フリーアナウンサーの笠井信輔ら「#病室WiFi協議会」のメンバーが6日、厚生労働省記者クラブで会見を行い、全病室でWi-Fiが使える病院名の公表と、関係各所への要望を行った。

  • 笠井信輔アナ(中央)ら「#病室WiFi協議会」のメンバー

悪性リンパ腫で4カ月半の入院生活を経験した笠井アナ。コロナ禍で見舞いに来てもらうことができなかったが、それを救ったのがインターネット環境で、SNSやYouTubeなどでコミュニケーションを取ることで、孤独感が解消されたという。笠井アナは、病室Wi-Fiについて「患者さんの気持ちを豊かにするだけでなく、ライフラインと言うことができます」と強調する。

しかし、入院患者が病室でフリーWi-Fiを利用できる病院がまだ限られていることから、「#病室WiFi協議会」で仲間たちとともに「病室にWi-Fiを」と訴えた結果、厚生労働省の補正予算で病室にWi-Fiを設置するための補助金が付くことになった。

一方で、入院患者がWi-Fiが使える病院を調べるデータベースがなかったり、病院がそうした情報をホームページで発信していない現状があったことから、「#病室WiFi協議会」では実態調査を実施。「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「国立病院機構」「筋ジス病棟がある病院」を対象に合計563の医療機関を調査した結果、全病室が無料で使える病院は114施設(約20%)にとどまった。

笠井アナは「一番驚いたのは、47%の病院が全く使えないということでした。本当に残念ですが、これが現実なのかと思います」と見解をコメント。「コロナ禍で厚生労働省がすべきことの1つとして、国立病院や拠点病院でまずは国民の孤独を救うということがとても大事なのではないか」と提起し、補助金とは別の財政支援を訴えた。新設されたデジタル庁にも、導入費用の予算化を要望している。

「#病室WiFi協議会」では、きょう7日にホームページで、全病室で無料Wi-Fiが使える病院名を公表。今後情報が寄せられれば、データベースとして今後も随時更新していく。

海外では当たり前だという病室Wi-Fiが日本で普及しない背景について、病院関係者へのヒアリングを行うと、管理職から「Wi-Fiは危険だからやめておいたほうがいい」と止められたことや、電子カルテ業者から「電子カルテの運用に支障をきたす恐れがある」と言われるなど、誤解によって導入が進まないケースがあることが判明。

補助金の申請締め切りは今月30日に迫っているが、申請期限の延期を訴えると同時に、そうした誤解を解き、国への意思表示のためにも「諦めずに今からでも申請書を提出してほしい」と強く呼びかけた。