映画『MINAMATA―ミナマタ―』(9月23日公開)で製作・主演を務めたジョニー・デップとアンドリュー・レヴィタス監督が2日、オンライン記者会見に出席。ジョニーは真田広之ら日本人キャストに感謝しつつ「本作は作られるべきして作られた映画」と力強く語った。

  • ジョニー・デップ

映画『MINAMATA―ミナマタ―』は、日本における“四大公害病”の1つ、水俣病を扱った問題作。ジョニーは、当時の現状を撮影した世界的写真家ユージン・スミス役に扮する。日本からは真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子ら実力派キャストが参加した。

ジョニーは最初に「本作に参加することに、迷いは一切ありませんでした。僕はレジェンドとしてのユージンを、“やっかいなやつ”という面も含めて知っていました。だからこそ、これは日の目を見るべき映画だと思いました。今のご時勢、映画を作ることは容易ではないし、作られること自体が奇跡でもあります。本作では、みなさんが全力で取り組んでくれました」と熱い思いを口にした。

日本人キャストについてジョニーは「日本のみなさんは才能にあふれる方々で、期待した以上のものを提供してくれました。真田さんはオフの日も現場に来てくれて、日本語の表記を書いてくれたり、エキストラをサポートしたり、若手の指導もしてくれた。また、彼自身は集中力を失うことがなく、本当に素晴らしかったです。内面から自分を見つめる俳優としての仕事ぶりにも感動しました」と絶賛した。

また、ユージンの妻・アイリーン役を演じた美波についても「美波さんは、アイリーンさんに敬意を示し、彼女を称えるような演技を披露してくれました」と語り、さらに真田についても「彼は本当に謙虚な方で、自分を顧みず、人のために行動できる方だったから、一緒にいて楽しかったです」と再度称え「すべてにおいて、日本人キャストの方々に、面倒を見てもらいました」と日本人キャストに感謝した。

また、実話をもとにして描かれた本作の難しさについて問われたレヴィタス監督は「(劇中で糾弾されている)チッソ(株式会社)からは何も連絡は入っていません」と答えたうえで「事前に僕たちは水俣を訪れた際に、患者さんやその親戚の方々と過ごし、真実に触れようと試みました。そして彼らがどういう生活を送っていたのかを、外から見た目線で紹介しようと思いました。今、世界中に支援を受けるべき人々がいます。私たちは映画を撮ることで、観る人たちと啓発したいと思いました」と熱いトークを繰り広げた。

さらに監督は「ニュースメディアに関わるみなさんは、真実を伝える力を持っているし、肯定的な希望を与える力を持っています。この映画は一般のみなさんを触発する力を持っていると思うし、メディアの方々にもその思いが届いたらいいなと。世界中で起きている問題は、自分たちのなかにあります。だからこそ今、何が必要かを1人1人が考えて行動していきましょう」と訴えかけた。

ジョニーも監督と同じ思いで、「今置かれている状況は尋常でないことです」と、世界中がパンデミックにあることに触れて「1日1分だけも、困っている他の人たちに思いを馳せ、何か自分にできることはないかと考えてほしい。今も病で死にかけている人がたくさんいるし、僻地で医療が届かないところもあるでしょう。本作を観ることで、今、自分がいる立場から視野を広げ、想像力を働かせるきっかけになればと」と語って、会見を締めくくった。