や効果・効能などまで意識しながら食べている、という方は少ないのではないでしょうか? この記事では、プラムの栄養成分や期待される効能、食べごろの状態の見分け方や保存方法、ダイエット中に食べてもいいかなどを解説します!

「もっと健康に気を配りたい」「ダイエットにいい果物を知りたい」と考えるなら、プラムについても知っておきましょう!

  • プラムとはどんな食材?

    プラムに含まれる栄養を知って、より効果的な食べ方をしましょう

プラムとはどんな食材?

プラムとは、小さな桃のような形をした果物。6~8月が旬です。種類によって皮やなかの色が赤や紫のものがあり、甘酸っぱい果肉をしています。日本での主な産地は山梨県や長野県、和歌山県です。

プラムの品種・種類

プラムにはさまざまな品種があります。なかでも目にする機会が多いのが「大石早生」「ソルダム」「貴陽」など。

・大石早生
「早生」の名のとおり収穫時期が早く、5月下旬から店頭に並びます。小桃のような形をしたプラムで、熟するにつれて真っ赤になり、中の黄色い果肉もジューシーになるのが特徴。程よい酸味がおいしい品種です。

・ソルダム
大石早生よりも少し大きく、完熟すると皮だけでなく中の果肉まで真っ赤に熟れるのが特徴。梅の実を大きくしたような形をしています。店頭に並んでいる段階では皮が緑色であることも多いので、しっかり追熟させてから食べるといいでしょう。

・太陽
大石早生やソルダムより大ぶりのプラムで、皮はよく熟れたものであれば黒や紫に見えるほど濃い赤をしています。身はやや黄色っぽく、甘みが強い品種です。プラムのなかでは日持ちがいいので、パックでも購入しやすいでしょう。

スモモとの違い

「スモモ」と「プラム」の違いは、ずばり言葉。実は「プラム」は英語であり、日本語に直すと「スモモ」。ちなみに「プルーン」も同じ果物を指すフランス語です。つまり、「スモモ」も「プラム」も「プルーン」もすべて同じ種類の果物のことなのです。

日本では乾燥させたものやジャムなどに加工されたものを「プルーン」と呼び、生のまま食べるものを「スモモ」もしくは「プラム」と呼び分ける傾向にあるようです。

  • プラムとはどんな食材?

    プラムとスモモ、プルーンは同じ種類の果物です

プラムの栄養成分

プラム(すもも)の栄養成分は、日本食品標準成分表2020年版によると、以下のようになります(100gあたり)。

  • エネルギー: 46kcal
  • たんぱく質: 0.6g
  • 脂質: 1.0g
  • 炭水化物: 9.4g
  • α-トコフェロール(ビタミンE): 0.6mg
  • 葉酸: 37μg
  • ビタミンC: 4.0g
  • 食物繊維総量: 1.6g

プラムは種類や物によって大きさはいろいろですが、100gというと大体「ソルダム」1個分くらいの量です。 大石早生はそれよりも少し小さいので×0.7、太陽は大きめなので×1.3くらいの数値が目安になります。

  • プラムの栄養成分

    プラムには葉酸やビタミンEなどが含まれます

プラムの効果・効能は? 妊婦に嬉しい成分も!

プラムに含まれる栄養は、どのような効果や効能があるのでしょうか。プラムの効果・効能を知って、食べるときの参考にしましょう。

食物繊維

食物繊維は、人が消化酵素で消化できない成分のこと。特にプラムの皮に水溶性食物繊維のペクチンが多く含まれています。食物繊維は腸内の善玉菌を増やしてお通じをよくするだけでなく、脂質・糖・ナトリウムなどを体の外に出す働きもします。
そのため、便秘の解消や、脂質などのとりすぎを原因とした肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果的といわれています。

葉酸

水溶性ビタミンの1種である葉酸は、細胞が増えるうえで大切なDNAの合成や、赤血球の形成、必須アミノ酸を作り出す働きに関わりがあります。そのため、貧血予防に葉酸は効果があるといわれています。

また、細胞分裂が盛んな妊娠初期の胎児は、葉酸をたくさん必要とします。この時期に葉酸を摂っていると神経管閉鎖障害のリスクが減るため、特に初期の妊婦さんや妊活を意識している方は積極的にとりたい栄養素です。

ポリフェノール

プラムの皮・果肉の赤や紫といった色は、ナスやブルーベリーなどにも含まれる色素成分のアントシアニンによるもの。このアントシアニンはポリフェノールの1種で、抗酸化作用や目の疲労を予防する効果や毛細血管を強くする効果が期待されます。

抗酸化作用とは、少量なら有用であるものの大量に作られると体に有害になる活性酸素の発生を押さえ、発生した活性酸素を取り除く働きのこと。抗酸化作用のある物質には、動脈硬化や老化、免疫力低下などを防ぐ効果があるといわれています。

ビタミンE

ビタミンEは、「若返りビタミン」と呼ばれるほど強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンの1種です。血行をよくしたり、ホルモンのバランスを整えたりする働きもあります。

血行改善による冷え性の改善や、抗酸化作用による動脈硬化、免疫力低下などの予防が期待できます。

  • プラムの効果・効能は? 妊婦に嬉しい成分も!

