「ばつが悪い顔」とはいったいどのような顔のことを指すのか、説明できますか? 「罰が悪い」とするのは間違いですが、では、ばつとはいったい何なのでしょうか。

この記事では「ばつが悪い」のばつの意味や、慣用句としての意味、また類語や英語表現なども紹介します。ボキャブラリーを増やし、ビジネスパーソンとして恥ずかしくないようにしましょう。

  • 「ばつが悪い」とは?

    「ばつが悪い」の意味や語源、漢字、例文、類語、英語表現を説明する記事です

「ばつが悪い」とは?

「ばつが悪い」は慣用句の1つ。ばつはその場の具合、調子を指します。なお、ばつは「場都合」の略であるとされ、「罰」と書くのは間違いです。

では「ばつが悪い」の意味をみていきましょう。

「ばつが悪い」の意味

「ばつが悪い」は、その場を取り繕うことができず気まずいさま、恥ずかしいさまを指します。

具合が悪いと表記する辞書もありますが、この場合の「具合」とは健康状態のことではなく、体面・体裁の意味です。つまり、体面を保つことができないほど恥ずかしいさまを指します。

「ばつが悪い」の漢字表記は?

基本的に、「ばつが悪い」は平仮名で表記し、漢字では表記しません。よく「ばつが悪い」は「罰が悪い」と表記する人もいますが、これは誤りです。

「ばつが悪い」のばつは、前述したようにその場の具合、調子という意味。「場都合(ばつごう)」を略した言葉とされています。つまり「罰」と書くのは間違い。「ばつ」と平仮名のまま表記しましょう。

■「跋(ばつ)」が語源という説もある

「ばつが悪い」のばつは漢字の「跋」から来ているという説もあります。跋とは書物の末尾に記す、あとがきのことです。

そのため「ばつが悪い」は結末がよくないという意味、つまり書き物を上手にまとめることができなかったという気まずさを表現する、と言われています。

  • 「ばつが悪い」とは?

    「ばつが悪い」の意味や語源を理解しておきましょう

「ばつが悪い」を使うときの注意点・使い方・例文

「ばつが悪い」の意味を確認したところで、ここからは使用するときの注意点と例文を紹介します。正しく使えるようになりましょう。

「ばつが悪い」を使うときの注意点

繰り返しになりますが、「ばつが悪い」のばつは罰ではありません。場都合から来ているといわれていますが、ひらがなで「ばつ」と表記しましょう。

「ばつが悪い」の使い方・例文

注意点を確認できたら、次に挙げる例文で使い方をチェックしましょう。

  • 誰もいないと思って鼻歌を歌っていたら、後輩に聞かれていたようでばつが悪かった。
  • ばつが悪いことに、思いきり転んだところを見られてしまった。
  • この前ズル休みをして出かけたら、同僚にバッタリ会ってしまってばつが悪かったよ。
  • 「今回は100点だと思う」と友だちに自信満々で答えたのに、返ってきたテストが間違いだらけでかなりばつが悪かった。
  • 悪口を本人に聞かれたので、彼女はばつが悪そうだった。
  • 「ばつが悪い」を使うときの注意点・使い方・例文

    「ばつが悪い」は日常でも頻繁に登場する慣用句です

「ばつが悪い」の類語・言い換え表現

「ばつが悪い」の類語・言い換え表現を確認して、ボキャブラリーを増やしましょう。

決まりが悪い

「決まりが悪い」の決まりとは、面目や体裁のことを指します。面目とは周囲に対する名誉や立場のことです。

「決まりが悪い」とは面目が立たない、つまり恥ずかしいという意味。「ばつが悪い」の類語と言えるでしょう。

■例文

  • 今日はひとりだけ遅刻したから決まりが悪かったよ。
  • 部下に注意したことを自分がやってしまい、決まりが悪かった。

体裁が悪い

「体裁(ていさい)が悪い」の体裁とは外見のことで、世間に自分がどう映るかを気にする見栄のことです。つまり「体裁が悪い」は「ばつが悪い」と同様に、格好のつかない恥ずかしいさまを指します。

■例文

  • 社運をかけたイベントの出席者がこの程度では、体裁が悪い。
  • 取引先への謝罪に上司が来ないというのは体裁が悪い。

居心地が悪い

「居心地(いごこち)が悪い」の居心地は、その場所にいるときに感じる気分のことです。つまり「居心地が悪い」とは、その場にとどまりたくないような窮屈さや苦痛を表現しています。

■例文

  • 周りはセレブな奥様ばかりで、かなり居心地が悪い。
  • 上司ばかりの飲み会に出席するはめになり居心地が悪かった。

気まずい

「気まずい」とは、互いの気持ちがしっくり合わず不快なさまや、打ち解けずに気づまりなさまを指します。

■例文

  • 初対面の彼とふたりきりにされるのは気まずい。
  • 気まずい思いをするなら、最初からパーティーには参加しません。

肩身が狭い

「肩身(かたみ)が狭い」の肩身とは、世間に対する面目のこと。「肩身が狭い」という慣用句は、世間に対して面目が立たず引け目を感じるという意味です。

■例文

  • うちは大家族のため座席を占領してしまい、肩身が狭い。
  • パーティーへの手土産を忘れてしまい、肩身が狭い思いをした。
  • 「ばつが悪い」の類語・言い換え

    「ばつが悪い」の類語・言い換え表現を確認しましょう

「ばつが悪い」の英語表現

「ばつが悪い」は英語で「be(feel) embarrassed」や「feel awkward」などと表現され、気まずい、気恥ずかしいなどの意味があります。

  • Yesterday, I was complaining about my work to my manager. It was an embarrassing experience.
    (昨日、部長に仕事の愚痴をこぼしてしまった。ばつが悪かったよ)

  • He looked embarrassed, because his boss got angry with him in the office.
    (彼はオフィスで上司から怒られ、ばつが悪そうだった)

  • I feel awkward wiht him, whom I met just now.
    (彼とはたった今会ったばかりで気まずい)

  • 「ばつが悪い」の英語表現

    「ばつが悪い」の英語表現も確認しましょう

「ばつが悪い」は気まずい気持ちを表現できる言葉

「ばつが悪い」のばつは場都合から来ているとされており、その場を取り繕うことができないという気まずさや気恥ずかしさを指す慣用句です。うっかり「罰が悪い」と書いてしまいそうですが、これは間違い。ひらがなのまま表記します。

決まりが悪い、体裁が悪いなどといった似た意味の表現も併せて覚え、ボキャブラリーを増やしましょう。