俳優・北村有起哉が連続ドラマ初主演を務める、ABCテレビ制作『ムショぼけ』(ABCテレビ10月3日開始・毎週日曜23:55~、tvk10月5日開始・毎週火曜23:00~)。北村は、長年の刑務所暮らしを経ての出所後、世の中の変化やスピードについていけない“ムショぼけ”状態にある元ヤクザ・陣内宗介を演じる。同作には、陣内にところ構わず付きまとう神出鬼没な夜勤部長役として、俳優や映画監督としても活躍する板尾創路も出演。今回は北村と板尾に、作品の見どころや「オール関西ロケ」での出来事について聞いた。

  • 俳優の北村有起哉とタレントの板尾創路 (撮影:宮田浩史)

    俳優の北村有起哉とタレントの板尾創路 撮影:宮田浩史 衣装協力:Opticien Loyd

――まずは、台本を読んだ感想を教えてください。

北村有起哉(以下北村):僕はまず「うわ、セリフが全部関西弁だ!」と。その後続々とネイティブな関西の方がキャスティングされていって、どんどん不安になりました(笑)。

――ブログで公開されていた台本の画像には、アクセント記号のような書き込みをされていらっしゃって、まるで歌手の楽譜のようでした。

北村:イントネーションが標準語とは違うので、「ここは上がる」「ここは下がる」と我流で覚えて台本に書き込んでいます。また、今回は初めて連続ドラマの主役をやらせて頂くのですが「主役ってこんなにずっと出ていたっけ?」と驚くほど出ずっぱり。回想シーンが出てきてようやく休めると思ったら、演じるのは僕でした(笑)。主役の大変さを身にしみて感じながらも、ここまでほぼすべてのシーンに出演している主役はなかなかいないのではと思っています。

――これまでも映画や舞台では主演を経験されている北村さんですが、連ドラでは初主演となります。抜擢されたときの心境を教えてください。

北村:個人的には「賭けに出たな」と思いましたが(笑)、まわりの人間はすごく喜んでくれました。高校の同級生からは「天狗になるなよ」と連絡が来て、「なるかーい!」と思いながらも活を入れてくれるいい仲間だなと。たくさん祝福してもらえて恐縮です。

――続いて、板尾さんの台本を読んだ感想も教えて頂けますでしょうか。

板尾創路(板尾):登場人物たちが愛おしくて、皆人間味にあふれていて「いいドラマだなぁ」と素直に思いました。大阪のお話ということもあり、俳優たちがどう動いて、どんな映像になっていくのか楽しみになる台本でした。

――板尾さんならではの「監督・演出家目線」も感じられる感想ですね。

板尾:昔は自分の出演シーンばかりが気になりましたが、色々経験してきた今では、つい「この場面はかためて撮るんだろうな」という段取りや「こうすればコストを押さえられそうだな」という予算の問題について考えてしまいます(笑)。

――今作の舞台が兵庫県の「尼崎」だと聞いて、大阪府出身の板尾さんはどんな印象を持ちましたか。

板尾:“アマ”は、もちろん兵庫県ではありますが、市外局番も大阪と同じ「06」だし、大阪なのか兵庫なのかよく分からない不思議な街……トワイライトゾーン。あとは工場で働いている方も多くてすごくエネルギッシュなイメージもあります。今回は長期間尼崎のホテル暮らしを経験しましたが、周辺の雰囲気など昭和にタイムスリップしたようでした。「高速Wi-Fi完備」と書いてあるのになぜか繋がらなくて、廊下に出て電波を探した思い出が……(笑)。

――北村さんが撮影で印象に残っていることはありますか。

北村:すごく長い商店街でいろいろと撮影したのですが、奥のほうに昼でも夜の雰囲気が出ているミステリーゾーンみたいな場所があったのが印象的でした。尼崎の駅前で撮影したときには、通行人のエキストラさんにずっと絡んでくるおっちゃんがいて、東京にはこういう人なかなかいないなと。

板尾:東京の方なら、絡みにきてもすぐ帰ったりするんですけど……関西のおっちゃんは撮影の最後までいましたからね(笑)。

北村:あとは、松尾(諭)くんと情報交換しながら、韓国の美味しいキムチを売っているお店があると知っておつかいを頼みました。松尾くんは間違って別のお店のものを買ってきたのですが、すごく美味しかったので「どこのお店だったか教えて」とまた聞いたりして。絶対に「食」を堪能してやろうと思っていたので、時期が時期だけに外食ができなかったことは残念でしたが少しでも味わえてうれしかったです。