    プラムには便秘解消や免疫力向上の効能が期待されます

プラムは皮ごと食べるべき?

プラムの皮は酸っぱいため、「ちょっと苦手」とむいてしまっている方もいるのではないでしょうか。しかしプラムは、皮の部分に食物繊維やポリフェノールが多く含まれているため、丸ごと食べたほうが多くの栄養素を取り入れられます。

また、プラムの栄養は加熱で壊れてしまうものが少ないため、ジャムやコンポートなどにしてもおいしくいただけます。

「どうしても皮は苦手、でもポリフェノールも摂取したい」という方は、試してみてはいかがでしょうか。

食べごろプラムの選び方・見分け方

食べごろのプラムは色が濃くなり、甘い香りがしてきます。桃のように少し柔らかくなるので、傷まないように早めに食べましょう。

スーパーなどでは、食べるにはまだ少し早いプラムが売っているときもあります。 購入するときは、皮がピンと張っていて色のむらがなく、傷や痛みがないものを選ぶのがコツ。

表面に白っぽい粉のようなものがついていることもありますが、これは「ブルーム」といって新鮮な果物にのみついているもの。カビや病気ではないので安心して選びましょう。

プラムの保存方法

プラムは「熟していないプラム」「熟したプラム」で保存方法が異なります。

熟していない硬いプラムであれば、まずは追熟させましょう。その場合は食べごろになって甘い香りがしてくるまで常温で置いておけばOK。

熟したプラムは冷蔵庫に入れましょう。そのままでもいいですが、新聞紙などにくるむと乾燥を防げるため、より長くおいしさを保てます。予めカットしておいてもいいですが、桃やりんごのように切り口から変色して見た目が悪くなってしまいます。変色が気になる方はすぐに食べるか砂糖水などで変色を防止しましょう。

プラムは冷凍も可能。よく洗って傷んだ部分を取り除き、ラップにくるむかフリーザーバックのなかに入れてそのまま冷凍します。冷凍する前に種をとっておけば食べるときも簡単です。

ただし、プラムは冷凍すると酸っぱさを強く感じるようになります。解凍するときに食感が悪くなってしまうことも多いので、ジャムなどにするときに向いた保存方法です。

ダイエット中に食べてもいい?

ヘルシーなイメージのあるプラムは、食物繊維が多く、むくみ解消効果があるといわれているカリウムも含まれているため、ダイエット中にももちろん食べられます。

ただしプラムは甘い果物なので、食べすぎてしまうと糖分やカロリーのとりすぎになってしまう場合もあります。夜寝る前は避け、一度に食べすぎないようにしましょう。

プラムのアレンジレシピ

そのまま食べてもおいしいプラムですが、それだけでは飽きてしまうこともあります。プラムを大量に手に入れたり、酸っぱくて「そのままでは食べ切れないかも」と思ったりしたときなどは、以下のアレンジを試してみましょう。

・ジャム
材料はプラムの実(種なし)と、その半分~同じ重さの砂糖、レモン汁1個分だけ。 プラムと砂糖を鍋に入れ、くつくつと弱火で焦げないように煮込み、とろみが付いてきたらレモン汁を入れるだけで、簡単にプラムジャムが完成します。

コツはホーローやガラスなどの酸の影響を受けにくい鍋を使うこと。砂糖を少なくすると、日持ちしづらくなるので注意しましょう。

・コンポート
コンポートの材料はさらに簡単で、プラム以外は砂糖と水だけ。 好みの濃さの砂糖水を沸騰させたら、そこにプラムを入れて5分ほど煮るだけで完成です。 簡単ですが、丸ごとのプラムで作れば見栄えもよくなります。アイスに添えたりパンに載せたりしてもおいしいですよ。

・プラム酒
プラム酒の作り方は梅酒と同じです。 保存容器によく洗って水気を切ったプラムと氷砂糖を交互に詰め、そこにホワイトリカーを注ぎます。3カ月ほど置いておけば完成ですが、1年ほど置いておくとさらに味がまろやかになります。

  • プラムは皮ごと食べるべき?

    アレンジレシピを活用すれば、もっとプラムをおいしく楽しめます

おいしくプラムを食べて健康になろう!

便秘に効果があるといわれている食物繊維や、妊婦に嬉しい葉酸がたくさん含まれているプラム。食べすぎに注意すれば、ダイエット中にも心強い味方となってくれるでしょう。

「そのまま食べるのに飽きてしまったな……」というときは、ジャムやコンポートにするのもおすすめ。簡単に作れるうえ、酸っぱさが軽減されるので食べやすくなります。

6~9月と夏が旬で、スーパーでも手に入るプラム。見つけたら、ぜひ味わってみましょう。

《参考》
文部科学省「食品成分データベース」
厚生労働省「食物繊維 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
厚生労働省「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
厚生労働省「抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
厚生労働省「抗酸化ビタミン | e-ヘルスネット(厚生労働省)」