京都鉄道博物館は9月30日、北陸本線米原~木ノ本間で運行された「SL北びわこ号」を再現した「SLスチーム号」を報道関係者らに公開した。2018(平成30)年春季まで「SL北びわこ号」で活躍した蒸気機関車C56形160号機が12系客車2両を牽引する。

  • 京都鉄道博物館にて、「SL北びわこ号」を再現した「SLスチーム号」が報道公開された

「SL北びわこ号」は1995(平成7)年に登場し、北陸本線でイベント列車として活躍した。1995年の運行開始から2018年春季まで、「ポニー」の愛称を持つ蒸気機関車C56形160号機が12系客車を牽引。2019(平成31)年春季から、牽引機を蒸気機関車D51形200号機に変更した。

関西では数少ないSL列車ということもあり、鉄道ファンのみならず多くの観光客に愛された「SL北びわこ号」だが、2019年秋季の運行を最後に、2020年春季以降は新型コロナウイルス感染症の影響で運転休止となっていた。今年5月、正式に運行終了が発表されたが、「さよなら運転」も叶わなかったことから、京都鉄道博物館は「SL北びわこ号」を再現した「SLスチーム号」の運行を決めた。

  • 報道公開では、「SL北びわこ号」の春バージョンのヘッドマークが掲出された

  • 2018年春季まで「SLびわこ号」を牽引したC56形160号機が12系客車2両を牽引

運行にあたり、課題となったのは感染症対策だったという。「SL北びわこ号」では、長時間にわたって煤煙が車内に流入するため、窓を閉める機会が多かった。感染症対策で重要な換気が不十分な状態になることも、「SL北びわこ号」が運行終了となる要因のひとつになった。これに対し、「SLスチーム号」は京都鉄道博物館の敷地内で運行されるため、走行時間は約10分と短時間で済む。窓が開いた状態でも問題はなく、アルコール消毒を行うなど、感染症対策には万全を期している。

今回の企画では12系客車にも注目したい。12系客車は1970(昭和45)年に開催された大阪万博に対応するため、波動用の客車として製造された。全国的に廃車が進んだことで、国鉄時代の雰囲気を色濃く残す12系客車は非常に貴重だという。

  • 「SL北びわこ号」に使用された12系客車2両を連結。懐かしのサボも用意されている

  • 12系客車の車内。国鉄時代とほとんど変わっておらず、直角のボックスシートも健在。小テーブルの下に栓抜きも

  • 扉付近にステップがあり、内側に開く

  • 洗面台付近は立入禁止となり、利用できない

  • 「禁煙車 自由席」の文字も国鉄時代を思い出させる

車内は国鉄時代によく見られた直角のボックスシートが並ぶ。座席にある小テーブルの下に、瓶のふたを開けるための栓抜きがある。化粧板も変わっていないため、国鉄時代にタイムスリップしたような感覚になる。

報道公開では、「SL北びわこ号」を再現した姿となった「SLスチーム号」が関係者らを乗せ、10時30分に発車。約500mのコースを往復した。約10分という短い列車旅だったが、北陸本線を疾走する「SL北びわこ号」の姿が思い出された。

なお、12系客車は現在、網干総合車両所宮原支所に所属しており、しばらくは波動用として使用されるという。蒸気機関車C56形160号機は本線走行ができないため、京都鉄道博物館で「SLスチーム号」に使用される。

  • 報道公開では「京都」の方向幕を使用。幕回しでは現存しない駅名も見られた

「SL北びわこ号」を再現した「SLスチーム号」は9月30日から10月5日まで運行予定。C56形160号機に掲出されるヘッドマークは10月4日まで日替わりで変更され、10月5日はヘッドマークなしで運行される。C56形160号機の牽引で運行予定だが、場合によっては他機が担当することもある。牽引機に関して、京都鉄道博物館のサイトに公開されるとのことだった。